交差点での信号待ち。右を向いても左を向いても、いわゆる「ツリ目」デザインが多くなったよな~と感じる、今日このごろ。
冗談でなく、「ツリ目」デザインの圧迫感がドライバーのストレスに影響してるんじゃないかしら、なんてことまで考えてしまいます。
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やっぱり丸目がいいよな…トップに上げたチャレンジャー…「ジト目」みたいでたまりません…(企画担当、いま乗ってるのは角目なんですが)。
「ツリ目」デザイン隆盛ながら、一方で丸目デザインのクルマのウケもよいとも聞く。人はなぜ丸目に惹かれるのか? 自動車ジャーナリスト清水草一氏に聞いてみました。
※本稿は2019年3月のものです
文:清水草一/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年4月26日号
■人はなぜ丸目に惹かれるのか?
ツリ目全盛、ツリ目がアタリマエの現在の自動車界。でも、でもでも昔は、クルマの目は丸目か角目しかなかったんだよね……。しかも丸目が基本で、角目は現代風。そういうものすごく単純な分類でした。
私が免許を取った39年前から、丸目には郷愁を感じていた。当時の憧れはランチアデルタ! あの丸目4灯がものすごくカッコよく見えました。
●ランチア・デルタHFインテグラーレ
清水氏思い出の丸目。1987年から1992年まで、WRC(世界ラリー選手権)史上初となる6連覇を達成した「モンスター」だ
丸い目をしてメチャ速いというのが、何気ないのにスーパーマンという、最高のギャップ感を生んだんだろう、たぶん。
もちろん、丸目がステキに見えるのは今でも変わらない。いったいナゼなのか?
それはやっぱり、人間にとって「目」は丸いものという、DNAレベルで刻まれた本能に根差しているのだと思います。目は丸いほうが「目」らしいのだ! そりゃそうだよね、自然界に四角い目はないんだから。人間は丸い目を見るとホッとするようにできている!
自然界にもツリ目はあるけど、それって基本的にネコ科の猛獣。つまり人間にとっては「敵」の信号である。だからこそ迫力が増し、なので今じゃみんなツリ目になっちゃったんだろうけど。
今じゃクルマの丸目は超少数派になった。現在新車で買える丸目のクルマは、全部で十数車種しかないという。けれど、だからこそ丸目というだけでうれしくなってしまう。
●ホンダe
最新丸目。N360、N-ONEの流れを汲み、ホンダ初のEVもやっぱりこのスタイル。どことなく懐かしさを感じる。
トシのせいもあるかもしれないですけどねぇ。年を取れば取るほど、懐かしい形がココロに刺さるものなのです。
■現行車種限定 丸目車 ベスト6
●1位 ポルシェ911
丸目界のスーパースター、ポルシェ・911。VWのタイプ1、そして356と、ご先祖さまから丸目にこだわるのは911一族の血統だ
なにせ丸目の世界的アイドルだ。やっぱり目が丸いだけじゃガマンできない! 目が丸くて懐かしい雰囲気があるのに速いっていう、ギャップが欲しいのら! この感覚、若い頃から変わりません。
でも一度、1998年~2004年まで996型は、丸目を捨てて、通称涙目になりましたが、超不人気のため、また丸目に戻りました。
●2位 スズキジムニー/ジムニーシエラ
パキッとしたスクエアなボディに丸目の組み合わせ。しかもそのバランスが絶妙なジムニーだ
丸目で速いクルマは、ポルシェ911で売り切れになりました。となればもうジムニーしかない。フォルムも基本中の基本、ライトも基本中の基本の丸目2灯! 100年たっても飽きが来ないだろう。涙が出る。
●3位 ジープ ラングラー
ラングラーも右のレネゲード同様のデザイナーズ丸目。コンビネーションランプとコーデです
ジムニーが来ればラングラーも行くしかない。基本的にはジムニーがデカくなっただけです。
●4位 フィアット 500
コロンとした丸っこいボディに、可愛い丸目のヘッドライト。フィアット500は昔からコレ
丸いカラダに丸いおメメ。これまた基本中の基本デザインと申し上げるほかございません。涙が出ます。ツインエアは意外と速いよ!
