■新型「ヴェゼル」ガソリン&ハイブリッド それぞれどんな感じ?
ホンダは2024年4月26日に改良モデルの「ヴェゼル」を発売しました。内外装の変更のみならず、新タイプの設定やパワートレインのアップデートが施されています。
早速編集部Nが試乗し、ハイブリッドモデルとガソリンモデルを乗り比べてみました。
【画像】超カッコいい! これがホンダ「新型ヴェゼル」です! 画像で見る(30枚以上)
現行型ヴェゼルは2021年4月に発売。初代で人気を博した流麗なデザインをさらに際立たせ、イメージチェンジするとともに、2モーターハイブリッド「e:HEV」を搭載して、走行性能の向上を図りました。
今回の改良は、登場から3年を迎えたことで、フロントフェイスやテールをメインとするデザイン変更に加え、e:HEVモデルのパワートレイン制御の変更やラインナップの整理が実施されています。
ラインナップは1.5リッター4WDガソリンモデルの「G」、e:HEV搭載モデルの「e:HEV X」、同「HuNTパッケージ」、「e:HEV Z」、同「PLaYパッケージ」を設定。e:HEVモデルの駆動方式は全車でFFとリアルタイムAWD(4WD)を選択できます。
まず、e:HEVモデルに追加された「Z PLaYパッケージ」のFFモデルを試乗してみます。
改良では、e:HEVモデルではEVモード、エンジン走行モードそれぞれで制御の見直しが図られています。
ハイブリッドシステムやバッテリー自体を変更したり、容量アップといったハード面での変更は施されていませんが、従来はバッテリーの使用容量にある程度のマージンをもたせ、“食べ残し”で走行していたのに対し、改良で使用範囲を拡大したことで、実質的に“ほぼ完食”できるような制御になっています。
これにより、頻回なバッテリー充電を避けることができ、エンジンの始動・停止回数が少なくなったことで、騒音やフィーリングが向上。
ハイブリッド車は、市街地のような低速ではEVモードで走行することが多いですが、このときにエンジンが始動するとやはりギクシャク感が生じてしまうため、乗り心地やエンジンノイズなどに影響を及ぼします。
改良モデルでは、煩わしいエンジン始動・停止が減ったことで、スムーズに運転することができ、ストレスのないなめらかで静かな走行が可能となりました。
開発担当者によると、登場当初、実際のバッテリーの耐久性や使用状況といったデータが少なかったヴェゼル e:HEVが多くのユーザーに広く親しまれ、さまざまなデータが取れるようになったことが今回の改良につながったと言います。
また、同時に加速時のレスポンスもセッティング変更により向上。
e:HEVモデルに備わるドライブモードセレクトを「SPORT」にすると、鋭い加速を味わうことができ、東名高速の追い越し車線でももたつくことなく、スムーズな加速ができました。
そして、静粛性の向上も今回の改良のトピックのひとつです。
ボンネット裏のインシュレーター(防音材)はエンジンとの隙間が減った肉厚タイプへと変更され、ダッシュボード周辺やフロアカーペット、さらには天井内張りも2倍の厚みを持ったインシュレーターを採用。
開発担当者の話では、「インシュレーターの重みで内張りが浮かないようしなければならないため、生産チームに怒られながらやりました」と説明しています。
試乗車のタイヤはコンフォート系タイヤを装着しており、静粛性については通常のタイヤよりも有利な面もありますが、それ以上に遮音を高めた効果は大きいようで、郊外の荒れた路面や東名で周囲の流れと同じレベルで走行していると、コンパクトカーのレベルを超えた静粛性だと感じます。
特に、改良前のヴェゼルに乗っている人であればこの違いは大きく映ることでしょう。
先出のようにパワフルな制御になったe:HEVモデルとの組み合わせもよく、またアクセントカラーがブルーに変更され、落ち着きを増したPLaYパッケージの内装も相まって、上級モデルに乗っているような上質なドライブを楽しむことができます。
また、e:HEVモデルのFF車のみ、電動パワーステアリングのソフト変更とダンパーの減衰力を変更し、安定感と乗り心地を向上。
単純比較は難しい部分ですが、郊外のワインディング路を法定速度内で楽しむレベルでも、ステアリングは自然で安定していることがわかり、うねりを伴った路面や凹凸のある箇所でも、特にリア周りの動きがとても快適で、ヘッドレストが大型化されたことも相まって、後席でも安心して過ごせました。
■実は「アンダー300万円の最廉価モデル」も魅力
では続いて「G」はどのようなクルマなのでしょうか。
唯一のガソリンモデルであるGは、ヴェゼルのなかでも最廉価のポジションを担っていますが、改良によってFFモデルが消滅。4WDのみとなっています。
開発担当者によると、ホンダのラインナップでは新たにエントリークラスの「WR-V」が追加されこちらがFFのみとなっていることから、手軽なモデルはWR-Vに任せ、求めやすい4WD車の立場をGが担うことになったと言います。
早速乗ってみると、常にエンジンが始動しているとはいえ車内はかなり静かな印象です。
e:HEVと比較すると、加速時などはそれなりにエンジン音も車内に入り、やや非力に感じるとはいえ、追い越しなどでも必要十分な加速が得られます。
また、e:HEVの4WDよりも車重は100kg以上軽いため、ワインディングでは身のこなしが俊敏で、キビキビと走るためにはあえてこちらを選択するのも良さそうです。
リアは若干跳ねるような動きもありますが、4WDの制御が進化したこともあり、動きが破たんしそうな雰囲気はあまり感じられず安心感は高いと感じます。
さらに、e:HEVでは減速セレクターが装備されるのに対し、Gではパドルシフトが備わるため、よりスポーティなシフトダウン・アップが可能。エンジンをフルに使い切りながら走行できるという楽しみもできます。
そして、Gの最大の魅力は価格です。
4WDでありながらも264万8800円(消費税込み)に設定され、WR-Vの最上級グレードに少しプラスするだけで4WDと上級モデルらしい質感を手にすることができます。
渋滞アシストや車線逸脱防止支援などのホンダ センシングはもちろんのこと、ブレーキホールドや前席シートヒーター、本革ステアリングなども標準装備されています。
e:HEVの上級モデルと比較するとややインテリアの雰囲気等はシンプルですが、必要にして十分なものは備わっているため、値段以上のお買い得感があると言えます。
※ ※ ※
改良でラインナップが拡張されたことによって、ユーザーのセンスに応じたコーディネートを選ぶことが可能になり、より親しみやすいモデルへと変化しました。
新型ヴェゼルの価格は264万8800円から377万6300円です。
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「すごい!」と言い切らずに「?」を付けてるところがなかなか…