■そもそも水抜き剤は何のために使うのか
かつてガソリンスタンドではスタッフから「水抜き剤を入れますか」という定番のセリフが聞かれました。
しかし最近では定番のセリフを聞く機会が減っていますが、そもそも水抜き剤にはどのような効果があるのでしょうか。
【画像】「え…!」 これが給油口の中身です! 意外な構造を画像で見る!(23枚)
かつて給油の際にガソリンスタンドスタッフから水抜き剤を勧められることや、レジ横にも水抜き剤が並んでいる光景が当たり前のようにありました。
実際に勧められた側も、数百円程度の出費のため「水抜き剤を入れてみよう」程度でやりとりされていたようです。
そんななか、近年では勧められる機会がほとんどなくなりました。
もともと、水抜き剤はクルマの燃料タンク内の水を除去するために開発されました。
本来、燃料タンクには水が混入することはほとんどありませんが、給油時にタンク内に水分を含んだ外気が入りこんだ際に、燃料タンク内の温度差で結露が発生して水分が蓄積されます。
たまった水分が燃料と一緒に燃焼されればいいのですが、燃料は油が主成分なので水と混ざらずに水だけが燃料タンクの底に溜まることで、タンク内のサビに繋がりかねません。
タンク内で溜まったサビは、燃料と混ざるとエンジンの不調になるだけでなく、進行することによって燃料タンクに穴をあける原因になることもあります。
そこで利用されるのが水抜き剤で、主成分であるイソプロピルアルコールが燃料と水を混ぜ合わせることで、燃料と水を一緒に燃焼させてタンク内の水を放出する仕組みです。
このような重要な役割を果たす水抜き剤ですが、最近では勧められる機会が減ってきた背景には、どのようなものがあるのでしょうか。
水抜き剤が利用されなくなってきた要因のひとつに、燃料タンクの材質変更があげられます。
昭和や平成初期のクルマは金属製の燃料タンクがほとんどでしたが、1995年ぐらいからレイアウトの自由度や衝突時の安全性を理由に樹脂製の燃料タンクが採用されてきました。
樹脂製の燃料タンクは当然サビの心配がないので、水抜き剤が不要というのが理由のひとつです。
現在でも金属製のタンクを採用しているクルマはありますが、以前のクルマに比べて燃料タンク内部の防錆処理や密閉性の向上もあって、水抜き剤を利用する機会が減ってきました。
また、ガソリンスタンドのセルフ化や単価が安い水抜き剤はカー用品店でも勧めるメリットが少ないのも理由のひとつといえます。
それでは燃料タンクが進化したことから、水抜き剤は完全に不要といえるのでしょうか。
首都圏内のガソリンスタンドの担当者は、次のように話します。
「近年では水抜き剤のお取り扱いは、かつてと比較すると減少傾向にあります。
一方で、樹脂製タンクを採用していない金属製タンクのクルマは、まだまだ利用する価値があります。
とくに年式が古ければ古いほど、タンク内の内部処理や密閉性が低いこともあり、燃料タンク内部がサビやすくなっています」
このように、旧車などに乗っているユーザーにとっては、水抜き剤は欠かせない存在かもしれません。
さらに、水抜き剤の適切な使用タイミングとしては、金属製の燃料タンクのクルマでは、湿度が高く降雨量の多い梅雨の時期や昼夜の寒暖差で結露が発生しやすい冬季の年2回ほどが効果的といえます。
※ ※ ※
一部のディーゼル車では水抜き剤を推奨していない場合もあり、取扱説明書にも「燃料添加剤や水抜き剤を使用しないでください」と明記されているので注意が必要です。
ほかにもクルマの燃料関係の部品は、水抜き剤の主成分であるアルコールが使われることを想定していないので、多量に水抜き剤を使用するとクルマのゴム素材を傷める可能性があります。
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みんなのコメント
も定番だよな
一回エンジンかけただけで
真っ黒になるオイルもあるのに