●5位 ホンダ N-ONE
かつてのN360のイメージをそのまま引き継いだN-ONE、もちろんヘッドライトは丸目
これは丸い目のおサルさんですね。なんだかんだ言ってとってもイイんだよね! 丸目をユーモアで包んでいるところがステキ。
●6位 スズキ ラパン
女性に人気のラパン。軽自動車のなかでも傑作デザイン。角を落としたボディには丸目がよく似合う。実にキレイにまとまっている
これほど愛らしい自動車デザインがあるだろうか。もー子犬チャンそのもの。このつぶらな瞳を見たらイチコロだす。お尻の目も丸いよん。
■まだまだあります! 丸目の愛すべきクルマたち 7選
●ちょっと瞼が重い丸目なんです(ダッジ・チャレンジャー)
国会議員の石破茂氏っぽい目つきのダッジ・チャレンジャー。これはこれで迫力ありますね(企画担当、個人的には「ふくまる」と呼んでます)。
●角目のミニなんて考えられん!(BMW・MINI)
アレックス・イシゴニスが生み出した先代ミニをオマージュした現代のミニ。サイズは巨大化傾向にあり。
●丸目は男らしくもあったのだった(ジープ・レネゲード)
ジープ・レネゲードのデザインされた丸目がなかなかかっこいい。これ最近の流行りですね~。
●セブンがツリ目じゃキマらない!(ケータハム・SEVEN160)
ケイターハムシリーズの末っ子SEVEN160。ユーモアな顔つきながら走りは機敏。このギャップがたまらない。
●ハスラーの兄貴分も丸目だった(スズキ・クロスビー)
四角っぽいボディに丸目の組み合わせのスズキ・クロスビー。女性ジャーナリスト竹岡さんの話では、女性はこれにグッとくるらしい。
●ファンの要望に応えて丸目で登場した1台(ダイハツ・コペン セロ)
ダイハツ・コペンの2代目「ローブ」発売から約1年後に登場した「セロ」。ファンからの要望に応えて先代をイメージした丸目になった。
●丸目以外のビートルなんてなしでしょ(VW・ザ・ビートル)
今年で生産を終了してしまうザ・ビートル。ご先祖様に敬意を評して最後まで丸目を貫いた。お疲れ様! パチパチ!
【番外コラム】 3代のスカイラインに見るヘッドライトの変遷
昔のヘッドライトはぜ~んぶ丸目だった。というのも、シールドビーム全盛の頃、四角いライトを作る技術もなかったわけで、当然丸かった。
それが技術の進歩とともに四角くなり、シールドがハロゲンになり、次にHIDになり最近はLEDになった。現在クルマに使われているヘッドライトはハロゲン、HID、LEDの3種類でほとんどのクルマが樹脂製(ポリカーボネート)ヘッドライトカバーになっている。
最近ヘッドライトが白くなってしまうことが話題になっているが、あれはヘッドライトカバーが劣化しているからで、専用の道具を使わなくてもコンパウンドで磨けばクスミは取れる。
さてヘッドライトがガラスから樹脂製になったことでデザインの自由度が広がり、つり目や歌舞伎役者のようなヘッドライトが登場してきたのは1990年代後半あたりからで、現在はLEDと組み合わせることで、さらにデザインの自由度は上がっている。
スカイラインの歴史を見ても、初代は丸いシールドビーム、それが5代目の途中から四角くなり、そして現在はヘッドライトもフォグランプもリアのコンビネーションランプもLEDになってしまった。
●初代スカイライン(1957年登場)
ガラス製のシールドビームを使用
●5代目スカイライン(1977年登場、角目は1979年7月にマイナーチェンジしたGTシリーズから)
1979年7月のマイナーチェンジでGTシリーズが角形2灯ヘッドランプとなる。まだガラス製
●13代目スカイライン(2014年登場・現行型)
2014年登場の13代目。ほとんどのライトがLED化されている
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