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GRヤリス ラリー1に、F1みたいなハイレーキコンセプト? 異常なまでに持ち上がったリヤフロアの理由とは?【WRC 2022】

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GRヤリス ラリー1に、F1みたいなハイレーキコンセプト? 異常なまでに持ち上がったリヤフロアの理由とは?【WRC 2022】

■リヤフロアを上げるとどうなる?
例年通り2022年シーズンもラリー・モンテカルロで開幕した、WRC(世界ラリー選手権)。セバスチャン・ローブ選手の通算80勝も大きなニュースとなったが、一番の話題はレギュレーションが大きく変わったトップカテゴリーマシン「ラリー1」のデビューだった。

●2022年シーズンを戦う、TGRのGRヤリス ラリー1

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1997年に始まり、2021年まで24年間続いたWRカーに代わって、今季から始まったハイブリッドカーによる新規定。よりワイド&ロー化が進んだボディや、左右サイドの大きなエアインテークなど、ラリー1ならではの外観の特徴は随所に見られたが、私が気になった点はレーキ角だ。

レーキ角とはフロアの角度のこと。フロントを低く、リヤを高くすることによって、フロア下の空気をより多く速く抜けるようにし、ダウンフォースを稼ぐ考え方だ。

F1ではよく使われる用語で、最近ではレッドブルのマシンなどがレーキ角度を大きくとっている。レッドブルのような特にリヤが高く持ち上がったフロアは「ハイレーキコンセプト」とも呼ばれている。

ラリー1に話を戻そう。今季デビューしたマシンは、トヨタGAZOOレーシング(TGR)のGRヤリス、ヒョンデのi20 N、Mスポーツフォードのピューマの3種類。モンテカルロを走ったこの3台をレーキ角順に並べると、ピューマ < i20 N < GRヤリスとなる。ピューマはあまりレーキ角が付いていないように見え、GRヤリスは見るからにハイレーキだった。

●ラリー・モンテカルロでのMスポーツフォード ピューマ ラリー1

●同じラリー、同じ場所で撮影された、GRヤリス ラリー1。ピューマと比べるとフロアの角度だけでなく、リヤエンドの高さも違う


■勝田選手が感じたWRカーとの違いとは?
ラリーでは、過去にレーキ角が付けられたマシンはあまり記憶がない。ではなぜ、ラリー1にはハイレーキのマシンが出てきたのか。その理由は、単純にダウンフォースが不足してしまったからと考えられる。

新規定では、今まで許されていたカナード類などのエアロパーツや、リヤエンドの大型ディフューザーが禁止された。ダウンフォースを稼ぐものはフロントとリヤのスポイラー類くらいしか付けられなくなってしまったのである。不足しているダウンフォースを補うために、GRヤリスにはハイレーキコンセプトが導入されたのだろう。

●GRヤリス ラリー1

しかし、モンテカルロはラリー1としてはまだ初めての実戦。その効果は必ずしもプラスに働いたわけではなかったようだ。

モンテカルロ直後にTGRの勝田貴元選手から聞いた話によれば、昨季までのWRカーと今季からのラリー1でもっとも大きく感じた違いは、高速域の安定感だそうだ。ラリー1のほうがハイスピード域での挙動が不安定に感じたようである。これは、現時点ではダウンフォースが明らかに不足している場合があるのだとわかるコメントだ。

ただ、勝田選手は今後のラリーでクルマの特性に合わせたセッティングをうまく合わせられるはず、とも語っている。今は走行距離があまりに少ないため、セッティングはまだ手探り状態。不安に感じる部分が出てきても当然だ。今後走行距離が増えるにつれて、安定する方向に向かっていくだろう。


■グラベルラリーではどうなる?
もう一つの疑問は、ラリー特有の路面の違いによるレーキ角はどうなるのかということ。これも勝田選手が答えてくれ、GRヤリス ラリー1に関してはターマック(舗装路)ラリーだけがハイレーキに。グラベル(未舗装路)ではハイレーキにならない予定だそう。グラベルはターマックに比べ必然的に最低地上高を上げなければならないため、フロントのフロア下をいかに狭くするかに重点をおいたハイレーキコンセプトは、あまり効果的ではない。

ということは、ターマック以外でのハイスピードラリーでは挙動の不安定感がさらに出てきやすくなるのかもしれない。WRカー時代ほどダウンフォースを得られないため、クルマがどう動いていくかを予想しずらく、ドライバーによっては今までの走り方を変えざるを得ない場合も出てくるだろう。

●2021年までのマシン、ヤリスWRカーのコーナリング中のカット。サイドフロアは平行に近い

●モンテカルロでのGRヤリス ラリー1。コーナリング中でもリヤに向かって持ち上がるフロアがわかる

あまりに走行データが少ないラリー1にとって、ハイレーキコンセプトは数ある選択肢のうちの一つに過ぎないのかもしれない。失った安定感をどう取り戻すか、目下そこが重要な課題であり、ハイレーキはその対策案の一つだということ。そう考えると、今後ハイレーキコンセプトがラリー1の主流になるとは限らない。今は試験的に取り入れていると考えるのが妥当だろう。

各チームが一体この先どういう結論を出してくるのだろうか。グラベルラリーに関して言えば、シリーズ後半戦が始まる第7戦のエストニア、第8戦フィンランドの高速グラベル2連戦が、一つの基準点になるかもしれない。ハイレーキコンセプトが使えないグラベルにおけるセッティングの答えがここまでに見つかっていないと、今シーズンの戦いは厳しくなるだろう。

そしてシーズン最後のターマック2連戦、スペインとジャパンでラリー1がどのような姿を見せてくれるのか? その時、ハイレーキコンセプトは健在なのだろうか? 今はそこを楽しみに待つしかなさそうだ。

<写真=Redbull/TGR 文=ドライバーWeb編集部・青山>

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みんなのコメント

4件
  • 勝田カンバレ。そしていつの日か表彰台トップに。
  • よくわからんけどグラベルで大丈夫なの?
    まあ事前テストやってるから問題ないんだろうけど
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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