この記事をまとめると
◼︎売れ筋モデルの「Cクラス」にオールテレインモデルが追加
【試乗】「これがCクラス?」驚くほどの車格感! メルセデス・ベンツC200の上質かつスポーティな走りに圧倒
◼︎同クラスで唯一の4WDを選べるモデルとなっている
◼︎車高のアップやオフロードモード追加など独自の機能を備える
人気の「C」に流行りのクロスオーバータイプが追加!
メルセデス・ベンツCクラスのボディバリエーションと言えば、いままではセダン、ステーションワゴン、クーペ、カブリオレの4タイプだった。このうちセダンとステーションワゴンは昨年モデルチェンジしており、次はクーペとカブリオレの新型かと思っていた人がいるかもしれないが、その前に第5のボディが加わった。
それがオールテレインだ。といってもオールニューというわけではなく、ステーションワゴンをベースにしたクロスオーバーで、スバル・レガシィアウトバックやボルボV60クロスカントリーに近い。メルセデスにくわしい人なら、すでにEクラスに同じ名前の車種があることを知っているだろう。
千葉県で行われた試乗会のメインディッシュはこのオールテレインだったのだが、会場には同じCクラスのセダンとステーションワゴンもあり、乗り比べることができたので、そこで気づいた点を含めて報告していくことにしよう。
オールテレインの成り立ちはEクラスのそれと似ていて、車高を上げ、アウトドアファッションをまとい、4WDとしたもので、車高は40mmのアップとなる。
スタイリングでは、フロントグリルがGLCなどと似たSUVスタイルになることも特徴。さらに、実車を観察して気づいたのは、フェンダーやサイドシルのエクステンションが平板ではなく、微妙なアクセントがつけられていること。プレミアムブランドらしいディテールへのこだわりを感じた。
インテリアはメーターとセンターディスプレイが分割され、前者は12.3インチの横長なのに対し、後者は11.9インチの縦長になったことが目立つ。Sクラスに似たフォーマットで、これがメルセデスの最新世代だそうだ。
Sクラスと違うのは、センターディスプレイが運転席側に約6度チルトしていること。オーナーがリヤシートで過ごすことも多いSクラスに対して、ドライバーズカーであることを主張している。
仕立ては後半で触れるステーションワゴンとほとんど同じ。SUVのGLCなどもそうだった。個人的にはレガシィアウトバックのXブレイクEXのような、ちょっとクールな仕様があっても面白いと思うのだが、メルセデス・ベンツのオーナーはなによりもまずメルセデス・ベンツであることを重視するのかもしれない。
それ以外で気づいたのは、スイッチ類のストロークが小さくなったこと。タッチパネルは安全性で疑問、でも大きく動かすのは昔っぽいという判断かもしれないが、個人的には逆に中途半端に映った。メルセデス・ベンツであれば明確なデバイスのほうがそれらしいし、もう少しすればそういうインターフェイスが再評価されると思っている。
日本仕様のオールテレインのエンジンは2リッター直列4気筒ディーゼルターボのみ。正式車名はC 220 d 4マチック・オールテレインになる。同じCクラスのステーションワゴンでは4WDは選べないので、新車のCクラスの4WDワゴンが欲しければ自動的にオールテレインになる。
現行Cクラスのエンジンは、ガソリン/ディーゼルともにボア/ストロークを変更した上で、ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を備えたマイルドハイブリッドになった。オールテレインに積まれるディーゼルターボは、最近のディーゼルとしてはディーゼルっぽい響きを伝えてくる。その代わりというわけではないが、200馬力の最高出力はともかく、44.9kgmの最大トルクはこの排気量では卓越している。
姿はどうなろうとメルセデス”らしさ”は健在
試乗車はオプションのガラスサンルーフを装備していたので、車両重量は1900kgにも達するが、加速はいかなるシーンでも不満なし。9速ATはいつどこで変速しているのかわからないほどスムースなのに、常時低回転をキープし、速度だけをスルスル上乗せしていく。
