2009年にデビューした初代グッドウッド製ゴーストは、それまでのロールスロイスのユーザーとは違った人たちにも受け入れられて、10年間の生産期間において、116年のロールスロイスの歴史上でもっとも販売台数の多いクルマとなった。そんなゴーストの新型はどのような進化を遂げたのか。(Motor Magazine2021年2月号より)
ショーファーではなくドライバー目線の最良な選択
従来型ゴーストは、ショーファードリブンに留まらずオーナーが自らハンドルを握り運転を楽しんだという。そこで新型はドライバーの視点からも満足できるさまざまな機能や装備を採用しているのである。
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BMWグループの一員となって2009年に登場した初代グッドウッド製ゴーストは、116年という長いロールスロイスの歴史の中で、一番売れたモデルとなった。これまでのロールスロイスの顧客とは違った人たちにも受け入れられたということである。
初代ゴーストは、BMW7シリーズのプラットフォームが使われていたが、新型ゴーストは、新たにプラットフォームからロールスロイスが独自開発。ファントム、カリナンに継ぐ3モデル目の採用である。
搭載するのは、6.75L V型12気筒ツインターボエンジンである。従来の6.6Lから排気量アップし、最高出力571ps、最大トルク870Nmを発生する。
エクステリアでは、ヘッドライトにLEDが採用され、さらにパルテノングリルにも20個のLEDが組み込まれ、淡くライトアップされるのも特徴である。さらにロールスロイス初の後輪操舵4WS機構も採用される。
デザインのコンセプトは、「PostOpulence」。これは脱贅沢ということなのだが、どうみてもとても贅沢なクルマだ。これはあくまでロールスロイス流の贅沢から脱却し、新しいステージにあるということなのである。スピリット オブ エクスタシーとアンブレラ以外はすべて新開発と開発陣が言う新型は、どこから見ても明らかにロールスロイスではあるが、あらゆるところが新世代に移行している。
極楽なリアシートと痛快なフロントシートの二面性
実際に走り出すとマジックカーペットライド(魔法の絨毯に乗っているような乗り心地感覚)はさらに進化している。これは新たに開発されたアッパーウイッシュボーンダンパーが貢献しているという。ちなみにこの開発には、ロードテストとベンチテストだけで5年の歳月が費やされている。またこのゴーストには4WDシステムが組み合わされる。これはカリナンに次いでロールスロイスでは2モデル目となる。
ワインディングロードが見えてきたので「スポーツモード」に切り替えようとしたがどこにも見当たらない。そう、このクルマはドライブモードを選択することもパドルシフトでギアを選択することも許されていない。すべてクルマ任せだ。それでいてワインデイングロードでは4WSの効果が明らかに感じられた。グイグイ曲がっていく。
全長は5m超の5545mm、全幅も2000mmというボディから想像できないコーナリング性能を見せてくれた。「だから試乗会にいろは坂のある日光を選んだのか」と腑に落ちた次第である。かつてこれほどまで気持ち良く曲がるロールスロイルはなかった。これは絶対にハンドルを握るべきだ。
そんな楽しいドライブに後ろ髪を引かれつつ、運転を代わってもらい後席にも座った。そこは相変わらず実に快楽の世界が味わえたのだが、やはり運転している方が断然、楽しかった。(文:千葉知充/写真:ロールス・ロイス モーターカーズ)
新型ゴースト主要諸元(日本仕様)主要諸元
※[ ]内はエクステンデッド仕様
●全長×全幅×全高 5545[5715]×2000×1570mm
●ホイールベース 3295[3465]mm
●トランク容量 570L
●定員 4/5名
●ハンドル位置 右/左
●車両重量 2540[2580]kg(5人乗り)、2590
(4人乗り、サンルーフ)[2600]kg(4人乗り)
●エンジン 6.75L V12ツインターボ
●最高出力420kW(571ps)/5000rpm
●最大トルク 850mNm/1600-4250rpm
●燃料 プレミアム
●トランスミッション8速AT
●駆動方式 4WD
●サスペンション形式 前ダブルウイッシィボーン/後マルチリンク
●最高速度 250km/h(リミッター)
●0→100km/h加速 4.8秒
●価格 35,9000,000[42,000,000]円
新型ゴーストの主なトピックス
●10年間の生産期間で初代ゴーストは、ロールスロイス116年の歴史の中での最量販モデル
●新型ゴーストが初代から受け継いだコンポーネトはスピリット オブ エクスタシーとアンブレラのみ
●ファントムやカリナンと同じ自社開発のアルミニウムスペースフレームアーキテクチャーを採用
●6.75L V12エンジンをフロントアクスル後方に搭載することで前後重量配分50:50を実現した
●4WDシステム、4WSシステム、新設計のサスペンションを搭載するためボディサイズを拡大
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