現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 将来はカメラだけで完全自動運転を達成!? 業界で物議を醸すテスラの新戦略は非常識なのか、それとも…

ここから本文です

将来はカメラだけで完全自動運転を達成!? 業界で物議を醸すテスラの新戦略は非常識なのか、それとも…

掲載 更新 55
将来はカメラだけで完全自動運転を達成!? 業界で物議を醸すテスラの新戦略は非常識なのか、それとも…

自動運転の潮流に逆行するテスラの動きが物議を醸す

テスラが同社の自動運転テクノロジーを「テスラビジョン」と呼ぶシステムに進化させることを発表、まずはアメリカで販売するモデルから採用が始まります。従来のシステムではカメラとミリ波レーダーなどを組み合わせていましたが、テスラビジョンはネーミングからも想像できるように、レーダーの搭載をやめてカメラだけで制御するのが特徴で、自動車業界でもちょっとした物議を醸し出しています。

テスラの新型「モデルS」はクルマが全自動でシフトする…シフトレバーがなくても大丈夫なの?

というのも、自動運転の世界ではセンサーの数を増やすことが正義とされ、カメラ、ミリ波レーザー、超音波ソナーに加えて、最近は赤外線で物体までの距離と形状を正確に把握できるライダー(LiDAR)を複数搭載し、それぞれのデータを組み合わせて自動運転を実現しようとしている最中。テスラの発表はこの潮流に逆行するように見えるのです。

たとえば今年、世界で初めて市販車で自動運転レベル3を実現した「ホンダ レジェンド」に搭載される「ホンダセンシングエリート」はカメラ(2個)、ミリ波レーダー(5個)、LiDAR(5個)を備えます。今後登場するクルマでは、さらにセンサーの数を増やして情報量を確保する動きが加速するでしょう。

今のテスラ車はレベル2なので、コストダウンと理解することも可能

一方、同じホンダでも、新しい「フィット」や新型「ヴェゼル」に搭載されるレベル2の運転支援技術のホンダセンシングについては、カメラとミリ波レーダーの併用型から、カメラだけで制御するタイプに進化しています。自動運転も含めた運転支援技術の普及には、十分な安全性の実現と同時に、コストダウンも必要で、性能を確保しつつセンサーを減らしていくというのは量産メーカーとしては当然の判断でしょう。

その意味では、現時点ではレベル2の運転支援システムを搭載するにとどまるテスラ各モデルは、センサーの数を減らすことでコストダウンを図る段階なのかもしれません。将来的なビジョンは置いておくとして、現時点でのハードウェアとしてはセンサーの種類を絞ることはビジネス的に有効でしょう。そこをコストダウンと見せず、新たなテクノロジーの採用と喧伝するのも同社のブランディングとしては理解できます。

イーロンの「カメラだけでレベル5を達成」はそれでも眉唾

たとえば、実験レベルでは1種類のセンサーだけで一般道における自動運転レベル3は実現可能です。メガサプライヤーであるヴァレオ社はライダーを複数積んだだけの実験車両を日本の公道で走らせたりしています。ただし、同社のエンジニアによれば、これはあくまで実験であって、実際に量産する場合にはカメラも併用するといいます。

その発言の真意は「冗長性(じょうちょうせい:システムにトラブルが発生しても二重三重のバックアップで機能を維持できること)」の確保にあります。高度な判断や制御が求められる自動運転ではトラブルの発生が事故に直結するため、複数のセンサーをもつことが必須。前出のホンダセンシングエリートも故障などのトラブルを考慮して多数のセンサーが積まれています。

ただ、テスラのイーロン・マスクCEOはカメラだけを用いるテスラビジョンが、最終的にはソフトウエアのアップデートだけで自動運転レベル5まで達成すると発言しているようで、これはさすがに眉唾でしょう。

量産車では誰も実現したことがない自動運転レベル5においては、どんな問題が出てくるかすら未知数といえます。そもそも自動運転レベル3でさえまだ量産化していないテスラの発表を鵜吞みにしてしまうのは、あまりにも無邪気といえるでしょう。

