従来のアメリカナイズされたデザインから一転、『MANTA』(初代)は欧州市場の嗜好を汲み取ったプレーンなスタイリングをまとった。
MANTA マンタ
ホンダ「CIVIC TYPE R-GT CONCEPT」が大阪オートメッセのドレスアップ、チューニングカーコンテストでグランプリを受賞
1970-1988
1960年代でフルラインメーカーとして成長を遂げたOPEL。その70年代はスペシャルティーカー『MANTA』の発表で幕を開けた。
さらなる発展に向けてのラインアップ再編
オペルはひとつのプラットフォームから様々なバリエーションを造り出すという手法で、ラインアップの拡充を図ってきた。その結果、1960年代はベーシックからアッパークラスまでをカバーする豊富なモデルを取り揃えるに至ったが、さらなる成長を遂げるべく、ラインアップの再編に乗り出した。その中で『KADETT』と『REKORD』の間を埋めるスペシャルティーモデルとして生み出されたのが『MANTA』である。
このモデルの役割はそれだけにとどまらず、当時、ヨーロッパで幅を効かせていたドイツ・フォードのスペシャルティークーペ『CAPLI』の対抗馬としての活躍が期待されていたのである。
エクステリアデザインを手がけたのは、アメリカ人デザイナーのチャック・ジョーダン。チーフの彼は、ヨーロッパ市場の嗜好を加味したシンプルかつプレーンな面構成の、存在感のあるスタイリングを『MANTA』に与えた。
FRの駆動方式を採るスペシャルティークーペのパワーユニットには『KADETT』『REKORD』用の1.6Lをベースとした68PSと80PS仕様のほか、90PSの1.9L直列4気筒を設定。のちに、1.2Lの廉価版やインジェクション仕様の高性能版1.9Lを追加するなど、着々とバリエーションを広げていった。
ラリーシーンにも広がる活躍の場
2代目『MANTA』は1975年のフランクフルトモーターショーでデビュー。FRの基本構成やスペシャルティークーペという立ち位置はそのままに、ボディーをひとまわり拡大しつつエッジを効かせた好戦的なスタイリングへと生まれ変わった。先代の基本形式を継承した足回りに改良を加えて乗り心地を向上、ルーフ部分にはロールバーを組み込んで安全性を高めるなどの熟成を図った。加えて77年にはボディー後半部分にハッチゲートを備えて実用性を高めたファーストバックスタイルの『CC』(コンビ・クーペ)を追加。この登場と同時期に1.9Lが2Lに拡大されたほか、79年には廉価版も1.3Lへ置き換わっている。
また1981年には世界ラリー選手権のホモロゲーション取得用モデル『MANTA 400』を設定。イギリスのコスワース社がチューニングを施した2.4Lのユニットは340PSを発生するに至った。実戦への投入は83年からとなり、アリ・バタネンやヘンリ・トイボネン、ジミー・マクレーといった名手のドライブにより、同年のアクロポリスやサンレモ、イギリス(RAC)ラリーで上位に食い込むなどの活躍を見せた。
そんなスポーティーなイメージにも後押しされた『MANTA』は、88年までの長きにわたって愛され続けるモデルとなった。
新たなスペシャルティークーペのデザインには、チャック・ジョーダンをチーフに、日本人デザイナーの児玉英雄氏も参画した。グレード展開はノーマル/L(デラックス仕様)/SRの3タイプを用意。SRグレード(左写真グリーンのモデル)はボンネットがマットブラックに塗られる。
サイズ的に見れば『ASCONA』のクーペ版とも言える『MANTA』は、スタイリッシュなデザインで存在感を主張。
2代目『MANTA』はボディーサイズが拡大され、細い前後ピラーやエッジの立ったプレスラインなどが与えられ、印象が大きく変わった。
1977年にラインアップに加わった『CC』(コンビ・クーペ)は、当時流行だったファーストバックスタイルを採用。リアのオーバーハングを短縮し、ハッチゲートを備えて実用性を高めた。
FWD化された『ASCONA』に代わって世界ラリー選手権参戦用のベース車両となったのが『MANTA 400』だ。エンジンはそれまでの2.4L直列4気筒にDOHC16バルブヘッドとインジェクションを採用。最高出力は144PSを発生する。空力特性に優れたボディーとの組み合わせにより、最高速は210km/hにまで高まった。
取材・文/桐畑恒治
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みんなのコメント
イメージでクルマを売ってるだけだな。
つまり今の姿が見えていない。
日本にもそういうメーカーが
少なくても2つある。