ベストな電動ドライバーズカー
電動化へのシフトを際立たせる分野があるとすれば、それは間違いなくスポーツカークラスだろう。
【画像】「本気」で攻めてきた新世代モデル【ヒョンデ・アイオニック5の内外装をチェック】 全35枚
従来はガソリン漬けでアドレナリン全開のマシンの独壇場であったが、近年では無鉛ガソリンよりもリチウムイオンを好む競合車が増え続けている。素晴らしいと思える電動スポーツカーも出てきた。
電動パワートレインは、単なる高出力・高性能を実現するだけでなく、「ハイパフォーマンスカー」という定義自体も広げている。今回は運転の楽しいEVを取り上げるが、伝統的な低車高のスポーツモデルから曲線美のあるクーペ、大陸横断型グランドツアラー、さらには奇抜なSUVまで、幅広いジャンルにわたる。
もともとドライバーズカーを得意とするブランドもあれば、普段は地味なイメージのあるメーカーのクルマもある。EV革命によって競争の舞台が様変わりしているのは明らかだ。しかし、見た目はバラバラでも、ドライバーを楽しませるという点では共通している。
ありがたいことに、選択肢の数は年々増えている。それでは、現代最高の電動スポーツカーを紹介しよう。
1. ヒョンデ・アイオニック5 N
長所:自由自在に操れるハンドリング、強烈な直進加速性能、標準車より大幅アップグレード
短所:出力向上により効率性はダウン、サイズがかなり大きく感じられる
見た目はスポーツカーには見えないかもしれないが、ヒョンデ・アイオニック5 Nは、その圧倒的なパフォーマンスとハンドリングのダイナミズムから、電動スポーツカーに分類されるべきである。
同社の高性能車部門である「N」は、純粋なドライバーズカーを目指して開発し、見事にそれを実現している。これまでに生産された電動車の中でもトップのドライバーズカーと表現したい。
ツインモーター・パワートレインを搭載し、226psが前輪に、383psが後輪に送られる。合計出力は650psで、0-100km/h加速はわずか3.4秒だ。
6つのドライブモードが用意され、モーターのレスポンス、ダンパーの硬さ、ステアリングの重さ、スタビリティ・コントロールの感度を調整できる。ギミック的な特徴の1つは、3種類のサウンドから選べる合成エンジン音だ。
しかし、アイオニック5 Nは単に優れたスポーツカーというだけでなく、84kWhバッテリーの航続距離は約450km、最大充電速度は340kWと、日常使用にも秀でている。
適度に静かで快適でもあるため、通勤車としても、サーキット走行用マシンとしても楽しむことができる。
2. ポルシェ・タイカン
長所:卓越したハンドリング、洗練された乗り心地、航続距離と充電速度の向上
短所:4人乗りとしての実用性はいまひとつ、売却時の価格は以前ほど高くない
ポルシェがEV市場に参入したとき、それがたとえ待ち望まれた参入でなかったとしても、ブランドの名に恥じないインパクトを与えることに成功した。
タイカンは従来の意味でのスポーツカーではなく、4ドアのグランドツアラー(GT)である。パナメーラよりもわずかに小さいが、決して見劣りするようなクルマではない。
繊細なボディコントロール、稀に見るバランス感覚、見事に調整された操作系、そして文字通り手に取るようにわかるステアリング精度を持っている。エアサスペンションによる乗り心地の良さも、魅力をさらに高めている。
もし目隠しと耳栓をつけて運転したとしても、「ポルシェ」であることは即座に分かるはずだ。ステアリングの重さや感触、正確無比な機動力、そして丁寧に調整されたダンピングに至るまで、ツッフェンハウゼンの血を引いていることは明らかである。
さまざまな仕様が用意されているが、最高出力530pのタイカン4Sにも素晴らしい要素が多く見られる。4Sは下位グレードにもかかわらず、スーパーカー並みの加速力を備えている。
上級のタイカン・ターボSは最高出力761ps、0-97km/h加速2.6秒という性能から、現実世界で最も速い市販車の1つであることは間違いない。また、ステーションワゴンの「スポーツツーリスモ」とSUVテイストの「クロスツーリスモ」もある。
