ほとんどの車種には、エンジンや装備内容などが違う複数の「グレード」が用意されている。なかでもスポーツ仕様のトップグレードや最も売れるグレードは、何かと注目度が高い。
スズキ スイフトを例にするなら、前者はスイフト“スポーツ”、後者はハイブリッド系のグレードといったイメージだろう。
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一方で、目立たないものの個性を見せる“隠れグレード”も存在する。先述のスイフトでいえば“RS”などもその好例だ。
こうした隠れグレードは「買い」なモデルでもあるのか? 6つの隠れグレードの買い得度を判定!
文:渡辺陽一郎
写真:編集部、NISSAN、TOYOTA、HONDA、SUBARU
ベストカー 2018年10月10日号
隠れグレード【1】デミオ/15MB
「15MB」はモータースポーツのベース車両で、エンジンは1.5Lの直噴式だ。デミオで唯一プレミアムガソリン仕様となる。トランスミッションは6速MTのみで、ギヤ比は15MB専用となっている。
そのほかの装備は、マイチェン前に設定されていた価格が最も安い「13C」(※現在は廃止)に準じるが、ホイールは軽量な15MB専用のアルミ製となる。
価格は156万600円で、以前の「13C」に比べて16万7400円高い。このうち、アルミホイールが6万~7万円に相当するから、エンジン性能の向上に支払われる対価は10万円前後だ。
エンジン排気量の価格換算は「100ccあたり2万円」が相場となる。200ccなら4万円だから、10万円に達する15MBは割安とはいえない。
それでも販売台数のかぎられるモータースポーツのベースエンジンで、使用燃料がプレミアムガソリンに変更されることまで考えると、価格は妥当だろう。
買い得感:★★★☆☆
隠れグレード【2】フェアレディZ/ヘリテージエディション
初代フェアレディZは、日本だけでなく北米でも注目を浴びた。1977年には、北米でイエローのボディにブラックのレーシングストライプを装着する「280Zスペシャルデコレーションパッケージ」が設定され、高い人気を得ている。
そこで現行フェアレディZに、リメイク版のヘリテージエディションを用意した。
内外装は41年前に発売された「280Zスペシャルデコレーションパッケージ」に似ている。イエローのボディカラーやデカールは、ヘリテージエディション専用だ。ステアリングホイール、フロントセンターコンソールなど、内装も専用色に仕上げた。タイヤサイズなどを含めた装備内容は、フェアレディZの標準仕様と同じだ。
価格は17万2800円高い。色彩の変更で、この金額が上乗せされた。特別仕様車としては割高感が伴う。
買い得感:★☆☆☆☆
隠れグレード【3】アクア/クロスオーバー
アクアの「G」をベースに、外観をSUV風に変更したグレードだ。
フロントグリルやバンパーの形状を変えて、SUVの定番となるブラックのフェンダーアーチモールも備わる。16インチのアルミホイールも装着した。シート生地は合成皮革を使った仕様に上級化している。
これらの装備を価格に換算すると16万円だが、クロスオーバーは「G」では標準装着となるスマートエントリーを4万3200円のオプション設定に変更している。クルーズコントロールも非装着だ。
これらの換算額は合計6万円だから、差し引き10万円相当の装備を加えたことになる。それで価格は「G」と同額だから、クロスオーバーは10万円分割安だ。
クロスオーバーの前身グレードだった「Xアーバン」が割高で売れず、クロスオーバーは価格を抑えている。
買い得感:★★★★☆
隠れグレード【4】レヴォーグ/1.6GTアイサイト Sスタイル
レヴォーグのエンジンには、水平対向4気筒1.6Lターボと、2Lターボがある。駆動方式は全車が4WDで、アイサイトも標準装着する。
エンジンが割安なのは1.6Lターボだ。2Lターボは4WDがセンターデフを使ったVTD(不等&可変トルク配分電子制御AWD)になることもあり、1.6Lターボに比べて、装備差を補正しても価格が約50万円高まる。
そして、さらにこの1.6Lターボを検討すると、機能や装備のわりに価格を抑えたのが「1.6GTアイサイト Sスタイル」になる。
「1.6GTアイサイト」に、運転席の電動調節機能、前席シートヒーター、スーパーUVカット&撥水加工ガラスなどを加え、アルミホイールとタイヤサイズを18インチに拡大したグレードだ。これら11万円相当の装備を加えて、価格上昇は9万7200円に収まる。
18インチアルミホイールや電動シートなどがほしいユーザーには買い得だ。
買い得感:★★★☆☆
隠れグレード【5】スイフト/RS
スイフトではスポーティグレードの「RS」が割安だ。サイドアンダースポイラー、ルーフエンドスポイラーなどのエアロパーツが備わり、アルミホイールも切削加工&ブラック塗装になる。
これらの装備は12万円に換算されるが、スイフト RSでは、標準ボディと比べた時の価格を約7万円の上昇に抑えた。つまりスポーティな装備が5万円割安に備わっているのだ。
そして「RS」のパワーユニットは、ノーマルの1.2L、マイルドハイブリッドの1.2L、1Lターボがある。マイルドハイブリッドの価格は、ノーマルエンジンよりも約10万円高い。
この価格差を燃料代の差額で取り戻すには、10万kmの走行を要する。走行距離が伸びるならマイルドハイブリッドが割安だが、1年間で1万km以下の場合はノーマルエンジン車を推奨する。
買い得感:★★★★☆
隠れグレード【6】N-ONE/RS
N-ONEはホンダNシリーズのなかでスペシャルティカー的な位置付けにある。そこで2017年12月のマイナーチェンジで追加されたのが、最もスポーティな「RS」だ。
「RS」はターボエンジンを搭載する「プレミアムツアラー」をベースに、ローダウンサスペンションを装着して、アルミホイールはオールブラックに変更した。内装もステアリングホイールなどのデザインが「RS」専用になる。
「RS」の価格をプレミアムツアラーと比べると9万9360円高い。「RS」では実用性の高い装備は加わらないから、価格上昇は6万円程度に抑えたい。それでも内外装のデザインが気に入ったのであれば選ぶ価値がある。
また、ローダウンサスペンション装着車は、ノーマルサスペンション装着車に比べてルーフ形状も異なり、全高を1545mmに抑えている。そのため、「RS」は立体駐車場を利用しやすい便利さもある。
買い得感:★★☆☆☆
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