■ヘッドライトワイパーはなぜ付いていた?
ひと昔前のクルマには、ヘッドライトにワイパーが装着されている車種も存在しました。また、最近ではその代わりとして、「ヘッドライトウォッシャー」なる装備が付いているようです。一体どんな機能があるのでしょうか。
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一般的にワイパーといえば、フロントガラスやリアガラスの雨や雪を払う役割を持っており、ホコリなどで汚れてしまった場合でもウォッシャー液と併用することで視界を確保しています。
では、なぜヘッドライトにもワイパーが装着されているクルマが存在したのでしょうか。
ヘッドライトにワイパーが採用され始めたクルマは、メルセデス・ベンツやボルボなどの欧州車に多く、その理由はそれぞれの国の道路事情に関係しているようです。
ひと昔前は、地域によっては街灯が極端に少なく薄暗い道を走行することが多かったり、夜道はライトに虫などの汚れが付きやすい状況でした。
少しでも灯りを確保するため、ヘッドライトにワイパーをつけ、汚れを落とし綺麗なレンズにすることで光量を増やすといった役割をしていたようです。また、雪が降る地域ではライトに雪が付着するのを防止するといった効果もありました。
世界でヘッドライトワイパーが初めて採用されたのは、1972年に発売されたメルセデス・ベンツの初代「Sクラス(W116)」といわれています。
当時のヘッドライトはレンズの素材がガラスであったり、バルブがハロゲン仕様であったため、現在よりも数段に光量が少なく夜道での事故やトラブルが多かったようです。
しかし、1990年代後半になると「ハロゲンバルブ」から「キセノンヘッドライト(HIDヘッドライト)」へと移り変わることとなります。加えて、ライトカバーの素材もガラスから透明度の高いプラスチック素材へと変わり、当時の数倍の明るさを確保できるようになりました。
そのため、少々の汚れが付着したほどでは暗く感じることも減り、それと同時にワイパーの必要性もなくなったことから、現在のクルマにはヘッドライトワイパーの装着が見られなくなったようです。
しかし、キセノンヘッドライトの画期的な明るさと引き換えに失ったものがあります。それはハロゲンバルブで発生していた「熱」です。
この熱はヘッドライトの内に蓄積されるため、バルブ点灯時は常にライト全体が温かくなっている状態になります。そのため、雪が降った場合でもライトの熱によって雪を溶かしてくれるといったメリットがありました。
一方のキセノンヘッドライトは熱を発生させにくいため、バルブ点灯時でも雪を解かすことができません。そこで考えられたのがワイパーではなくウォッシャー液を噴射させる装置です。
主に欧州車で採用されることが多いですが、国産車ではマツダ「CX-5」やスズキ「ジムニー」など、SUVをはじめとして採用車種が増えています。
ヘッドライトウォッシャーについて、カー用品店スタッフは以下のように話します。
「国産車ではメーカーやディーラーのオプション設定のある車種は少ないため、あまり見かけません。しかし、後付けでダミーのヘッドライトウォッシャーカバーというものがあり、一定の人気があります。
とくに、白いボディカラーであればフロントマスクの『目元』の印象が変わるため、顔を重要視するユーザーに人気です。ミニバンなどのオラオラ顔のクルマに乗る人に多い印象です」
※ ※ ※
ちなみに、日本においてヘッドライトのウォッシャー装置は、2000ルメーン以上の明るさを放つライト類に設置の義務があり、明るさを改善させる目的ではなく、汚れによる乱反射で周囲のクルマの運転を妨げないためとなっているようです。
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