とはいえ発進時にはやはり1.9トンのボディが影響しているようで、モーターがアシストしていることを体感できた。逆に減速時のエネルギー回生はさほど強烈ではない。ISGやバッテリーの容量の問題もあるのだろうが、エコモードを選んだときはもっと強くしてもいいと思った。
タイヤサイズは前後とも245/45R18。同じエンジンを積みAMGラインを選択したステーションワゴンはフロント225/45R18、リヤ245/40R18で大差なかったが、車高アップに対処しているのか、乗り心地は固めだった。
ただそれは郊外の一般道を流れに乗って走っているシーンでの感想で、わずか1200rpmでこなす100km/h巡航では低速での固さが消え、フラットになる。
ステアリングは、この日乗った他のCクラスと比べると、前輪も駆動していることがコーナーなどで伝わってきて、やや手ごたえがあった。ちなみに4WDの駆動配分は45:55固定で、オンロードでも前輪が駆動している感じはわかる。
インパネ中央のスイッチで切り替えるドライブモードには、上限が110km/hのオフロード、45km/hのオフロード+が加わった。砂利道でオフロードモードを試すと、前後の駆動配分やトラクションコントロールなどを絶妙に調節してくれるようで、ホイールスピンをほとんど出さずに発進できた。
では同時に乗った他のCクラスと比べるとどうなのか。まずはボディやパワートレインなど共通点が多いC 220 dステーションワゴンアバンギャルドから触れていくと、車体が50kg軽いので加速はさらに力強い印象であり、ISGのアシストはほとんど体感できないほどだった。
ステアリングは少し軽めになるものの、スポーツモードでなくてもスピードを上げれば適度な重さになるので問題なし。乗り心地はオールテレインほどではないが、フランス車に乗り慣れた身からすると低速では固いと感じた。ただ大きな入力になるほどしっかりストロークしてくるという、メルセデスらしさも確認できた。
オールテレインと明らかに違うのは、低めのドライビングポジションで味わう後輪駆動ならではのハンドリング。これはやはりSUVやクロスオーバーでは味わえない、独特の世界であるとあらためて教えられた。
セダンは1.5リッター4気筒ガソリンターボを積むC 200アバンギャルドAMGラインだった。このクルマのみオプションの4WSが装着してあった。
ガソリンでもそれなりにエンジン音は響いてくる。メルセデスのユーザーはこういう感触がお好みなのだろうか。最高出力は204馬力とディーゼルを上まわるものの、最大トルクは30.6kgm。3台のなかでは最軽量だが、それでも1700kgあるので、加速時のアシストの効果はいちばん明確だった。
セダンだけは過去に乗ったことがあるけれど、そのときと比べるとステアリングの手応えが格段に良くなっていた。スポーツモードでなくてもスピードを上げれば安心できるタッチになってくれた。
乗り心地はもっともしなやか。ノーズの軽いガソリンエンジンであるうえにボディ剛性も一段上なので、身のこなしは軽快かつ確実だ。Cクラスの基本はガソリンエンジンのセダンだと教えられた。AMGラインと4WSのない最新型を試してみたい。
現行Cクラスは価格が強気になった。セダンのC 200アバンギャルドでも654万円する。なので705万円のC 200 dステーションワゴンアバンギャルドにするなら796万円のオールテレインもありかと思う人もいるだろう。
ただそれはクルマ=メルセデスという思考の場合であって、僕はこのジャンルのパイオニアなのに価格は約半額というレガシィアウトバック、北欧生まれならでは心地よいセンスを提供しつつ200万円以上安いV60クロスカントリーに比べて、価格なりのアドバンテージはいまひとつという印象だった。
個人的にはセダンやステーションワゴンのAMGラインに相当するパッケージとして、いまだ根強い人気のGクラスをモチーフにした「Gライン」を設定してはどうだろうか。もちろん車高やタイヤなどをそれっぽいスペックにすることが条件だが、メルセデスのクロスオーバーならではの独自性をアピールできるはずだ。
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みんなのコメント
まあベンツを選ぶってある意味宗教みたいなもんだから、お布施ですかね。
試乗してEクラスのオールテレインにしました。