コロナ禍で様々な困難に見舞われながらも、振り返ってみればあんなクルマもこんなクルマも出てきた2020年。誰もが認める「ベスト1」を決めるのもいいけど、それだけじゃもったいないということで、いろんな角度から2020年のベスト1を考えてもらった!
●こんな角度で大賞・次点を選出!
・コスパ
・デザイン
・期待はずれ
・ベストマイナーチェンジモデル
・技術進化度
・消えて惜しかったモデル
免許の学科教習がオンラインに マツダ米での地道な努力 ほか クルマ界最新ニュース3つを鋭く検証!
【画像ギャラリー】新型からマイチェンまで 充実の2020年モデルをいろんな角度で振り返る(14枚)
※本稿は2020年12月のものです
文/渡辺陽一郎、清水草一、国沢光宏、鈴木直也、ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』 2021年1月10日号
■コスパ賞 2020版
機能や装備のわりに価格の安い買い得車の1位はフィットだ。燃料タンクを前席の下に搭載するから、ライバル車のヤリスや新型ノートに比べて後席と荷室が広い。後席の座面を持ち上げると、車内の中央に背の高い荷物も積める。ファミリーカーとして使いやすい。
しかも直列4気筒1.3Lエンジンのホームは、自転車も検知する衝突被害軽減ブレーキ、車間距離を自動制御できるクルーズコントロール、サイド&カーテンエアバッグ、フルLEDヘッドライトなどを標準装着して、価格は171万8200円だ。
ライバル車のヤリス1.5Gは、ディスプレイオーディオや通信機能を備えるが、後席と荷室は狭く、ヘッドライトはハロゲンで価格は約4万円高い。フィットは断然買い得だ。
2020年「コスパナンバーワンカー」に選ばれたホンダ フィット
次点はタフト。シートアレンジは単純だが、装備を充実させた。135万3000円のXにも、ガラスルーフのスカイフィールトップ、LEDヘッドライト、電動パーキングブレーキなどが標準装着される。
この価格帯の背の高い軽自動車では、ガラスルーフは付かず、ヘッドライトも大半がハロゲンだ。タフトも買い得度が強い。
フィットとタフトはライバル競争の激しいカテゴリーに属する。しかも販売1位ではなく、トップを狙う立場だ。そのために買い得感を磨き上げた。
(選者&TEXT/渡辺陽一郎)
■デザイン賞 2020版
自動車デザインは成熟の極みにあるため、デカグリルやオラオラグリルなどの破壊衝動が多数発生している。
それはそれで新たな芽を育むモトとなるので歓迎なのですが、破壊もせずにただ漫然と成熟しているだけではアカン! 破壊しないなら原点回帰! どっちかだべ! などと漠然と考えております。
今年は、アルファードのようなインプレッシブな破壊兵器は現れなかった。あえて言えば毒虫顔のヤリスでしょうか?
しかしあの程度の毒虫顔には、ユーザーはすでに慣れっこなのですね……。まるで自然に受け入れられてしまいました。私は未だにダメ。涙が出ます。
そこで今年のデザイン大賞は、原点回帰の鑑(かがみ)とも言える超シンプルデザインで登場した、ホンダeに差し上げたい! 生産台数が少なすぎてやる気あんのかとは思うけど、デザイン自体は実にスバラシイ。完璧なシンプルネスだ。そしてスマートでカワイイ。30年後に見ても古さは微塵もないだろう。
2020デザイン大賞はホンダe!企画担当的にはインパネの美しさ、先進性を推したい!
あれを見ると、マツダの流麗なデザインが「こねくり回しすぎ!」に見えてくるよね。もうちょっと本気で作ってほしいクルマです。
次点はタフト。これも原点回帰のシンプルデザインで、見れば見るほど練られている。この2台、ほかのすべての輸入車に圧勝している! 輸入車勢は、ただ熟成させてるだけみたいのがほとんどですな。今年は日本車勢の圧勝!
