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軽の電気自動車、日産 サクラに公道試乗。この加速、この静粛性、もはや軽自動車のそれではない

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軽の電気自動車、日産 サクラに公道試乗。この加速、この静粛性、もはや軽自動車のそれではない

日産の電気自動車(BEV)ラインナップの中ではアリア・リーフに次ぐ末弟であり、軽自動車規格で登場した「サクラ」に公道で初試乗。補助金や助成金の制度利用によって脚光を浴びているが、試乗してみればクルマ本来の使い勝手や上質さなどの性能の高さを体感できるはずだ。

バッテリーの小ささはメリットなのではないか
日産初、軽自動車規格のBEV(電気自動車)サクラは、開発者も驚くほどの売れ行きだという。2022年5月20日の発表からわずか3週間で1万1000台の受注を超え、7週を経過した7月3日の時点で1万8000台に達したというから驚きである。

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正直に言って電気自動車がここまで受注台数を伸ばすとは思ってはいなかった。充電インフラが整ったと言えない日本において、リスクになりかねない選択をする人がどれだけいるだろうか、と。そんな中で日産と三菱が用意した「軽の電気自動車」という選択肢が、この懸念を取り払ったのかもしれない。

最近話題となっている補助金や助成金を利用することで、イニシャルコストを抑えられるのは確かに大きな魅力だ。地域や装備内容によって受けられる100万円もの補助で、ガソリン軽自動車よりも安い価格で購入できる可能性もあるのだから。もちろん重量税や自動車税などの減免によりランニングコストを抑えることだってできる。

もうひとつ軽の電気自動車ならではのメリットを挙げるとすれば、バッテリーの小ささではないだろうか。航続可能距離が短くなるためデメリットと感じるかもしれないが、バッテリー容量20kWh(航続可能距離はWLTCモードで180km)のサクラであれば電欠になるほど走ったとしても、7~8時間(※)もあればフル充電できてしまうお手軽さである。※充電出力2.9kWの200V普通充電器を使用した場合

充電に長時間かかることを「ガソリン車なら1分で満タンなのに」と捉えることもできるが、「夜間に充電完了するのだから、充電待ちする時間はゼロ。ガソリン車よりも時間ロスは少ない」と考えられれば、きっと楽しい電気自動車ライフを送れるのではないだろうか。

街中では「ECO+eペダルステップON」が快適
前置きが長くなってしまったが今回日産 サクラに公道で試乗、短時間だったが街中そして高速道路への合流も体験することができた。いずれのシーンでも共通した印象は、軽自動車と思えない快適性と、運転のしやすさだ。

そもそもサクラはデイズやルークスといった日産軽自動車ラインナップの頂点、フラッグシップに位置付けられていることもあってプレミアム感を演出するインテリアとなっている。とくにインパネまわりはベースとなってるデイズからほぼ全面刷新されて、直線と曲面を組み合わせたシンプルさも感じられるデザイン。

しかも粗めなファブリック調の生地をインパネからダッシュボード、ドアトリムまで広範囲にかけて貼りめぐらされ、気分はまるでプレミアムコンパクトカーである。

そんな印象はスイッチをオンにして走り出しても変わらない。とくに信号待ちから勢いよく発進しようとしたときのスムーズさといったら、エンジン搭載車と比べ物にならないほどだ。大きなトルクを発生させるとドライブシャフトがねじれ、元に戻ろうとする反動によって前後方向の振動を生んでしまうが、これを打ち消すためのモーター制御が行われるのだという。モーター駆動だからこそできた制御だとは開発者の言葉である。

言うまでもなく加速感だって十二分にある。今回は男性ふたり(体重の合計は150kgほど)で乗車していたが、料金所の通過速度20km/hから合流まで短い距離を一気に加速するような場面でも、アクセルペダルをベタ踏みすることなくクリアする。195Nmという最大トルクがなせる技なのかもしれない。

