14年ぶりのフルモデルチェンジとなるレクサスの新型フラッグシップSUV、LXが、10月13日水曜日午後7時30分(日本時間10月14日午前1時30分)にサウジアラビアとアラブ首長国連邦で世界初公開され、同時にオンラインでワールドプレミアが行われた。
兄弟車である新型ランドクルーザー300は、2021年6月9日にアラブ首長国連邦で世界初公開、日本発売は8月2日という日程だったが、その新型ランドクルーザーの発売から約4ヵ月後と異例の早さで登場。
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さて、新型レクサスLX600は、先代LX570からどれほど進化しているのか? そして新型ランドクルーザー300とどう違うのか? 日本でのラインナップや価格はどうなるのか、判明している新型LX600の全貌を解説していこう。
文/柳川洋
写真/トヨタ
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■どこが進化した? フルモデルチェンジの目玉は?
メッキフレームのないスピンドルグリルが新しい。上質かつ威風堂々としたスタイルはラグジュアリーSUVに相応しい
日本国内専用仕様となる新型レクサスLX600 F SPORT。こちらはLSに採用されているものと似た形状のスピンドルグリルを持つ
2021年8月2日に日本での発売を開始した新型ランドクルーザー300。すでに納車待ちは2年以上となっている
先代レクサスLX570日本仕様。ボディサイズは全長5080×全幅1980×全高1910mm。搭載されるエンジンは377ps/54.5kgmを発生する5.7L、V8。2列シートの5人乗り/3列シートの8人乗り。価格は1135万6481円~
1996年に北米で発売開始となったLXは2015年に日本に逆上陸。2021年8月末までに約50カ国、累計約50万台が販売されてきた。3代目に当たる先代LX570の2007年のデビューからすでに14年が経ち、新型の発表を待ち望んでいる人は非常に多かった。
新型LXは、「世界中のどんな道でも楽に、上質に」をコンセプトに掲げ、雪や砂で覆われた道や未舗装の泥道・岩場などの過酷な環境でも、都会のオンロードでも、安心・安全・快適で高級感のある移動とドライバーの意図に忠実な身のこなしを実現することを目指して開発された。
最近評価が非常に高まっているTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)に基づくフルサイズフレーム構造車向けGA-Fプラットフォームがレクサスとして初採用され、クルマとしての基本性能が向上し大きな進化を遂げた。
通常仕様の3列目シートのある7人乗りに加え2列4人乗りも用意。新プラットフォーム採用で低重心化、マスバランスの向上が図られ、洗練された乗り心地につながっている
オフロード性能を高めるために「壊しては直す」を繰り返すことによって基本性能に磨きをかけ、それをオンロードに反映させていき、オン・オフどちらも妥協することなく歴代最高レベルで両立させたとチーフエンジニアの横尾貴己氏は言う。
またNXに次ぐ次世代レクサスの第2弾として、従来型対比で車両使用時のCO2排出量をグローバル全台数ベースで約20%削減するなどの環境性能の向上と、多様化する顧客ニーズ・ライフスタイルに寄り添うための新グレードの追加が行われた。
新型レクサスLX600のリアスタイル。新型ランクル300とサイドウインドウとCピラー以降の形状、リアゲート&ウインドウ、テールランプ回り、バンパーの形状が異なっている
新型レクサスLX600 F SPORTのリアスタイル
新型ランドクルーザー300のリア回り。リアゲート&ウインドウが垂直に近い形状になっている
■豪華仕様「VIP」グレードと走破性重視「F SPORT」グレードを新規設定
3列7人乗り仕様のインテリア
悪路を走る想定のうえで、LSやセンチュリーのような快適さを目指すという野心的なグレードの「VIP」は2列シート4人乗り仕様。サンフレアブラウンのレザーシートの質感も高い
ランドクルーザー300にラインナップしているGR SPORTにあたるのがこのF SPORT。こちらはメッキフレームのあるスピンドルグリルを採用
今回のフルモデルチェンジの目玉の一つとして、これまでの実質1グレード構成から、後席居住性重視、独立4座シート豪華仕様の「VIP」グレードと、日本国内専用仕様の走破性重視グレード「F SPORT」の2つが新規設定された。
VIPは独立4シーターで後席の居住性を最優先させた、「オフロードでのセンチュリー」とでもいえる仕様。専用の読書灯、オーディオシステムが準備され、極地での仕様も勘案して後席専用のエアコン吹き出し口や温風エアカーテンを装備。
USBやDC電源、HDMI端子、ヘッドフォンジャックなども揃え、オフロードでも快適な乗り心地とくつろぎを提供する。
リアコントロールパネル内のリラックスモードボタンをワンプッシュするだけで、助手席が前方に移動し、ヘッドレストとリヤシートディスプレイが倒され、助手席後ろからオットマンが展開。
