メルセデス・ベンツ日本は2021年1月28日、8年ぶりにフルモデルチェンジしたフラグシップセダン新型「Sクラス」(W223)を発売しました。日本でのラインアップはディーゼルエンジン搭載の「S400d4MATIC」、「S400d4MATIC ロング」と、ガソリンモデルの「S500 4MATIC」、「S500 4MATICロング」の4モデルです。
新型Sクラスの使命
日産 2050年カーボンニュートラルの目標を設定 電動化を加速
11代目となる新型Sクラスは(W223)は2020年9月2日にワールドプレミアが行なわれました。このW223からはクーペやコンバーチブルモデルはラインアップになく、その代わりに次世代のAMG GTとSLクラスに置き換えられる予定です。ヨーロッパではこの新型Sクラスは2020年12月に発売が開始されています。
新型Sクラスもうひとつのトピックは、2021年の後半にはドイツでレベル3の自動運転システムを搭載し、公道で走り始めます。このレベル3自動運転は、国際協調法規により60km/h以下で作動し、ドイツでも日本と同様の法規が施行されます。
実はメルセデス・ベンツは1980年代にミュンヘン連邦大学のエルンスト・ディックマンズ教授のチームと共同で、Sクラスを使った世界初の無人運転車を開発した経緯があります。この取り組みの集大成となったのが1995年、ディックマンズ教授が設計した自律走行型システムを搭載したSクラスで、バイエルン州ミュンヘンからデンマークのコペンハーゲンまでの往復を完走しています。そんな経緯もあって、Sクラスは自動運転の分野でも先頭を走ることが求められているのです。
この他に、シュトゥットガルト空港では、ボッシュ、ダイムラー社が共同で、「無人自動バレットパーキング」(オプション設定)を可能にするために、立体駐車場を新設しています。
ドライバーはアプリを使って事前に駐車場を予約しておき、乗降ゾーンで車両から降り、クルマから離れることができます。車両はその後、完全に無人状態で自動的に駐車スペースを見つけて駐車。帰りも、スマホで呼び出せば自動で乗降ゾーンまで無人運転で戻ってきます。
この他に新型Sクラスの生産は、従来からのジンデルフィンゲン工場に隣接して新たにW223生産専用の新建屋、第56組み立て工場を開設。この工場は屋根の上のソーラーパネルにより発電し、バッテリーに充電されるようになっているなど、エネルギー消費量は以前の工場と比べて25%削減されています。
さらに組み立ては完全にデジタル化されており、納入された部品からCO2ニュートラルな方法で組み立てられています。電力はグリーン電力を使用し、使用する部品もカーボンユートラル証明書が義務つけられるというシステムとなっているなど、製造段階でのカーボンニュートラルを目指しています。
ラインアップとデザイン
新型Sクラスは、先代モデルよりも全幅が広がり、1954mmに拡大しています。またホイールベースは標準の3106mm(全長5179mm)、ロング仕様の3216mm(全長5289mm)、そして後から登場するマイバッハ仕様として3396mm(全長5470mm)の3種類を設定しています。
パワーユニットでは、日本へはS580など4.0LのV8エンジンモデルとディーゼルのローパワーモデルのS350dは導入されず、前述の4モデル展開となっています。ただ、プラグインハイブリッドモデルは追加導入が予想されています。
エクステリアのデザインは「Sensual Purity(センシュアル ピュリティ:官能的純粋)」という新たなデザイン言語に従い、ラインやエッジを大幅に削減し曲線を描く彫刻的な面により陰影を生み出しています。
シンプルかつクリーンで、しかも存在感を持つこのデザインは最新のラグジュアリーを再定義したものとされ、今後のメルセデス・ベンツの各モデルのデザインをけん引することになります。
インテリアも最新のラグジュアリーを再定義するポリシーが採用され、デジタルとアナログの調和に挑戦しています。
センターコンソール上部に位置する12.8インチの有機ELメディアディスプレイはセンターコンソールのブラックパネルからシームレスに繋がる縦型のディスプレイとなっています。このディスプレイに多くの機能を集約することで、これまでのSクラスの特長であった多くのスイッチ類を減らし、シンプルでクリーンに仕上がっています。
インスツルメントパネルに採用されているウッドトリムは大幅に面積を広げ、高級感を演出。そしてドアパネルまで回り込むデザインとすることで、一体的で包まれているようなデザインとしています。
ウッドトリムは標準仕様は落ち着きのある温かみを感じさせる「ブラウンウォールナットウッドトリム」、AMGラインを選択すると「ハイグロス スレートポプラウッドトリム」が装備されます。
センターコンソール、ドアパネル、オーバーヘッドコンソール、そしてステアリングにはブラックパネルのスイッチ類が配され、シンプルでありながら必要に応じて点灯したり、触覚フィードバックをするなど、新たなインターフェースを採用。