しかし、お金を出すなら最高出力598psのタイカンGTSに軍配が上がる。走り好きのドライバーを喜ばせるようなサスペンション設定と十分すぎるほどの加速力を兼ね備えている。また、1回の充電で480km走れるため、より長い時間ドライブを楽しむことができるのだ。
3. アウディRS eトロンGT
長所:スムーズで静かなパワー、アウディのRSモデルらしい走り
短所:高価なオプション、アウディR8のようなギャップを埋められない
アウディの「RS」の名を冠した初のEVは、ポルシェ・タイカンの兄弟車だ。強力なツインモーター(前後1基ずつ)や3チャンバー式エアサスペンションを共有しており、バッテリーも同じ。最大350kWの急速充電に対応し、WLTPサイクルで約460kmの航続距離を誇る。
結論から言うと、RS eトロンGTはとにかく速い。最高出力646psと最大トルク84.6kg-mを発生させ、0-100km/h加速で3.5秒を切る余裕の加速を見せる。
ハンドリングの華麗さと一体感はポルシェには及ばないものの、かなり好印象だ。その分、タイカンと比べると足取りがゆったりとしている。EVとしての洗練性や快適性を考えると、同じくらい魅力的な選択肢だ。
4. リマック・ネヴェーラ
長所:地球上で最も速いクルマの1つ、驚くべきパフォーマンス
短所:240万ポンド(約4億5000万円)という価格
リマックほど短期間で大きな印象を残した自動車メーカーも珍しい。創業者マテ・リマック氏のクロアチアの小さなガレージから始まり、10年あまりでポルシェが一部を所有するようになり、ブガッティの未来を計画する会社に成長した。稀に見る急成長である。
若きリマック帝国の頂点に君臨するのが、「コンセプト・ワン」と「C_Two」に続いて登場したネヴェーラだ。2017年にデビューした際、間違いなく電動ハイパーカーのトレンドの火付け役となった。
ネヴェーラはわずか150台しか生産されないが、そのほぼすべてが予約済みだという。最高速度412km/hを記録するなど、さまざまな数字で人々の注目を集めている。
そのハードウェアも目を見張るものがある。複合素材のシャシーを中心に、各車輪にモーターが1基ずつ搭載され、フロントには独立したシングルスピードのトランスミッション、リアには2速DCTが備わる。
これらにより、ネヴェーラは合計出力1914ps、最大トルク234kg-mを誇り、0-100km/h加速はわずか1.95秒である。120kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は最長547km。
ダブルウィッシュボーン・サスペンション、トルクベクタリング、レベル4自動運転への対応能力など、まさに可能性の塊だ。当然、それに見合う240万ポンド(約4億5000万円)というお値段にも注目。
5. ロータス・エヴァイヤ
長所:EVとしては非常に軽い、驚異的な速さ
短所:航続距離が短い
歴史ある英国ブランドが送り出したスポーツカーとして注目を集めているのはエミーラだ。しかし、エミーラはロータスにとって内燃機関を搭載する最後の市販車であり、今後はすべて電動化されていく。
ロータスの電動化の先駆けとして登場したのが、130台の限定生産車であるエヴァイヤだ。スペックを見ると、いくぶん頭が下がる思いだ。4モーターの合計出力は2039ps、そして1680kgという電動スーパーカーの中では比較的軽い車重もあって、性能には期待が膨らむばかり。
詳しい性能はあまり公表されていないが、0-100km/h加速2秒以下、最高速度は320km/hに達するという。
とはいえ、ロータスは数値よりもハンドリングとダイナミズムを重視してチューニングしており、出力特性は自然吸気エンジンに近いという話もある。
ロータスの伝統的な特徴をどれだけ受け継いでいるかはまだわからないが、数ある電動ハイパーカーの中で、ドライバーズカーとしてはおそらくエヴァイヤが最有力だろう。
