自動車メーカーのエンブレムの由来【動物編】
クルマにとりつけられるエンブレムの図柄は、ブランドの数だけ存在します。そんななか動物をモチーフに選んだものは、昔から少なくはありません。今回は、動物をモチーフとするエンブレムを掲げたブランドのなかから、いま筆者が思いつくものをいくつかピックアップして、ご紹介させていただきます。
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フェラーリ
動物を象った自動車エンブレムといえば誰もが思い出すのが、フェラーリの跳ね馬「カヴァッリーノ・ランパンテ」。後脚で立ち上がる仔馬である。
この由来については、第一次世界大戦で活躍しつつも戦死を遂げた戦闘機パイロット、フランチェスコ・バラッカ大尉が愛機につけていた紋章を、レーシングドライバーとして活躍していた時代のエンツォ・フェラーリが大尉の母親から贈られた……、というのがエンツォ側から発信された定説の概要である。
ただしこの跳ね馬の由来については、バラッカ大尉が騎兵時代に所属していたイタリア陸軍第二騎兵連隊に、同じく第一次世界大戦で戦死したエンツォの兄アルフレードも所属していた縁から、その部隊章を引用したというものなど、複数の説が存在するようだ。
ランボルギーニ
「ファイティング・ブル」の愛称のとおり、雄々しい暴れ牛が描かれたランボルギーニの紋章は、同じイタリアの先達であるアバルトの「サソリ」と同じく、創業者であるフェルッチオ・ランボルギーニの誕生日(4月28日)の星座がおうし座だったことに由来したものとされている。
いっぽうで、フェラーリへの対抗心をビジネス戦略的にもあらわにしていたフェルッチオの、きわめて高度な戦略のひとつだったとする考え方もあるようだ。
アストンマーティン
自動車創成期の愛好家ライオネル・マーティンが、友人バムフォードとともに1913年に創立。「アストン」は、バムフォードが活動していたヒルクライムレースの開催地だった「アストン・クリントン」に由来する。
創業当初のエンブレムは円形の内側に「A」と「M」をモノグラム化した、極めて簡潔なものだった。しかし、ライオネル・マーティンは早々に自動車への興味を失うとともに、バムフォードも有力な後援者を事故で失ったことから、第1期アストンマーティンは1925年末をもって歴史の幕を閉じる。
しかし翌1926年には、イタリア系イギリス人技術者にして一流のレーシングドライバーでもあったアウグストゥス・ベルテッリが経営権を獲得。1.5L級の小型車ながら高性能かつ美しいスポーツカーを製作し、翼を象った新デザインのエンブレムとともにその名声は世界に轟くことになった。
この新たなエンブレムは、じつは鳥ではなく昆虫。古代エジプトにおいて、再生や復活を象徴する聖なる甲虫として崇拝された「スカラベ」の翅をモチーフにしたものとも言われている。
そして1933年には、ル・マン24時間レースなどでも活躍したレーサーで、アーティストとしても知られていたサミー・デーヴィスがデザインしたとされる、よりモダンな意匠のエンブレムに進化。21世紀を迎えた現在に至るまで、小さな変更を受けながら継承されている。
マクラーレン
今やスーパーカー専業メーカーとして確たる地位を築いたマクラーレンの源流は、ル・マン24時間レースやF1GPでも活躍したレーサー、ブルース・マクラーレンによって、1963年に創立されたレーシングチームまで遡ることができる。
マクラーレン・チームは、ブルースの母国であるニュージーランドの国鳥「キーウィ」をモチーフとした「スピーディ・キーウィ」ロゴを1967年から採用。これが現在のマクラーレンのエンブレムの祖先となった。
さらに1997年には、マクラーレン社内のデザインチームによって「スピーディ・キーウィ」がさらにシンボリックかつシンプルなデザインへと進化。「スピード・ブランド」と呼ばれる、現在のエンブレムへと発展することになる。
ヴォクスホール
1903年から自動車生産に参入した老舗ながら、日本に正規輸入されなくなって久しいヴォクスホールも、動物(ただし架空の)をエンブレムに掲げるブランド。その社名は、創業時の工場が設けられたロンドン近郊ランベスの地名に由来する。
この地には13世紀のジョン王時代に軍人として勇名を馳せた、貴族ファーク・レ・ブレアントの城跡があり、古くは「ファークス・ホール」と呼ばれていたのが徐々に訛ったとのこと。軍旗を掲げたグリフィン像を象ったエンブレムも、ブレアント卿の旗印をモチーフとしたものという。
アバルト
1949年、イタリア・ピエモンテ州トリノ市内のヴィア・トレカーテ通り10番地に創業した「アバルト&C.」社は、直前に経営破綻した「チシタリア」の工場施設やスタッフを継承した会社である。
そのエンブレムにサソリが掲げられている理由は、開祖であるカルロ・アバルトの誕生日が、さそり座に相当する11月15日だったからとされている。
いっぽう、ファンの間では馬(フェラーリ?)や豹(ジャガー)のような巨大な動物を、毒針ひとつで刺すサソリをイメージしたのでは……? との見方もあったようだが、それは辣腕のビジネスマンであるカルロが、もとより狙っていたものとも考えられる。
プジョー
1810年、プジョー兄弟による金属加工業からスタートし、自転車生産を経て19世紀末から自動車生産にも乗り出したプジョーは、前身まで含めると現存する自動車メーカーの中でも最古のブランドとして認知されている。
メーカー側の公式見解によると、有名なライオンのエンブレムは発祥の地であるフランス東部フランシュ・コンテ地方の中核都市、ベルフォールの貴族の紋章に由来するとのこと。中世から紛争が絶えなかったこの地域では、人々はいつしか勇敢なライオンに思いを託すようになった……、と伝承されている。
そしてプジョーも、自社の鉄製品の強さや品質の高さを表現するために、強靭な牙を持つライオンをエンブレムに掲げるに至ったとのことである。
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みんなのコメント
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素直にフンコロガシって言えばイイだろうがwww
記者は写真なり何なりでフンコロガシ見せられ「あ、スカラベだ」って咄嗟に言えるか?100%フンコロガシって言うだろwww
あれ、確か「コルソ・マルケ38」じゃなかったかな?
と思って調べたら、『SCORPION MAGAZINE』に答えがありました!(以下コピペ)
かの開祖カルロ・アバルトが1949年12月に独立、アバルト&C.社を創立した際には、同じトリノの「ヴィア・トレカーテ」通り10番地に小さな工房を構えていた。ところが、モータースポーツでの華々しい戦果と生産モデルおよびチューニングパーツの大成功により、アバルト&C.社は急成長。1958年にコルソ・マルケに大規模な新工場を竣工したのち、1960年秋には本社機能もコルソ・マルケ38番地に移設されることになった。