2代目は華麗なスタイリングでユーザーを魅了!
クラウンが、スタイルはもとより、メカニズムを一新して新型車のRS40(クラウン)及びRS41(クラウン・デラックス)となったのは、1962年9月のことだ。それまでの、どちらかといえばクラシカルな雰囲気を持った「観音開きクラウン」を見慣れた目からは、それこそ異次元世界からやって来たともいえる、革新的なモデルチェンジとなった。
日本の高級車として成長してきたクラウン、その華麗なる軌跡【CROWN GRAFFITI】
2代目はカタログに「自動車工学の粋をあつめてスタイル」と謳うように、低く、長く、広いボディを持って誕生した。従来モデルよりホイールベースで160mm、全長は200mmも長く、全高は70mmも低くなっていた。ライバルであるセドリックやグロリアと比較してスタイリッシュさは圧倒的で、先進スタイリングが定評の当時のアメリカ車と較べても遜色のないスタイリングだった。しかもデュアルヘッドランプや、ドアに埋め込まれたドアハンドル、サイドまで回り込んだパノラミック・ウィンドウなどディテールの洗練ぶりも見事だった。
クラウンは純日本の技術で構成された高級車だったが、ユーザーの心を掴むマーケティングの手腕は、アメリカンビッグスリー(GM、フォード、クライスラー)に勝るとも劣らない国際センスといえた。
ラインアップは、6人乗り4ドアセダンでは標準型のスタンダードと豪華装備を持ったデラックスの2車種があり、デラックス仕様を基本としたステーションワゴン仕様がカスタムの名で用意された。注目はリアサスペンションだった。デラックス仕様及びカスタムでは、後輪がトレーリングリンク/コイルスプリングの組み合わせであったのに対して、スタンダード仕様及び商用車仕様(マスターラインの名が与えられた)では左右5枚ずつのリーフスプリングを用いた固定軸となっていた。これは、スタンダード仕様やマスターラインが主としてタクシー向けや貨客兼用と考えられていたためで、タフで過酷な使用状況に対処したものだ。
クラウンの静粛性を決定づけたX型フレーム
2代目の技術的な特徴は、頑丈なX型フレームとモノコック式ボディの融合にあった。曲げ、ねじれに強いボックス型断面のX型フレームにエンジンやサスペンションなどを組み付け、それを十分な強度を持つモノコック構造のボディを被せる独自の形式を採用したのだ。ボディやエンジン、マフラーなどのマウントはすべて振動を伝えにくい弾性支持で、ステアリングも国産唯一の2ジョイント式だったため、路面からの衝撃を適切に緩和する構造となっていた。
X型フレームとモノコック式ボディーの融合は、当時の劣悪な路面状況を考慮し、十分な耐久性を持たせるための工夫だった。しかもこの組み合わせは副産物として優れた静粛性と、振動の少ない乗り心地を生んだ。静粛性と振動の少なさは、しだいにクラウン最大のアピールポイントとなった。フレーム+モノコック構造は、路面状況が改善され、モデルチェンジを経てもクラウンの個性として継承される。
クラウンが完全モノコックボディを採用したのは1995年発表の10代目(一部シリーズは1991年発表の9代目)からだった。
当初のエンジンは、旧型から流用された3R型で、排気量1897ccの直列4気筒OHV。出力はデラックスが90ps/5000rpm、標準型のスタンダードが80ps/4600rpmだった。トランスミッションはコラムシフトの電磁式オーバードライブ機構付き3速マニュアルが標準仕様だったが、トルクコンバーター付きオートマチック(トヨグライド)もオプション設定されていた。駆動方式はFR。ブレーキはサーボ付きの4輪ドラム式である。車重はデラックス系1265kg、スタンダード系123kg、カスタム1350kgで、最高速度は140km/hと、当時としても実用上十分以上の性能を発揮した。
インテリアも一新され、横置き温度計式の速度計や円形の時計を一体で収めるインスツルメンツパネルと衝突時の乗員への安全性を考慮して、足の周囲から凹凸を排除したデザインとされた。シートベルトが標準では装備されていないことや開閉可能な三角窓がある所などは1960年代初頭という時代性を表している。
RS40/41系クラウンは、1963年4月にマイナーチェンジが施される。ボディサイズはエンジンルームの拡大にともなって、ボンネット部分が60mm延長された。これは、将来的に直列6気筒エンジンの搭載を考慮したものであった。また、ラジエターグリルの形やフラッシャーのバンパー内への移動などフロント部分の意匠変更を実施する。
テールライトの発光面積を増やすために矩形になり、ボディ各部にクロームメッキの飾りが増えるなどの変更が加えられた。シートベルトはオプション設定であったが、取り付けボルトが標準装備とされたのは大いなる進歩だった。
第1回日本グランプリを制したクラウン
RS40系のクラウンが、レースで活躍したことはあまり知られていない。1963年5月3日~4日に、完成間もない三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開催された第1回日本グランプリで、ツーリングカーC6クラス(1600~2000cc)で争われるC-レースに出場した4台のクラウンは、1位と6位を獲得した。クラウンの高速耐久性を立証した勝利だった。続く1964年の第2回日本グランプリでも3位に食い込む。この日本GPが契機となり、各社からセダンをベースとしたスポーツモデルが相次いで登場することになる。クラウンも1965年10月にセパレートタイプのフロントシート、エンジン回転計、フロアシフト、ディスクブレーキ、強化型サスペンション、ツインキャブ仕様の6気筒エンジンを備えたSモデルをがデビューする。RS40/41系クラウンは歴史に残る名車だった。
トヨペット・クラウン主要諸元
モデル=1962年式クラウン・デラックス(RS41型)
全長×全幅×全高=4610×1695×1460mm
ホイールベース=2690mm
トレッド=フロント:1360/リア:1380mm
車重=1265(AT1270)kg
エンジン=1897cc直4OHV(3R型)
最高出力=90ps/5000rpm
最大トルク=14.5kgm/3400rpm
最高速度=140km/h
最小回転半径=5.5m
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:トレーリングリンク
ブレーキ=前後ドラム
タイヤサイズ=7.00-14 4P
駆動方式=FR
乗車定員=6名
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みんなのコメント
ずっとクラウンらしい。