6. ピニンファリーナ・バッティスタ
長所:気持ちの良いステアリング、パワフル
短所:200万ポンド(約3億8000万円)と高価、10分の1以下で買えるサーキット走行車ほど楽しくないかもしれない
ポルシェ・タイカンとアウディRS eトロンGTの関係と同じように、ピニンファリーナ・バッティスタはリマック・ネヴェーラと多くの部品を共有している。バッティスタはより華やかな外観を持ち、グランドツアラー志向となっている。
とはいえ、スペックから明らかなように、決してソフトなクルーザーではない。4モーターから繰り出される1926psの出力と234kg-mのトルクにより、0-300km/h加速12秒以内、最高速度350km/hを達成する。
美点はそれだけではない。バッティスタは驚くほど繊細かつ安定感あるハンドリングを見せ、コーナーでもストレートでも、隅々までスリリングなフィーリングを味わえる。サーキットで試乗したAUTOCARの英国記者を笑わせたほどだ。
ピニンファリーナは現在ミュンヘンを拠点とし、親会社はインドのマヒンドラ・グループである。内外装ともに美しく仕上げられ、イタリアンな雰囲気を漂わせている。開発エンジニアには、パガーニやメルセデスAMGのOBが名を連ねており、その才能を遺憾なく発揮しているのだ。
7. マセラティ・グラントゥーリズモ・フォルゴーレ
長所:トライモーターを効果的に活用、純粋に新しい感覚
短所:グランドツアラーとしてはバッテリーが比較的小さい、ガソリン車より1万5000ポンド(約285万円)高い
イタリアを代表するブランドの1つであるマセラティは、ここ数十年にわたり、F1で優勝しファンの心を掴んでいた1950年代初頭の全盛期の影から抜け出せずにいた。しかし現在、今度こそ夜明けを迎えるのではないかと期待させるものがいくつもある。
スーパーカーのMC20、販売戦略的に重要なミドルサイズSUV、そして新型グラントゥーリズモの導入である。重要なのは、マセラティ初のEVが用意されている点だ。内燃機関にも電動車にも対応した新しいプラットフォームをベースに、EV版は「フォルゴーレ(イタリア語で『稲妻』の意)」と呼ばれている。
トルクベクタリングのために後部に2基、フロントに1基のトライモーター・パワートレインを搭載し、合計出力761ps、0-100km/h加速2.7秒、最高速度320km/hを実現する。
バッテリー(83kWh、航続距離450km)は細長い「H」型に配置されているが、これにより乗員の着座位置が低くなるだけでなく、マスが中央に集まることでアジリティも高めている。
シャシーの熟成度が高く、マセラティらしい魅力を感じられる。加速力もさることながら、シャープな旋回性能、リアを使った立ち上がりなど、その走りは一級品である。運転していてとても気持ちがいい。
8. MGサイバースター
長所:正確で確実なハンドリング、GTのようなしなやかな乗り心地
短所:クラシックなロードスターのような軽快感や俊敏さはない、インフォテイメントとADASシステムは注意を妨げる
MGサイバースターは、中国資本の英国ブランドであるMGにとって重要な新型車だ。ブランド創立100周年を記念するだけでなく、まだ希少な電動コンバーチブルでもある。
77kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は約444kmを謳う。そのエネルギーを2基のモーターに送り、合計出力510psと最大トルク74.0kg-mを発生し、0-100km/h加速を3.2秒で走破する。また、後輪駆動のシングルモーター仕様を選ぶこともできる。
重量があるため、マツダMX-5(日本名:ロードスター)のようなピュアで機敏な走りはできない。しかし、MGは伝統的なスポーツカーのように生き生きと楽しく走れるよう、さまざまな工夫を凝らしている。
そのハンドリングは魅力的で、急ぎさえしなければ、しなやかでコントロールされた乗り心地とよく調和する。