出力特性がまた面白い。サクラには3つのドライブモード「ECO」「STANDARD」「SPORT」が備わりそれぞれ異なる出力特性を持っている。一般的には「ECO」を選択すると最高出力を抑えて燃費・電費を稼ぐ傾向にあるが、サクラの場合アクセルペダルをベタ踏みすればどのモードでも最高出力の47kW(64ps)を発生する。

この設定がもたらすメリットは、加速体制への素早い移行だ。街中走行時にエコランを心がけて「ECO」モードを選択していたとしても、とっさの加速でモード切り替え操作することなく最高出力を発揮、素早い加速を実現するのだ。ボタン操作回数が減ること、これつまり安全性の向上にもつながるはずだ。

どのモードでも最高出力が同じなら「SPORT」の存在意義は薄れてしまうと思うかもしれないが、実はここにもひと工夫が施されている。

それぞれのドライブモードは、回生ブレーキによる減速力と発生特性を個別に設定されているのだ。ECOではグライダー走行のように減速力を弱く、SPORTでは強くかかるようになる。またワンペダル感覚で運転できる「eペダルステップ(e-Pedal Step)」をオンにすると、ECOでは滑らかにゆったりと減速力を強めていき、SPORTでは逆にキビキビとした特性を与えられている。

短時間の試乗の中でいくつかの組み合わせを試してみたが、街乗りにおける個人的な好みは「ECOモード+eペダルステップON」だ。運転者だけでなく、同乗者、そしてクルマ酔いしやすい子どもにとっても心地よい移動をできるのではないだろうか。ちなみにeペダルステップは完全停止までサポートしていない。停止するにはブレーキペダルを踏む必要がある。

こんな音が聞こえてくるの?と思うほどの静粛性
そしてもうひとつ、走行中の静粛性能は相当に高いということ。エンジン音のしない電気自動車は、タイヤ・ロードノイズが相対的に大きく感じられるようになり、「EVってもっと静かなんだと思ってた」という評価もちらほら聞いたことがある。しかし、サクラにこの評価は当てはまらないだろう。

タイヤを伝って車内に入ってくノイズをシャットアウトさせるため、ボディ後部の遮音性能向上を徹底的に行われたこと、そしてモーターマウントにペンデュラム式を採用することで振動とノイズを低減させているのだ。60km/h以内で試乗した範囲では至って静かなもので、マスクをつけて会話していても聞き取れないような状況にはならない。

その反面と言うべきなのか、極低速域で車外の歩行者に向けて発する「車両接近警報装置」の音が耳に入ってくる。音量そのものは大きくないので気になるほどではないのだが、「いままで車内で聞いたことがない、こんな音が聞こえるほど静かなのか」と少し感動すらしたくらいだ。

もしも次回試乗する機会があったなら、Gグレードに標準装備(Xグレードにオプション設定)されている先進運転支援システム「プロパイロット」の快適性や、実際の航続可能距離、高速走行時の静粛性、ワインディングロードでの走行性能などなど、知りたい性能を挙げはじめたらキリがない。もっともっと乗ってみたい、試してみたいことが山ほどある、そんな魅力がサクラにはある。(写真:井上雅行)

日産 サクラ G 主要諸元
●全長×全幅×全高:3395×1475×1655mm
●ホイールベース:2495mm
●車両重量:1080kg
●モーター:交流同期電動機
●最高出力:47kW/2302-10455rpm
●最大トルク:195Nm/0-2302rpm
●バッテリー総電力量:20kWh
●WLTCモード航続距離:180km
●駆動方式:FWD
●タイヤサイズ:155/65R14
(試乗車にはオプションの165/55R15を装着)
●車両価格(税込):294万0300円

[ アルバム : 日産 サクラ公道試乗 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

2件
  • 補助金っていつまで続くのか、わかんないけど終わったら、急に売れなくなるんじゃね?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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