2019年9月3日、日産は新型コンパクトクロスオーバー ジュークを世界初公開した。
とはいえ、今回発表されたのは、英国サンダーランド工場にて生産され、欧州で販売されるモデルのみ。待望の日本市場での新型車登場はいまだ聞こえてこない。
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日産はジュークをどうするつもりなのか、元日産のシャシー開発エンジニアが考察する。
文:吉川賢一 写真:日産
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新型ジュークは日本市場で売れるのか?
今回発表された新型ジュークの映像によると、全体的な印象は現行型ジュークのキープコンセプトとはいえ、ボディサイドのキャラクターデザインや大きなVモーショングリル、前代ジューク譲りの丸型LEDヘッドランプ、フェアレディZに似ていたテールランプ、BOSEスピーカー内蔵シートなど、ずいぶんと洗練された印象を受ける。
普通にカッコ良いというのが、筆者の印象だ。
新型ジューク
時が定かではないが、初代ジュークを開発していた当時、ボディに偽装をした最終実験車を栃木にある日産の走行試験場のピットエリアで横目に見ていた。
当時は、どう見てもカッコいいとは思えなかった。前後が短く、背が高くて、タイヤもアンバランスに大きい。「デザイナーの暴走。どうしてあんなのが出てきたんだ」と同僚と話していたのを思い出す。正直なところ、誰も売れるとは思っていなかった。
現行型ジューク
しかし、世界デビューするや否や世界中で大ヒット。「キモカワ」、「ブサカワ」など、散々言われていたが、かえってあの癖の強さがウケけたのかもしれない。筆者の父も、知らぬ間にジュークターボを買っていた…。
「コンパクトで、カッコよくて、安い」となれば、日本市場でもヒットをする可能性が高い。ライバルとなるホンダヴェゼルやトヨタC-HRに対し、デザインや価格でアドバンテージを作れれば、おそらく今回のジュークも「出せば」絶対に売れるはずだ。
国内向けの新型ジュークが登場する条件とは?
欧州で出したのだから日本でも出せばよいと簡単に言う方がいるが、実は難しい課題がある。
それは、国内向けジュークをどこで作るかである。新型ジュークの販売が多く見込まれる欧州市場は、英国にある日産サンダーランド工場で生産することで、広くカバーすることになる。
しかし、欧州から日本へクルマを輸出して持ってくることは距離的にもあり得ない。
ジューク、ノート等を生産している追浜工場
現在、国内市場向けの現行型ジュークが生産されているのは追浜工場。ノートやキューブといった小型車や電気自動車リーフが混流で生産されている日産の主要工場だ。もし、新型ジュークが生産されるならば、この工場の他はない。
しかし、国内販売だけで、追浜工場への生産ラインへの投資することは不可能だろう。
すでに結論は出ているのだろうが、アジア圏にある右ハンドルの国、例えばマレーシアやタイ、ミャンマー、香港、インド、少し離れてオーストラリアやニュージーランドなどの輸出条件も含めて、ビジネス展開ができるか、日産は淡々と判断しただろう。
新型発表のタイミングをずらす理由とは?
ちなみに、仕向け違いで発表タイミングをずらす、ある理由がある。それは、今回発表された3気筒1.0リッターターボエンジン以外のパワートレインの存在だ。
自動車メーカーは、販売国ごとに、衝突安全性、排ガス規制など、法規の基準値をクリアしないとならない。そのため、優先順位の高い地域から順々に解決していく。
例えば、ガソリンエンジン仕様とハイブリッドエンジン仕様の2種類があった場合、3ヵ月や6ヶ月の間隔をあけて順次デビューさせる、ということは、よく行われていた。
ということで、筆者は、日本にはe-POWERグレードが導入され、東京モーターショーで発表されると予想する。
まとめ
他メディアでも、10月の東京モーターショーにて、日本向けの新型ジュークがお披露目になると予想されており、日本市場への新型ジューク導入が熱望されている。
国内向け新型ジュークにe-POWER、できれば進化型のe-POWERII[仮]が搭載されれば、高い商品力となるだろう。
先日、年内での日産キューブの生産終了が発表された。元日産社員としては、ジュークには、生き残ってほしい。
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