現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ボクらのヤングタイマー列伝:第47回『フォルクスワーゲン・サンタナ』日産によりノックダウン生産された異色のセダン

ここから本文です

ボクらのヤングタイマー列伝:第47回『フォルクスワーゲン・サンタナ』日産によりノックダウン生産された異色のセダン

掲載 14
ボクらのヤングタイマー列伝:第47回『フォルクスワーゲン・サンタナ』日産によりノックダウン生産された異色のセダン

遠藤イヅルが自身のイラストともに1980年代以降の趣味車、いわゆる"ヤングタイマー"なクルマを振り返るという『ボクらのヤングタイマー列伝』です。今回は7th日産スカイライン以来の拡大版構成! 前回は確か筆者が車両を購入した時ですが、それから半年くらいしか経ってません(執筆時)ケド、ということはまさか!? はい、そのまさかですヨ!

ボクらのヤングタイマー列伝第46回『グループB詰め合わせ』の記事はコチラから

なんとエンジンまで再現、蘇る大門軍団の雄姿!アオシマ製プラモ「マシンRS-1」を本格的に作る・前編【モデルカーズ】

今回は久しぶりの4ページ構成です! 次ページでもサンタナをサービス・サービスゥ!

父親の影響で幼い頃からクルマが好きだったボクは、順調にクルマ好き少年として成長しました。小学生から毎朝新聞を読んでいたのですが、記事よりもクルマの広告と新製品発売の欄に載る新車の発表をチェックしていたくらいです(笑)。

時は1984年、日産が『フォルクスワーゲン(VW)・サンタナ』というクルマを生産、販売するというニュースが飛び込んできた時は、日野ルノー、日産オースチン、いすゞヒルマン以来の"純海外型乗用車のノックダウン生産"ということで、当時13歳の自分でも、これはすごいぞと思ったものです。でも結論から書くと、サンタナは成功作となりませんでした。1989年までに生み出されたサンタナは約5万台で、海外進出を目指してVWを協業相手に選んだ日産と、世界戦略車のサンタナを"日本で生産できたらいいね"的な考えで臨んでいたVWとはそもそも思惑が違ったようで、日産が描いた年産6万台という夢は到底届かなかったのでした。

サンタナは基本的にパワートレーンなどを輸入し、座間工場のラインで製造されていました。コンセプトは"極力本国仕様のまま日本で作る"だったようで、見事なまでにちゃんと(当時の)VWのクルマになっていることに驚きます。どう見ても触ってもVW製のそれという内装の各パーツやメーター類の多くが、日本で製造されていたにもかかわらずです。それでいて価格はバーゲンプライス。基本的に設計を共有する同門のアウディ80より、100万円以上安かったのですから!

だけど、だからこそ、実際サンタナに乗ってみると"これを月5000台、日本で売るのは無理だっただろうな"と思わされるのです。乗り込めば、確かにサンタナはVWのフラッグシップで、2代目パサートのセダン版だっただけに質感は実に高く(注:パサートの車名でセダンが生産されるのは3代目から)、運転フィールはドイツ車らしさがバリバリで好ましいのですが、それは逆にウインカー位置、細かなスイッチ類の操作ロジックの違いを含め、国産車に乗り慣れた人には購入対象から外れる要素にもなったのではないでしょうか。そもそも当時はまだ輸入車自体が特別な存在で、決して身近ではなかったのです。

とはいえ、バッジエンジニアリングではなくVWのクルマを日産でそのまま作ったことで、日産自身は品質やクルマ作り、そして考え方など多くを学んだと言われています……わー! クルマ自体の解説ができないうちにもうスペースがいっぱい! ということで、今回も久しぶりの2ページ目に進みます。ということは…… !? 次ページでもサンタナをサービス・サービスゥ!

いつか乗りたいと思って気がついたら手元に……って、スカイラインと同じパターンじゃないですか!

