長野から東京までレンジローバーをドライブした。現行型はもうずいぶん長く売っているような気がして、そろそろモデルチェンジの噂か次期型のスパイフォトが出る頃では? と、思い調べると、モデルチェンジしたのは2012年だった。まだ約7年しか経っていない。
なにしろ先代(3代目)は10年間、その前(2代目)が8年間、さらにその前の初代は26年間も販売したモデルだ。そういえば2018年にフェイスリフトがおこなわれ、「ヴェラール」に端を発する新世代のファミリーフェイスにそろえられたばかりだった。つまりもう少しこの世代の販売は続くのだろう。
1970年に登場したレンジローバーは、「砂漠のロールス・ロイス」と称されたように、本格的オフローダーでありながらオンロードを走らせても快適である“プレミアムSUV”のはしりだ。
初代が1970年に登場したとき、レンジローバーは新しいコンセプトのクルマとして注目を集めた。すなわちラグジュアリーなオフローダーである。当時、ラグジュアリーなクルマもあったし、オフローダーもあったが、両方を兼ね備えたクルマはなかった。そのコンセプトは今でいうプレミアムSUVそのものだ。つまり多くのブランドが最近になってせっせと企画・開発しているプレミアムSUVを、ランドローバーは40年以上前に手がけたのだ。
だからレンジローバーはプレミアムSUVとしてずいぶん前にほぼ完成の域に達している。最新のレンジローバーは素晴らしいが、出た当初から素晴らしかったし、もっと言えば先代も先々代も素晴らしかった。現行モデルはオールアルミモノコックを採用して軽量化を図ったほか、PHV(プラグ・イン・ハイブリッド)モデルを追加するなどして、燃費を向上させた。また追従型ADAS(先進運転支援システム)を段階的に充実させて、ライバルに対抗した。
正直に言ってレンジローバーが最新のハイテクデバイスに強いといった印象はなかった。しかし今回試乗したモデルは、夜間ハイビームを照射しての走行中、先行車や対向車のドライバーを眩惑させないよう、その部分のみ照射しない仕組みが備わっていて、「アウディみたいなこともできるんだ!?」と、感心したように、ハイテクデバイスは最新仕様にアップデートされている。
そうやって時代が求める装備やコンセプトを取り入れはするものの、大きくて豪華で快適、かつオン/オフ問わず一級の動力性能を発揮するというレンジローバーの昔からのコンセプトはぶれていない。それは、長野から東京までさまざまなシーンを走行して確認出来た。
また、モデルサイクルは長いものの、アナウンスしなくても細かく装備を充実させるので、次期型を待ったほうがいいということはなく、いつ買っても後悔させないというメーカーの姿勢も素晴らしい。
試乗車が搭載するエンジンは、スーパーチャージャーで過給されたガソリン3.0リッターV型6気筒。最高出力が380psバージョンと340psバージョンの2種類があって、試乗したのは前者である。8速ATのギアリングがよく練られているのもあって、あらゆる場面で2340kgの巨体を痛痒なく走らせるだけのパワーをもちあわせていた。また、高速道路を中心に走行した燃費は7.5km/Lだった(メーター表示値)。
ほかにスーパーチャージド5.0リッターV型8気筒エンジン搭載車もあって、そちらは贅沢そのもの。ディーゼルの3.0リッターV型6気筒ターボエンジン搭載車を選べば、ガソリンV型6気筒モデルと同程度の力強さをより経済的な維持費で味わえるが、ガソリンよりは音と振動を発する。
ところで、長野(県白馬地方)といえども2月も後半になると幹線道路に雪はない。せっかくレンジローバーを運転しているのにつまらないなぁ……と、思っていたら、除雪をしていない、おあつらえむきの脇道があった。ターンシグナルを点滅させて左折、脇道へ入っていった。
前輪が雪道に差し掛かり、“ザクッ”という音を立てた。見た目にも、また感触からしても降りたての雪ではなく、何日か前に降って凍った雪だ。前輪に続き、後輪も雪に差し掛かる。数メートル進んだところで車体全体がガクッと下がった。凍って硬かった雪面がレンジローバーの重みに負けて、タイヤが先ほどまでよりも深くめり込んだのだ。
アクセルをじわりと踏み込んでも進まない。タイヤが一瞬空転し、横滑り防止装置が作動し、回転数が上がらなくなる。助手席の編集部員が不安そうな表情をこちらに向ける。「大丈夫、このクルマをなんだと思っているんだい?」という表情を返す。あわてず「オートモード」だったテレインレスポンスを「雪」に合わせる。これでセンターデフの締結力が強まって、トラクション能力が上がるはずだ。
アクセルを踏む。同じように回転数が上がらない。バックギアに入れて同じことをするも車体は動かない。ほう、手強い雪だなぁと、思っていたところ、編集部員が緊急時の連絡先を書いた紙を探し始める。「おいおい、われわれが乗っているのは○✕△□じゃなくレンジローバーなんだぞ! 助けを呼ぶ段階じゃない」と半ば自分に言い聞かせるように言う。
呼吸を整え、今度は車高を上げることにした。タイヤがめり込んだのだからエア・サスペンションを調整し、車高を上げ、ロードクリアランスを高めればよいはずだ。スイッチを押す。車体が雪面にのっかっている状態なので車高が上がった実感はないが、4輪が下がってグリップを得たはずだ。アクセルを踏む。車体が少し前進する素振りを見せた。手応えあり。
しかし走行するまでには至らない。前進も後退も車体が動こうとするだけだ。編集部員はここへきて無表情……。続いて横滑り防止装置をオフにしてアクセルをじわりと踏み込む。タイヤがスリップしながらも車体が前進し始めた。車体底部と凍った雪面がこすれる音がする。やった。よかった。安堵した気持ちを編集部員に気取られぬように「だから言ったでしょ、大丈夫だって」と言いつつ、調子に乗るのはやめておこうと後退、幹線道路へ戻った。
いろいろなソリューションを試す順番が正しかったかどうかはわからない。思いついた順に試した。もしかしたら最初から横滑り防止装置をオフにすればすんなり抜けられたのかもしれない。そもそもレンジローバーの車重が2tを大きく超えていなければ沈み込むこともなかったのかもしれないが、それはそれとして(車重が2t超ある)、その代わりに、乗用車として最高レベルの悪路走破性と乗用車として最高レベルの快適性、贅沢さを兼ね備えているのだ。
いつの世も、レンジローバーは現代人のわがままな要求に対し、技術力でねじ伏せるようにその要求に応じ続けているのだなと納得した頃、都内の目的地に到着したのであった。
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