5月13日(水)に開催された『TCRヨーロッパSIM Racing』第2戦レッドブルリンクは、開幕戦をハットトリックで制し初代勝者に輝いたダニエル・ナジー(ヒュンダイi30 N TCR/BRC Racing)が好調を維持し、レース1を獲り開幕3連勝を達成。しかし続くレース2はニールス・ラングフェルド(アウディRS3 LMS/Comtoyou Racing)が制し、初優勝を飾ると同時にナジーの完勝を阻止。ともにWTCR経験者が実力を誇示し合う結果となった。
人気レースシムの『Assetto Corsa(アセットコルサ)』を採用する同シリーズだが、この仮想空間での各ラウンド成績優秀者には、現実のレースイベントでヨコハマタイヤ2セットを無償供給するという無視できないプライズが用意されている。
『TCRヨーロッパSIM Racing』開幕戦はヒュンダイのナジーがパーフェクト達成
そんな前提条件で各ドライバーが挑んだこのオーストリアのF1トラックでも、予選から速さを見せたのは“パーフェクト・マン”ことナジーで、本人は「開幕戦後から誰もが集中してアセットコルサの練習を始めていたし、僕にアドバンテージはない」と言いつつ、セッション早々にポールタイムを記録してみせた。
するとレース1スタートでも盤石のダッシュを切り、フロントロウに並んだジル・マグナス(アウディRS3 LMS/Comtoyou Racing)を抑えてホールショット。そのまま13周のレースで後続と常に1.5秒以上のマージンを保ち、開幕戦に続いて完璧な勝利を手にすることとなった。
その後方では、オープニングラップの攻防で6番手発進だったハンガリー人のベンス・ボルディズ(セアト・クプラTCR/Zengő Motorsport)が、ターン1出口でワイドになり9番手に後退。
3番手を走るおなじくハンガリー出身のタマーシュ・テンケ(セアト・クプラTCR/Tenke Motorsport)の背後で4番手争いを繰り広げたジミー・クレーレ(プジョー308TCR/Team Clairet Sport)とマット・オモラ(ヒュンダイi30 N TCR/BRC Racing)は、続くターン3でヒュンダイにプッシングを受けたプジョーがコースを外れポジションをドロップ。代わってジミーのチームメイトであるテディ・クレーレ(プジョー308TCR/Team Clairet Sport)がヒュンダイのテールに迫り、兄弟の無念を晴らす機会を伺っていく。
■レース1は後半まで集団バトルが続く白熱の展開に
そして3周目にオモラのインサイドに飛び込んだテディ・クレーレに対し、ターン2出口でディフェンスラインをとったオモラが並び、その背後からバトルを静観していた2018年シリーズ王者のミケル・アズコナ(セアト・クプラTCR/PCR Sport)が加わり、3台はスリーワイドのバトルに突入。この勝負を制したのはアズコナで、クレーレ、オモラのオーダーに変わり、その背後には猛烈な追い上げを見せるボルディズも迫ってくる。
5周目には業を煮やしたオモラがアズコナのインを刺しオーバーテイクを決め、これに乗じたボルディズもポジションアップに成功。アズコナは7番手にまで下がってしまう。
終盤まで続いた集団バトルは何度もポジションを入れ替えながらファイナルラップへと突入し、アズコナは最後のアタックを敢行するも、ラインクロスで応戦したボルディズを攻略することは敵わず。ナジー、マグナス、テンケのトップ3に続き、テディ・クレーレ、オモラ、ボルディズ、アズコナのトップ7となった。
一方、最終周の手前で順位を落としていたアンドレアス・バックマン(ヒュンダイi30 N TCR/Target Competition)が開幕戦に続いてリバースポールにつき、前戦11位フィニッシュのアウディ、ラングフェルドがフロントロウに並んだレース2は、スタートで雌雄が決する展開に。
アウト側のレコードライン上ながらアウディに先行を許したバックマンが下がると、ラングフェルドがナジーのレース運びを再現するように13周を走破。対照的にバックマン兄妹の長男はペースに苦しみ、ターン2でアズコナにパスされると、その後もオモラ、マグナス、テディ・クレーレにもオーバーテイクを許し、6位でチェッカーをくぐった。
一方、ここまでパーフェクトなレースを続けてきたナジーは、スタート直後に2度のアクシデントに遭遇し一時は14番手にまでドロップしたものの、終盤はテンケとのバトルを展開して8位までカムバックしてフィニッシュ。選手権ポイントを155点まで伸ばし、ランキング2位テンケとの差を44点とした。
全7戦が予定される『TCRヨーロッパSIM Racing』シリーズ。続く第3戦はハンガロリンクを舞台に、2週間後の5月27日(水)に争われる。
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