"このコーナーでも前に拡大版構成だった時あるよね、あの時は筆者が7thスカイラインに乗るようになったときだよね"と思い出した方もいらっしゃるかも? そうこの構成になるのは、何かがボクに起きた時(笑)。今回取り上げたVWサンタナも、ズバリ昨年末、新たに手元にやってきたクルマなのです!(執筆時) 小学生のとき家のクルマがアウディ100(C2)だったこともあって、サンタナは憧れの1台。その思いはオトナになっても変わらず、いつか乗りたいと思っていたところ気がついたら手元に……って、スカイラインと同じパターンじゃないですか!(笑)

そもそもサンタナとは前述のように、2代目パサート(B2)のセダン版でした。初代から2代目まで、パサートはハッチバックとバリアントのみで、セダンがなかったのです。サンタナとして独立するにあたり、フロントグリルとヘッドライトを別デザインに変更しています。サンタナは世界戦略車という位置付けでもあったので、日本、ブラジル、中国などで現地生産が行われました。ブラジルには2ドア版が存在したほか、VWとフォードの合弁企業『アウトラチーナ』では、サンタナを『フォード・ヴェルサイユ』として発売していました。中国では2007年までほぼそのままで生産されたのち、『サンタナ2000』、『サンタナ3000』、『サンタナ・ビスタ』と小刻みに進化して2012年まで作られました。メキシコでは『コルサール』として、アルゼンチンでも『カラット』なる名前で生産を行なっていました。なお本国では早々に『パサート・サルーン』と改名したのですが、海外ではサンタナの名称を継続しました。

【写真10枚】乗りたいと思っていたら、いつまにか手元に! フォルクスワーゲン・サンタナの詳細を写真で見る

日産ではサンタナに『M30』という日産独自の型式を与え、1984年に3種のVW製エンジン(1.8リッター直4、2リッター直5、1.6リッターディーゼルターボ)と6グレードを擁して発売を開始、翌年には専用アルミホイールやスポーツシートなどで装ったスポーティ版『アウトバーン』を追加しています。1987年のマイナーチェンジでは顔が本国パサートと同じに揃えられ、140psを発生する直5DOHCエンジンを搭載。燃費計を日本的なkm/リッター表示に変更するなど、小刻みなアップデートを繰り返しました。しかし販売数は残念ながら上向かないまま1989年に生産を終了。やがて、日産とVWの関係も終焉に向かっていくのです。

購入したのは、1988年型『Xi5アウトバーンDOHC』という最上級グレード。ワンオーナーで車庫保管だったらしく、塗装と樹脂類には多少のヤレがあるものの、内装は"これ新車!?"というレベル。走行距離は3万kmにすら達していません。DOHC は足が固められているため、サンタナの特徴だったソフトな乗り心地と比べると路面からのショックを拾いやすく、追ってダンパーも替えてみたいところです。マフラーは穴が空いていたので日産から購入して交換しました。というかまだ部品が出るんですね。今のところ大きな問題もないようなので、このままの状態を維持して乗っていこうと思っています!

