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復活した“カッコインテグラ”はプレミアムだった──新型アキュラ・インテグラ試乗記

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復活した“カッコインテグラ”はプレミアムだった──新型アキュラ・インテグラ試乗記

ホンダのプレミアムブランドであるアキュラが新型「インテグラ」を発表した。北米で木村好宏が試乗した。

突然の発表

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ホンダ・インテグラは1985年に登場したスポーティ・セダンだ。なかでも思い出されるのは1989年から発売された2代目。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主役・マイケル・J・フォックスに「カッコインテグラ」とダジャレを言わせて大きな話題となった。

一方、北米ではアキュラ・ブランドのスポーツ・コンパクト・モデルとして1986年から導入された。しかし、インテグラというネーミングは1994~2001年のあいだに販売されていた3世代目で消滅。その後はアキュラの他のモデルに合わせてアルファベットのモデル名となり「RSX」(2002~2006年)そして「ILX」(2013~2022年)と続いてきた。

ところが昨年アキュラは突如、インテグラ復活を発表。インターネットでは拍手喝采、市場も大きな期待を寄せていた。そして今年6月から米国市場で販売が開始されている。

発表時にはショッキング・イエローの華々しいボディカラーで登場したインテグラだったが、ダークグレー・メタリックの試乗車はむしろ落ち着いた大人の雰囲気を醸し出していた。

現行シビックとおなじプラットフォームを持つインテグラだが、エクステリアはまったく異なる。全長は17cm長く、わずかに低い。さらにアキュラ独自のペンタゴン・グリルが個性を高める。

しかしそれはエクステリアのみで、ドアを開けて、ドライバーズ・シートに腰を下ろし、周囲を見まわすとわずかにセンターコンソールのデザインが違う程度で、シビックとの近似性が目立ってくる。

プレミアムな1台試乗車は「Aスペック」と呼ぶ6速マニアル仕様。発売以来非常に人気が高いそうで、プリオーダーではなんと70%に達したという。

フロントに横置き搭載されるエンジンは直列4気筒ガソリンターボ。16V、DOHC、VTEC仕様で1.5リッターの排気量から最高出力200ps、最大トルク260Nmを発揮する。アメリカでは日本と同様にメーカーからのダイナミック性能の公式発表はないが、非公式に伝えられる情報によれば0~100km/hの加速所要時間は7秒、最高速度は217km/hと言われる。

ドライバーの正面に10.2インチのデジタル・インストルメント、そしてダッシュボード中央に9インチのタッチ・パネルがレイアウトされている。スターター・ボタンを押すと思った以上に静かにエンジンがまわり始めた。

ややセンタリング・スプリング(3~4速間を中心にセット)の強いシフト・レバーであるものの、横置きエンジンからリンケージで結ばれた割には非常にダイレクトなシフトフィールで好ましい。必要もないのにシフトしたくなるほどである。無用なシンクロ・レブコントロールなどを採用していないのも好印象。

エンジンは回転が滑らかで、6500rpmのレッドゾーンまで一瞬に吹き上がる。ドライブ・モードは4種類(コンフォート/ノーマル/スポーツ/インディビヂュアル)あって、ムードとルートに合ったセッティングを楽しめる。

フロント・ストラット、リア・マルチリンクがもたらすハンドリングはスポーティで落ち着きがありプレミアム・コンパクト・スポーツ・セダンに相応しい上質なものだ。ただし細かな荒れた路面からのロードノイズはやや過大で、もう少しシャーシの柔軟性とダンパーのストロークが欲しい。一方ステアリングは切り始めから確かで素直な操舵フィーリングを持っており、コーナに富んだルートを自分で探したくなるほどである。

完成度の高いアキュラ・インテグラであるが、日本国内では販売されないだろう。シビックと競合するうえに、アキュラ・ブランドに100万円以上のエクストラを支払うコンセンサスが日本には存在しないはずだ。

逆にアメリカは異なる。数年前、NSXオーナーである友人のアメリカ人弁護士が日本へやってきたとき、ホンダ・ショールームの前で「NSXってホンダだったの?」と、大きく落胆したのだ。

この笑えないエピソード、実はアメリカにおけるアキュラのプレミアム度の浸透を物語るが、あなたは理解できるだろうか?

新型インテグラは、かつてと違いプレミアムな1台となったのだ。

文・木村好宏

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