ステアリングホイールは、最新世代のものを採用し、エアバッグを内蔵しながら非常にコンパクトに仕上げられた中央部と、ブラックパネルとシルバーのエッジで縁取られ、ユリの花からインスピレーションを得た造形はシンプルでありながらラグジュアリーさを演出。Sクラスならではのウッドステアリング(標準モデルではオプション、ロングモデルは標準装備)はさらにラグジュアリーです。
室内を彩るアンビエントライト照明も大幅に改良され、先代と比べLED光源の数は40個から標準ボディで247個、ロングボディで263個となり、1m2当たり最大200カンデラと先代の10倍の明るさになっています。周囲の明るさに応じて日中モードと夜間モードが自動で切り替わるとともに、手動でも20段階で調整することができ、64色から選択可能です。
また、安全性では世界初の後席左右の「SRSリヤエアバッグ」を搭載し、後席の乗員の安全性を向上。この他にオプションで「SRSベルトバッグ」、座面の前部を跳ね上げることで前面衝突時の乗員の潜り込みを防止する「クッションエアバッグ」なども設定されています。
運転支援システム
運転支援システムを構成するセンサー類は次のようになっています。
フロント長距離レーダー(長距離:最大検知角度9度、近距離:最大検知角度90度)、フロントマルチモードレーダー(2個 : 最大検知角度130度)、リヤコーナーレーダー(2個:最大検知角度130度)、ステレオカメラ(最大検知角度70度)、360度カメラ(4個:最大検知角度180度)、駐車支援用超音波センサー(12個:最大検知角度120度)です。
また新たな機能としてはアクティブステアリングアシストが追加され、ステレオカメラと360度カメラを使用し、高速道路上で今まで以上に精密に車線中央を維持が可能になり、アクティブエマージェンシーストップアシストは、ドライバーが異常なときは徐々に減速して最終的に車両を停止させるようになっています。
さらにアクティブブレーキアシストは、交差点や曲がり角での右左折の際に対向、飛び出し、巻き込みなどにより、車両、自転車、歩行者と衝突する危険がある場合、警告や自動ブレーキが作動するようになっています。アクティブレーンキーピングアシストは、車線だけでなく芝などの路肩に対しても反応するようになっています。
パワートレーン
「S400d4MATIC」と「S400d4MATICロング」には、最高出力330ps、最大トルク700Nmと、クリーンディーゼルエンジンの中で最高水準の出力を誇る3.0Lの直列6気筒ディーゼルエンジン「OM656」を搭載。
このディーゼルは2ステージターボチャージャーを使用し、小さいタービンにはさらに可変タービンジオメトリーを採用しており、低回転域から高回転域まで全域でトルクフルな加速を可能にしています。排ガスシステムは、DPF/SCR触媒、後方のSCR触媒、アンモニアスリップ触媒を装備し、NOx、過剰なアンモニアを除去するようになっています。
「S500 4MATIC」と「S500 4MATICロング」は、3.0Lの直列6気筒ガソリンエンジン「M256」を搭載し、ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター、48Vボルト電気システを組み合わせたマイルドハイブリッドになっています。
エンジン単体で最高出力435ps、最大トルク520Nmを発生させ、エンジンとトランスミッションの間に配置されたISGは、モーターの最高出力22ps、最大トルク250Nmを発生。48V電気システムにより、従来のハイブリッド車のように回生ブレーキによる発電を行ない、約1kWhの容量のリチウムイオンバッテリーに充電されます。
ISGはエンジン始動、加速アシスト、ギヤチェンジアシスト、そして減速回生を行ないます。
トランスミッションは全モデルがワイドレシオの「9G-TRONIC AT」を採用。また全モデルが前後可変駆動トルク制御式の4輪駆動システム「4MATIC」を装備しています。
そして今回から後輪操舵システム「リヤ・アクスルステアリング」を新採用。これによりロングホイールベース/4WDのデメリットを解消しています。約60km/h以下でリヤホイールをフロントホイールとは逆方向に最大4.5度操舵し、これにより日常の走行シーンや、駐車する際には回転半径が小さくなっています。約120km/hを超えると、リヤホイールをフロントホイールと同じ方向に最大3度操舵することで、走行安定性を向上。もちろん、この速度間でも操舵角は自動制御されます。
装備
新型Sクラスは、12.3インチのワイドのインスツルメントパネル ディスプレイと、12.8インチの縦型有機EL(OLED)ディスプレイをセンターディスプレイの2画面を標準装備。さらに「リヤシートコンフォート パッケージ」を選択することで、後席左右に11.6インチの後席ディスプレイが装備されます。
そしてさらに「リアシートコンフォート パッケージ」を選択することで、後席左右に11.6インチの後席ディスプレイが装備され、個々の乗員の利便性を最大化します。
2018年から順次各モデルに搭載し、熟成が進められてきた対話型インフォテインメントシステム「MBUX」が最新世代に進化しています。