そして最大で48度(!)のリクライニングが可能となり、レッグスペースが最大1000mm、なんと1m分も確保されるというレクサスならではの「おもてなし」。また新素材・新形状のシートで悪路での乗り心地の良さを確保している。
身長180cmを超えるように見えるこのモデルが完全に足を伸ばしてもまだ余裕のある車内
■ボディサイズは先代からわずかに大きくなったが車重は200kg減か
ボディサイズなどの詳細なスペックは今回発表されなかったが、黄金比とされるホイールベース2850mm、アプローチアングル・デパーチャーアングル・ランプブレークオーバーアングルなどの対地障害角44度、最大安定傾斜角44度、登坂能力45度、最大渡河性能700mmは新型ランクルや先代同様。
先代LX570が全長5065mm、全幅1980mm、全高1910mmでランクル200系よりそれぞれ+115/10/40mmだったこと、ランクル300系(ZX)が全長4985mm、全幅1980mm、全高1925mmであることを考えると、新型LXはおそらく全長5100mm、全幅1980mm、全高1940mm前後となるのではないかと思われる。車重は2500kgを若干上回るだろう。
■標準仕様のスピンドルグリルはメッキフレームがなくなりすっきりとした印象
先代LX570よりもかなりスッキリしたデザインになった新型LX600
今回のLXのデザインは、ややマッチョな先代とは異なり、より優雅かつ繊細ですっきりとしたものになった。また新型ランクルとの差別化も図られているが、側面から見るとやや似ている。
細かく見ていこう。ブランドを象徴する水平基調のスピンドルグリルは、真ん中にスリットが入ったメタリックな横に長いバーが7組積み重ねられて立体的にフレームレスのグリルを構成するという非常に凝った滑らかなデザイン。ワイドかつ堂々とした存在感を主張する。
フレームレスのフロントグリルはオラオラ顔といっていいのか迷うほど上質な印象
先代レクサスLX570。こうした新旧比べてみると、新型のヘッドライト下の開口部が大きいことがわかる
グリル回りの造りのよさはさすがレクサス
またヘッドランプは、レクサスお約束のL字型のクリアランスランプが視覚的な奥行きのある、より立体感のあるものへと変更され、高級感を引き立てている。
インナーレンズが二重化され、奥行きと高級感のある3連LEDライトとL字型のクリアランスランプ
サイドビューはいかにも堅牢そう。ボディ最後端のDピラーはレクサス独特のウエッジシェイプでくびれの位置が高いところにあり、視覚的な流麗感を強調している。
高い位置までプレスされたボクシーなホイールアーチは、300系ランクルによく似ているが、フロント部分含めよりアグレッシブに見える。
横から見るとホイールアーチのプレスの部分が300系ランクルと兄弟車であることを思い起こさせる
Lのバッジではなく「LEXUS」の5文字のロゴが次世代レクサスであることをさりげなく付く
リアビューはお約束のL字形状のテールランプに加え、ボディ左右に一直線に伸びるLEDランプがサイドボディの水平なアクセントラインと一体感をもってデザインされている。Lのバッジではなく、LEXUSと5文字のロゴが入った。
タイヤ、ホイールはレクサスで最大の22インチ鍛造アルミホイールが新規設定された。18インチ、20インチも設定される模様。
研磨されて立体感がさらに引き立つ、レクサス史上最大の22インチホイールも今回初採用となった、18・20インチも用意される
■「本格オフロード車=無骨なインテリア」という考えはLX600には当てはまらない
エクステリア同様より優雅でシンプルになったインテリア、水平基調を除けば本格オフロード車のコックピットと一見して分からない
こちらは新型ランドクルーザー300のコクピット
インテリアもホリゾンタルなラインが目立つデザイン。太めのアシストグリップに気がつかなければ、本格的にオフロードを走るクルマとは思えないすっきりとした仕上がり。
またクルマとドライバーの一体感を高める「Tazuna Concept」を採用。4つのカメラを用いて全面に車両周辺の映像を映し出し、タイヤ位置の把握をアシストする12.3インチ大型タッチディスプレイと、ヘッドアップディスプレイの採用でスムースな視点移動、直感的な操作が可能になり、悪路でもスタックすることがないよう運転に集中できる環境を作り出した。
加えて車両そのものの制御状態を示す7インチディスプレイも装備されたことで、オフロードで必要不可欠な車内外の情報が画面を切り替えることなく表示され、ドライバビリティの向上に役立っている。
ランクルと異なるデザインのコクピット。デザイン的にもモダンでクオリティが高い
■パワートレインは3.5L、V6ツインターボと3.3Lディーゼルツインターボ
5.7L、V8からダウンサイズされたが出力・発生トルク・燃費全てが改善した3.5リットルV6ツインターボエンジン
エンジンはダウンサイジングされて3.5L、V6ガソリンツインターボとなったが、先代の5.7L、V8よりも出力で38psパワフルな415psに。最大トルクも650Nmと20%以上増大。