次点に収まったダイハツ タフト
(選者&TEXT/清水草一)
■ベストマイナーチェンジモデル賞 2020版
新型コロナの逆風にめげず、多くのメーカーが積極的にニューカーを送り出してきた。マイナーチェンジで輝きを増したクルマも少なくない。
その筆頭が、三菱のエクリプスクロスだ。
これまではガソリンターボとディーゼルターボの二本立てだったが、12月に待望のプラグインハイブリッドを投入。環境性能にこだわる人にも魅力的と感じられるクルマに成長した。
マイナーチェンジモデル大賞の三菱 エクリプスクロス。PHEVの導入が好意的に受け入れられた
もう1台、よくなったと感じたのが、1.8Lの直噴ターボを加えたスバルのフォレスターだ。
気持ちいい走りを手に入れただけでなくマイルドハイブリッドの「e-BOXER」も進化している。
マイナーチェンジモデル次点のスバル フォレスター。スバルは2020年にラインナップを刷新している
(選者&TEXT/片岡英明)
■技術進化度賞 2020版
先進技術という意味で、今年いちばんビックリさせられたのがMIRAIの進化ぶりだ。
6年も前から燃料電池車(FCV)を市販してること自体スゴイのに、それが大幅進化してはや第二世代に入っちゃった。トヨタだけ時間の進み方が違うのか?
クルマの未来を手繰り寄せられるか? トヨタ MIRAI
しかも、今度の新型はレクサスLSなどと共通のGA-Lプラットフォームで、もはや完全に「普通のクルマ」と言えるほど完成度が高い。
将来的には、長距離はこのMIRAI、市街地のコミューター的な使い方はホンダeという感じで棲み分けるのがベター。
電動化時代の理想のコンビが出揃った感じですね。
G-COTYも受賞! ホンダe
(選者&TEXT/鈴木直也)
■消えて惜しかったモデルで賞 2020版
残念ながら2020年は生産終了となったクルマもあった。ボディタイプで多かったのはハイトワゴンとセダンだが、そのなかでも特に惜しかったのは、2代目が大ヒットしただけに日産キューブもそうだけれど、あえて一番を挙げるとレクサスGSか。高級車レクサスからFRサルーンが消えるのは残念だ!
レクサスGS。なんで生産終了させちゃったの? の声多し
(選者&TEXT/編集部)
■期待はずれ賞 2020版
期待外れだった大賞は瞬時も迷うことなく「N-ONE」でしょう!
なんせ新型と言われているモデルを見た瞬間「どこが違うの?」と驚く。写真を間違ったのかと思ったほど。
実際、ボディ外板の金型部品(鉄板使った部位)はすべて旧型と同じ。バンパーやライト類など、小規模なマイナーチェンジや年次改良レベルの変更しか行っていない。オーナーだって見分けられないかもしれません。
期待はずれ大賞はホンダN-ONE! あまりにも「そのまま」過ぎた!?
中身は一新と言っているが、N-WGNそのもの。そもそもN-WGNとN-ONEは同じ車体骨格のため、N-WGNを作っている工場の生産ラインで外板だけN-ONEにすれば新型N-ONEのできあがりだ。つまりN-WGNとまったく同じコストということ。
だったら同じ価格か、少し安く売ればいい。最大の期待外れポイントが、20万円も値上げしてN-WGNよりさらに高くなっちゃったことですワな。
この流れ、期待外れ大賞次点のオデッセイにもいえること。ほとんど機能向上なしで20万円以上値上げ。同等の装備内容持つアルファードと同じ価格にしてきた。
次点のオデッセイ。よくも悪くもホンダ車多し!?
ホンダの国内販売戦略、モデルチェンジの度に割安感が出ているトヨタと好対照ですね。売れゆき伸びるワケない。そのほか、ヨーロッパより圧倒的に高い値付けのホンダeや、やはり割高のアコードにも当てはまる。
ホンダの価格戦略全体が期待外れでした。
(選者&TEXT/国沢光宏)
* * *
2020年、たくさんの魅力的なニューモデルが登場した。そのどれも、高く評価したい!! 今年も楽しいクルマの出現を期待したい!
【番外コラム】このクルマたちにも賞をあげたい! 3選
●販売人気賞2020:トヨタ ルーミー
10月の販売台数は1万1487台で2位。これは凄いことです!
●走り上質賞2020:ホンダ アコード
新型アコードって、なんか地味なんだけど、乗ると上質だ!
●スポーツセダン賞2020:レクサス IS
徹底的に走りを鍛えるその姿勢を褒め称えたい!
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みんなのコメント
垢抜けない妥協のデザインだと思うけど