MGにとってスポーツカー分野への復帰となったサイバースターだが、真の切り札はその価格だ。シングルモーター仕様は5万4995ポンド(約1050万円)からで、ツインモーター仕様は5万9995ポンド(約1140万円)からとなっている。
9. BMW i4
長所:BMWらしいハンドリングとエルゴノミクス、快適性とキャビンの質感は良好
短所:実際の航続距離はそこそこ、高性能のi4 M50は必ずしも心に響くものではない
BMWには電動スポーツカーの経験と知識がある。かつてのi8(PHEV)もスーパーカーらしい外観と強力なパワートレイン、そして実に楽しいドライビング・エクスペリエンスを兼ね備えていた。i4は量産型としては初のドライバーズEVであり、その出来は決して悪くない。
i3やiXとは異なり、i4は内燃機関車と共通のCLARプラットフォームを採用している。簡単に言えば、4シリーズ・グランクーペを電動化したものだ。
エントリーモデルのi4 eドライブ40(後輪駆動)でも十分に快調だが、誰かに自慢したいなら高性能のi4 M50が必要だろう。ツインモーターを搭載し、合計出力543psで0-100km/h加速3.9秒を実現する。
車重は2.3トン弱あるものの、パワフルなモーターと賢いソフトウェアによってBMWらしく俊敏でコントロール性に優れており、その気になればテールハッピー・アクションも可能だ。M4コンペティションには及ばないが、スピード感は同等に感じられ、正確性には欠けるものの快適性と洗練性では上回っている。
i4 M50は、初期の電動ドライバーズカーとしてはかなり的を射ている。しかし、安価なi4 eドライブ40の方が親しみやすいハンドリングバランスを持っており、590kmという航続距離も捨てがたい。
ドライバーズカーとしては後者の方が有利であり、価格が安いという事実もその魅力をより一層引き立てている。
10. キアEV6 GT
長所:パフォーマンスは強大だが手に負えないわけではない、日常的に乗れる高性能車、キャビンは広く扱いやすい
短所:大きすぎて重い、EV批評家をうならせるほどの革新性はない、ドリフトモードは奇をてらったもの
このリストにキアが入るとは意外かもしれないが、キアは最近、我々の認識を変えようとしている。
ブランドイメージの改革は数年前、スティンガーGT-Sから始まった。強烈なV6エンジンと表情豊かな後輪駆動車らしいハンドリングを備えた4ドア・クーペだ。しかし、真打ちと呼べるものは、電動化を積極的に受け入れたからこそ実現できた。
標準車のEV6は、スタイリング、速さ、そして優れたハンドリングによってすでに高い評価を得ている。そのため、フラッグシップのEV6 GTへの期待も当然高かった。
EV6 GTはツインモーターを搭載し、合計出力585ps、最大トルク75.5kg-mを発生。0-100km/h加速は3.5秒、最高速度は260km/hに達する。77.4kWhのバッテリーの航続距離は423kmで、800Vの電子アーキテクチャーにより急速充電も可能だ。
シャシーにも改良が加えられ、ボタン1つでダンパーセッティングが可能になっている。
全体として驚くほど軽快だ。クイックなステアリング、安定感、そして破壊的な高速コーナリング。ドリフトモードは愉快だが、乱暴な挙動を誘発するので公道では使わないほうがいい。アグレッシブに走らせると、SUVのような腰高感と質量を抑え込むのに苦労し、少し粗く感じられる。
しかし、本当に優れているのはコストパフォーマンスの高さである。カタログ上では6万2645ポンド(約1200万円)とお高く見えるが、1ポンドあたりのパフォーマンスでこれに匹敵するクルマはほとんどない。
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みんなのコメント
小さいバッテリーでなるべく長距離を走れて、冷暖房を気にしないで済むものが必要では。
このレポートのような、加速とか、最大出力とかどうでも良くはないか?
EV車を検討している消費者とも意識のズレがあるのではないですか?