2023年冬登場予定の新型クラウンセダンはかつて存在した「セルシオ」や「マジェスタ」クラスのハイオーナーモデルで、全長は5mを超えるサイズとクォリティの高さを売りに仕立てている。新型クラウンセダンのクラウンシリーズにおける意味合いについて語ってもらった。
本文/片岡英明、写真/ベストカーWeb編集部、トヨタ
第3のクラウンは「真打ち」セダン!? 2023年冬に登場で後半はどう市場が動くのか?
■トヨタのドライバーズカーのフラッグシップは昭和では紛れもなくクラウン
1955年に誕生した初代クラウン。それから68年後の2023年冬、新型クラウンセダンが登場する予定だ
昭和の時代、トヨタ自動車のフラッグシップモデルはショーファードリブンを含めるとセンチュリーだが、ドライバーズカーでは『CROWN』だった。言うまでもなくクラウンは、ランドクルーザーとともにトヨタを代表する老舗ブランドである。
1955年、昭和の年号では30年にデビューしたが、最初に狙ったユーザーは威厳や格式を重んじる日本の富裕層だ。日本人のための独創のプレミアムセダンで、海外向けモデルもあるが、日本のマーケットを重視して開発されている。日本で初めてVIP向けのプレステージセダンを最初に設定したのもクラウンだった。
初代セルシオ。バブル真っただ中の1989年に新たなトヨタのフラッグシップモデルとして登場した
が、平成の時代になるとトヨタのフラッグシップの座をセルシオに譲っている。1991年にクラウンの上級モデルとしてマジェスタを設定した。セルシオに近い性格のプレミアムセダンだったが、これは2018年に姿を消している。
初代クラウンマジェスタ。9代目クラウンと同じく1991年に登場したクラウンシリーズ内の最上級モデル
同時に、高級パワーユニットの象徴だったV型8気筒エンジンも消滅した。12代目のゼロクラウンからは若いユーザーの取り込みにも意欲を見せ、スポーティ感覚を強めている。
■クラウンの大改革が断行された令和の時代
2022年7月の新型クラウン発表会。プレス陣にプレゼンする当時の豊田章男社長の姿もどこか誇らしげだ
そして令和の時代になると、クラウンは大改革を断行した。2022年7月、16代目のクラウンは大きく変わることを発表し、クロスオーバーを皮切りにエステートやクロスオーバーSUV、そして伝統のセダンなど、バリエーションを意欲的に増やしていくことを予告している。
パワーユニットは4気筒エンジンだけになり、6気筒エンジンが消えた、と嘆いている熱烈なクラウン崇拝者の期待に応えられるマルチシリンダー搭載車の復活もありそうだ。
16代目クラウンは、伝統のプレミアムセダンが古い衣を脱ぎ捨て、新しい提案をデザインにもメカニズムにも盛り込んでいる。そして軸足を国内に置いていたニッポンのクラウンが世界へと飛び出していく。
尖兵として送り出されたクロスオーバーに始まる新生クラウンは、北米を中心に40カ国ほどで販売を予定しているのだ。トヨタを代表する真のグローバルカーへと成長を遂げるのである。
■第2弾は今夏予定のクラウンスポーツで、セダンはその後か?
クラウンクロスオーバーに続くシリーズ第2弾となるとみられるのがこのクラウンスポーツだ
気になる第2弾はクラウンスポーツが予定されており、2023年夏までにはベールを脱ぐ。その名からもわかるように、クロスオーバーよりスポーティな乗り味を狙って全長を切り詰め、アグレッシブなフロントマスクを採用すると予想されている。
FF方式を主体としたGA-Kプラットフォームも進化版だ。2.4Lターボにモーターのデュアルブーストハイブリッドを主役に、ハイブリッドを設定する。が、トヨタが2030年までのバッテリーEV戦略で述べているように、どこかのタイミングでBEVを仲間に加える可能性が高い。
このクラウンスポーツに続いて、2023年末あたりに真打ちの4ドアセダンが発表される。躍動感にあふれ、しかも面質が豊かな4ドアクーペ的なフォルムを採用するだろう。
■かつてのクラウンの権威復権なるか?