発表された公式資料には、触れられていなかったが、公開されたビデオではガソリンエンジンに加えて、新型ランクル同様に3.3L、V6ディーゼルツインターボ(ランクル300は309ps/700Nm)が用意されることも明らかになった。いずれのエンジンもランクル300に搭載されているものと同じと思って間違いない。
10速ATは発進時以外ほぼ全域でロックアップされ、ダイレクト感を追求。先代の8速ATよりもリズミカルで心地の良い走りと、高速燃費の向上、発進加速・オフロード性能の向上が同時に可能となった。
■オンロード・オフロード性能向上と安心・安全のための新機能・制御技術の精密化
ITによるシミュレーション技術の向上で、動的剛性確保のためのスポット溶接点・箇所や構造用接着剤使用箇所の最適化が可能
オンロードでの高速走行安定性、オフロードでの路面追従性の確保を両立するため、より車高調整幅の大きな、自動調整機能付きアクティブハイトコントロールサスペンションを採用。
加えて前後左右への車両姿勢の変化に対応しバネレートを随時最適化することで、旋回・加減速時でも大きなボディサイズのLXをより安定させる機能も備えている。
精密電磁弁を用いたきめ細やかで滑らかな減衰力制御方式に変更されたことにより、路面の状態やドライブモードの変化にも素早く応答できるようになった。
先進的なサスペンション・ブレーキ・エンジン・ステアリングの統合制御により、オン・オフ両方での走行性能が格段に向上
タイヤ性能の向上、リニアな操作が可能な電動パワステ・電子制御ブレーキシステムを採用・精密化することで、滑りやすい路面での走行安定性や安心感をも提供している。
また「どこへでも行き、生きて帰って来られる」ために、路面状況に応じたオフロード支援機能をさらに拡充。6つのモード選択が可能なマルチテレインセレクトにより、ブレーキ油圧、駆動力、サスペンションを統合制御し、ドライバーによるモード選択や各種センサー情報に応じた自動最適化を行い、誰でもクルマの限界走破性能を引き出すことも可能になった。
もちろんクロールコントロールやダウンヒルアシストコントロール性能、前後輪の電動デフロック機能も向上、静粛性も高まり極限走行時であっても高級感を感じることができるようになった。
さらに、LEXUS初採用の指紋認証式プッシュスタートスイッチによるセキュリティの向上、予防安全パッケージであるレクサスセーフティシステム+の採用も大きなポイント。
ランドクルーザー300に続いて初採用となった指紋認証システム
■新型ランクル300との違いは?
新型ランドクルーザー300GR SPORT
LX600と新型ランクル300は基本構造はほぼ同様で、先代との車重の軽減幅もどちらも約200kgと同等。ドアやボンネット、ルーフなどへのアルミ素材の採用なども共通だが、フロント回り、Cピラーやリアドアのサイドウインドウやリアゲートの形状は異なっている。
オフロード走破性も、6つのモードから選択できるマルチテレインセレクトも基本は同じ。電子制御のサスペンション、前後輪デフロックなどもランクルのGR SPORTに装着されているものと同様と思われる。
一番の違いはコクピットのデザインをはじめ、ランクル300にはない2列4座シートのVIPグレード、シートの革の材質やエアコンの精密制御なども含めた車内空間の質感だろう。
また12.3インチと7インチのデュアルディスプレイはLXのみで、ランクルには車両状態を示す7インチディスプレイは装着されない。
上が12.3インチ、下が7インチのデュアルディスプレイがLX600には標準装備され、車両外部と車両そのものの状態の両者が切り替えなしで把握可能
■気になる日本での発売時期と価格は?
日本における発売時期は2022年初頭が予定されているが、半導体不足や新型コロナウイルス関連のサプライチェーン混乱による直近の新型NXやランドクルーザーの納期の遅れを見ると、少し気持ちに余裕を持っておいたほうがいいかもしれない。
気になる価格については今回発表はなかったが、予想するのに2つの材料がある。1つはLXとランクルの価格差。先代LX570のプライスタグは約1140万円で、先代ランクルZXとの差440万円だったこと、新型ランクルZX(ガソリンエンジン)の価格が730万円であることだ。
そしてもう1つはライバル車の価格。北米でのライバル、キャデラックエスカレードは一番売れ筋の「スポーツ」で約9万8000ドル(約1100万円)、リンカーンナビゲーターは同じく「リザーブ」グレードで約9万1000ドル(約1020万円)のプライスタグが付いている。また日本でのライバル、メルセデス・ベンツのG350dの新車価格は1251万円。
これらを合わせて考えると、通常仕様のLX600の日本での価格は1200万円台半ばといったところではないだろうか。そしてランクルZXとGR SPORTの価格差は40万円なのでF SPORTは1300万円前後、VIPは1400万円台半ばになるのではなかろうか。
もしこれだけの性能・機能向上が図られているのに先代対比で100万円ほどしか高くならないのなら、それこそ大バーゲン。新型ランクルのように納車まで数年待つようなことになるかもしれない。
おそらくランクル300と同様、受注が殺到し、納車は数年待ちになるだろう
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