ボイスコントロールは「ハイ、メルセデス」をキーワードとして起動。多くのインフォテインメント機能(目的地入力、電話通話、音楽選択、メッセージ入力・読み上げ、気象情報)に加え、エアコンコントロール、各種ヒーター、照明など多様な機能にも対応。
また、音声認識だけではなく、タッチスクリーン、ステアリングホイールにあるタッチコントロールボタンでも様々な操作をすることが可能。
今回初めて、前後席それぞれ左右計4席のどの席から発話されているかを聞き分け、アンビエントライトでその席をハイライト。そして、発話者のゾーンのみ温度設定を変更したり、エンターテインメントシステムを操作するなど、それぞれの席に紐づいたコマンドが実行可能になっています。
この他にオプションで、ドライバーの顔、指紋、声の3種類いずれかの生態認証もしくはPINコードによる、計4種類の認証が可能。どれか一種類の認証により、シート、ステアリング、サイドミラーのポジションやコックピットディスプレイの表示スタイル、ペアリングした携帯情報端末、ナビゲーションのお気に入り設定などを統合して読み込むことができるようになっています。
さらにオプションで、世界初のAR(拡張現実)ナビゲーションをフロントウィンドウに表示できるようになっています。これは、車両の前面に広がる現実の景色がナビゲーション画面の一部に映し出され、その進むべき道路に矢印を表示。同時にフロントウィンドウのヘッドアップディスプレイ上には、進むべき道路が約10m先の景色に重ねて矢印で表示されドライバーのインターフェースをより視覚的に分かりやすくしてます。
またオプションでディスプレー兼メーターパネルは速度計などの表示が立体的に見える、「3Dコックピットディスプレイ」も採用できるようになっています。
シートは人間工学を考慮し、心地よく、疲労しにくいようにデザインされていることはもちろん、「エナジャイジング コンフォート」(標準モデルにオプション、ロングモデルに標準)は各種ヒーターやパフュームアトマイザー、シート設定、照明、音楽等のシステムを統合的にコントロールが可能。
モードは「リフレッシュ」や「トレーニング」など5つのプログラムから選択することが可能で、さらにシートクッションとバックレストのわずかな動きにより、着座姿勢の変更をサポートする「エナジャイジングシートキネティクス」が装備されます。
また新型Sクラスは、内装に再生プラスチックで作られたケーブルダクトや、再生ナイロン糸で作られたフロアカーペットなど、資源保全型材料を使用して作られ、これらのコンポーネントを重量にして98kg以上を採用しています。再生材料を含むコンポーネントの数は、先代モデルの2倍以上に当たる120点で、その他に再生可能原料を約40kgを使用しています。
発売記念の特別仕様車「S 500 4MATIC ロング ファースト エディション」
新型Sクラスの発表を記念した日本限定540台の特別仕様車「S500 4MATICロング ファースト エディション」の受注を開始しています。
この特別仕様車はS500 4MATICロングをベースに、さらにエクスクルーシブさを追求した限定車で、エクステリアは標準仕様と、よりスポーティなAMGライン仕様の2種類から選択可能。
エクステリアカラーはダイヤモンドホワイトとオブシディアンブラックの2色から選択可能で、AMGライン仕様ではさらにインテリアカラーもブラックとシエナブラウン/ブラックの2種類から選ぶことができます。
ホイールは標準仕様は19インチマルチツインスポークアルミホイール、AMGライン仕様では21インチAMGマルチスポークアルミホイールと1インチずつ大型化した専用のアルミホイールを装備しています。
インテリアはダッシュボードや前席のセンターコンソール、ドアトリムなどにもナッパレザーを用い、ルーフライナーはダイナミカ仕様とし、さらに前席背面や後席中央のアームレストの一部にもウッドトリムを装備するなど質感を向上。インテリアトリムには「ハイグロス・スレートポプラウッドトリム」を採用しています。
後席左右に装備される11.6インチのリヤエンターテインメントシステム、助手席側後席のフットレスト付エグゼクティブシートやSRSリヤエアバッグに代表されるリヤコンフォートパッケージを標準装備とし、後席の快適性を大きく向上させているのも特長です。
メルセデス・ベンツ Sクラス 諸元表
価格
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みんなのコメント
田舎なら小さな家が建つ程の価格なのに1年ごとに200万位価値が落ちていきます。
メルセデスケアも3年間無料ですが、後は1年更新で30万円以上の支払いでした。(ちなみに国産なら数万円程度)
車検も国産同排気量の車と比べると別格の価格でしたが当時はステイタスと思っていました。
憧れ一度は所有したかった車とはいえ2万5千キロ走行で5年後下取り300万円以下はショックでした。
車に対する考え方や見方を教えてもらったように思います。
それからは車選びは慎重に見た目やブランドには惹かれなくなりました。
車は消耗品とは言いますが勉強代としてはかけすぎました。
それぞれの車にそれなりの価値を見いだしたなら、それはそれで良いと思います。