クラウンセダンはいよいよ2023年冬に投入か。このモデルの登場を待っている従来のクラウンユーザーも多くいるはずだ
威風堂々としたダイナミックなルックスになると噂され、ボディサイズは国際サイズだ。全長は5mの大台を超え、後席の居住性と快適性も重視されるからホイールベースは3m程度に延ばされるだろう。
もちろん、インテリアと快適装備、先進安全もテンコ盛りとなっている。となれば販売価格は850万円からの設定か!? 贅のかぎりを尽くし、欧米の高級セダンを凌駕する出来栄えになるような予感だ。
トヨタは、かつて栄光を誇ったクラウンの権威復活を目指している。そのためにトヨタの頂点に君臨していたセルシオとマジェスタの志と味わい、そしてくつろぎ感を、新しいクラウンセダンで実現したいのだろう。
当然、滑らかなV型6気筒エンジンやV型8気筒エンジンの搭載も考えられる。北米では今なおマルチシリンダーが高級車の証だ。海外の富裕層を意識すれば、訴求力のあるパワートレーンを増やしてくるだろう。
■世界へ飛び出す16代目クラウン
新型クラウンシリーズ第1弾として登場したクラウンクロスオーバー。駆動方式はFFベースの4WDのみとなる
もうひとつ気になるのは、駆動方式だ。モデルチェンジでFFベースの4WDへと舵を切ったが、これはFF車を生み出しやすいことでもある。が、セダンは後輪駆動のFR車で、FRベースの4WDも設定する、と推測する人も少なくない。
プレミアムセダンはFR車だと思っている保守層は多いし、スポーツセダンも無理なく開発できる。さらに一歩進め、燃料電池車(FCV)に仕立てることも難しくない。となれば、ボディサイズから考えてもレクサスLSやMIRAIが使っているGA-Lプラットフォームの発展型だろう。この方式を使えば、MIRAIと兄弟関係にあるFCVの投入が現実味を帯びてくる。
16代目クラウンは、トヨタの今後を占う試金石だ。国内専用モデルの殻を破り、世界へ飛び出そうとしている。EU欧州委員会とドイツは、BEVシフトを修正し、2035年以降も「e-Fuel」(合成燃料)を使用する内燃機関車なら販売を承認すると発表した。
これはハイブリッド車を数多く生産し、マルチソリューションを掲げているトヨタにとっては朗報だ。クラウンは大手を振って海外で販売できるのである。クラウンにはワゴン感覚のエステートも用意されているようだが、これにプラグインハイブリッド車(PHEV)を設定すれば盤石だ。
内燃機関の可能性を探るとともに電動化を積極的に進めるトヨタは、クラウンのバリエーション拡大に意欲を見せている。FCV、BEV、e-Fuelを燃料にしたPHEVとハイブリッドなど、多彩な動力源を揃えて海外に打って出れば、欧米の名門プレミアムブランドのセダンたちの脅威になることはもちろん、同族のレクサスにも大きな影響を与えるだろう。日産はプレミアムセダン路線から事実上撤退しているから、日本市場においても手強いライバルは存在しない。
現行型カムリはすでに日本での販売を終了する予定だが、北米では継続される模様
トヨタは北米を中心とする海外でも高く評価され、販売は伸びている。それでも手綱を緩めず、クラウンの海外戦略に向けて動き出した。生産を終えたアバロンの後継として頼もしい存在だし、北米で販売好調のカムリだってうかうかとしてはいられない。
カムリは日本での販売を終了させるようだが、その穴をクラウンは埋めてくれるはずだ。クラウンがバリエーションを広げ、世界へ飛び出していったことにより、10年後の勢力図が見えてきた。
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