こんな記事も読まれています

ディフェンダーがピックアップトラックに!?ワイルド感あふれるモデルの正体は…?
ディフェンダーがピックアップトラックに!?ワイルド感あふれるモデルの正体は…?
グーネット
遂に「楽しい」電動スポーツ生誕! ロー&ワイドなボディにシザーズドア 新MGサイバースターへ試乗 
遂に「楽しい」電動スポーツ生誕! ロー&ワイドなボディにシザーズドア 新MGサイバースターへ試乗 
AUTOCAR JAPAN
人生初の愛車は日産「エクサ クーペ」部品取り車に「キャノピー」も所有するほど惚れた理由は、個性的なギミックにありました
人生初の愛車は日産「エクサ クーペ」部品取り車に「キャノピー」も所有するほど惚れた理由は、個性的なギミックにありました
Auto Messe Web
「未来のために白紙の状態から再スタート」新LMP2規定の仕切り直しにコンストラクター4社が同意
「未来のために白紙の状態から再スタート」新LMP2規定の仕切り直しにコンストラクター4社が同意
AUTOSPORT web
アストンマーティンF1、ストロールとの契約延長を発表。2026年までアロンソとのコンビを継続へ
アストンマーティンF1、ストロールとの契約延長を発表。2026年までアロンソとのコンビを継続へ
AUTOSPORT web
ハウガーがデュルクセンを0.008秒下して最速! フィーチャーレースのPP獲得。宮田莉朋大苦戦で21番手|FIA F2シュピールベルグ予選
ハウガーがデュルクセンを0.008秒下して最速! フィーチャーレースのPP獲得。宮田莉朋大苦戦で21番手|FIA F2シュピールベルグ予選
motorsport.com 日本版
名古屋まで100キロ信号なし“スーパー一般道”完成いよいよ秒読み! 国道23号「名豊道路」新IC名も決定!
名古屋まで100キロ信号なし“スーパー一般道”完成いよいよ秒読み! 国道23号「名豊道路」新IC名も決定!
乗りものニュース
ガスリーとの契約延長を喜ぶアルピーヌF1代表。オコンの後任は「時間をかけて決める」と主張
ガスリーとの契約延長を喜ぶアルピーヌF1代表。オコンの後任は「時間をかけて決める」と主張
AUTOSPORT web
異例の再有料化「八木山バイパス」 工事をNEXCOへ引き継ぎ 4車線化も間近!
異例の再有料化「八木山バイパス」 工事をNEXCOへ引き継ぎ 4車線化も間近!
乗りものニュース
「V12+6速MT」搭載! “700馬力”超え新型「斬新顔スポーツカー」世界初公開! 巨大ウイング&“センター4本出しマフラー”がカッコいい! 約4億円の「ヴァリアント」発表
「V12+6速MT」搭載! “700馬力”超え新型「斬新顔スポーツカー」世界初公開! 巨大ウイング&“センター4本出しマフラー”がカッコいい! 約4億円の「ヴァリアント」発表
くるまのニュース
メルセデスF1はついに殻を破った? ハミルトン悩ませた予選での苦戦原因を解明か。マシンよりも「単にタイヤの問題」
メルセデスF1はついに殻を破った? ハミルトン悩ませた予選での苦戦原因を解明か。マシンよりも「単にタイヤの問題」
motorsport.com 日本版
低調なペレスを擁護するレッドブルF1代表。一方で「今年の序盤の状態に戻る必要がある」と奮起を望む
低調なペレスを擁護するレッドブルF1代表。一方で「今年の序盤の状態に戻る必要がある」と奮起を望む
AUTOSPORT web
DSオートモビルの旗艦セダン『DS 9』に“エスプリ・ド・ボヤージュ”シリーズの最後を飾る特別仕様車
DSオートモビルの旗艦セダン『DS 9』に“エスプリ・ド・ボヤージュ”シリーズの最後を飾る特別仕様車
AUTOSPORT web
本家が作らない「トラック仕様」ディフェンダー オランダ発の高度な改造車、約3000万円で登場
本家が作らない「トラック仕様」ディフェンダー オランダ発の高度な改造車、約3000万円で登場
AUTOCAR JAPAN
「ル・マン24時間レース」が超人気のワケとは? 街あげての一大フェスの主役は昨年に続きフェラーリでした【みどり独乙日記】
「ル・マン24時間レース」が超人気のワケとは? 街あげての一大フェスの主役は昨年に続きフェラーリでした【みどり独乙日記】
Auto Messe Web
トヨタのクックが“7台ごぼう抜き”で移籍後初勝利。最終周の逆転劇でBMWヒルは5勝目/BTCC第5戦
トヨタのクックが“7台ごぼう抜き”で移籍後初勝利。最終周の逆転劇でBMWヒルは5勝目/BTCC第5戦
AUTOSPORT web
ベントレー史上もっともパワフルな新型『コンチネンタルGTスピード』発表。海底トンネルでの世界最速記録
ベントレー史上もっともパワフルな新型『コンチネンタルGTスピード』発表。海底トンネルでの世界最速記録
AUTOSPORT web
ウイリアムズF1育成のブラウニングが初ポールポジション獲得|FIA F3レッドブルリンク予選
ウイリアムズF1育成のブラウニングが初ポールポジション獲得|FIA F3レッドブルリンク予選
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

14件
  • 昔 父親が乗っていました。
    サラリーマン家庭なので、スーパーカーなどは無縁でしたが
    好きな車を選ぶ楽しみはこの頃 父から受け継いだと思います。
    今でも通用する良いデザインの車ですね。
  • この頃のワーゲンはエンジン周りに硬めの黄色のグリースみないなのがあちこちベッタリ塗られていた
    整備の時やエンジンの洗浄時にベタベタで軍手の糸屑は付くし除去するには硬くて難しいし
    それがサンタナのエンジンルームも全く同じベッタリでここまで本国と同じにしなくてもいいのに!と思った記憶がある
    錆びやすい要所ならいいが、エンジンルームのパネルとか場所お構い無しにあちこちにぶっかけてる
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村