文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ジュリエッタ・ユーザーを呼び戻す? アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカへ試乗 HVも登場!
ジュリエッタ・ユーザーを呼び戻す? アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカへ試乗 HVも登場!
AUTOCAR JAPAN
160万円でガルウイングドアが買えた! トヨタ「セラ」はバブルが生んだマイクロスーパーカーでした…今見ても新鮮なデザインに再注目です
160万円でガルウイングドアが買えた! トヨタ「セラ」はバブルが生んだマイクロスーパーカーでした…今見ても新鮮なデザインに再注目です
Auto Messe Web
オコン&ガスリーの幼なじみペアがダブル表彰台に感無量「最終ラップ、カート時代に思いを馳せた」アルピーヌは6位に
オコン&ガスリーの幼なじみペアがダブル表彰台に感無量「最終ラップ、カート時代に思いを馳せた」アルピーヌは6位に
AUTOSPORT web
F1がまだ「めちゃくちゃ」だった頃の話 ひどいチームで溢れかえった80~90年代 歴史アーカイブ
F1がまだ「めちゃくちゃ」だった頃の話 ひどいチームで溢れかえった80~90年代 歴史アーカイブ
AUTOCAR JAPAN
ジャガー、英国で新車販売終了 ラインナップ総入れ替え 2026年まで中古車のみ
ジャガー、英国で新車販売終了 ラインナップ総入れ替え 2026年まで中古車のみ
AUTOCAR JAPAN
特別な青を纏ったベントレー「ベンテイガS」完成! 英国ファッションデザイナーとコラボした限定車は、電動化延期が影響していた…!?
特別な青を纏ったベントレー「ベンテイガS」完成! 英国ファッションデザイナーとコラボした限定車は、電動化延期が影響していた…!?
Auto Messe Web
ホンダ新型「スーパーカブ×ハローキティ」初公開! サイドカバーの「飛び出すキティ」が凄すぎ! 超人気の「2大巨頭」奇跡のコラボで発売へ!
ホンダ新型「スーパーカブ×ハローキティ」初公開! サイドカバーの「飛び出すキティ」が凄すぎ! 超人気の「2大巨頭」奇跡のコラボで発売へ!
くるまのニュース
スペックはディーゼルに見劣りするトヨタ「ランドクルーザー250」のガソリン車 “気になる街中での印象”は? 充実した装備類で“コスパは最強”
スペックはディーゼルに見劣りするトヨタ「ランドクルーザー250」のガソリン車 “気になる街中での印象”は? 充実した装備類で“コスパは最強”
VAGUE
真夏も真冬も車内で寝る必要があるトラックドライバー! アイドリングが御法度なイマドキの「冷暖房」事情
真夏も真冬も車内で寝る必要があるトラックドライバー! アイドリングが御法度なイマドキの「冷暖房」事情
WEB CARTOP
F1の新規ファンが増えない根本理由 75周年を機に開かれる未来への道筋とは?
F1の新規ファンが増えない根本理由 75周年を機に開かれる未来への道筋とは?
Merkmal
「僕よりも大変な人たちがいる」アロンソ、激痛襲われるもサンパウロ完走でマシン修復のチームや豪雨被害バレンシアに勇姿見せる
「僕よりも大変な人たちがいる」アロンソ、激痛襲われるもサンパウロ完走でマシン修復のチームや豪雨被害バレンシアに勇姿見せる
motorsport.com 日本版
【BMW 1シリーズ 新型】色々なボディカラーで楽しんで
【BMW 1シリーズ 新型】色々なボディカラーで楽しんで
レスポンス
PPのノリス、赤旗で後退しタイトル争いにも打撃「ライバルはラッキーだったが、僕は不運だった。戦略に誤りはない」
PPのノリス、赤旗で後退しタイトル争いにも打撃「ライバルはラッキーだったが、僕は不運だった。戦略に誤りはない」
AUTOSPORT web
「“暗い色”増えたなぁ…」 自動車カラーのトレンドが一気に“地味化”へ!? “とにかく明るい色”から一転のワケ
「“暗い色”増えたなぁ…」 自動車カラーのトレンドが一気に“地味化”へ!? “とにかく明るい色”から一転のワケ
乗りものニュース
「ヘッドライトが眩しいクルマ」なぜ増えた? 信号待ちで「ライト消さない人」が多数派になった理由とは? ヘッドライトの“新常識”ってどんなもの?
「ヘッドライトが眩しいクルマ」なぜ増えた? 信号待ちで「ライト消さない人」が多数派になった理由とは? ヘッドライトの“新常識”ってどんなもの?
くるまのニュース
小さいジープはいかが? ブランド最小のSUV「アベンジャー」がEVで登場! 【新車ニュース】
小さいジープはいかが? ブランド最小のSUV「アベンジャー」がEVで登場! 【新車ニュース】
くるくら
[音を良くするコツをプロが指南]何はなくとも「スピーカー」を換えれば音は変わる!
[音を良くするコツをプロが指南]何はなくとも「スピーカー」を換えれば音は変わる!
レスポンス
サプライズは失敗したけど……セナに憧れたハミルトン、マクラーレン・ホンダMP4/5Bドライブに感激「これでレースに出れたらいいな笑」
サプライズは失敗したけど……セナに憧れたハミルトン、マクラーレン・ホンダMP4/5Bドライブに感激「これでレースに出れたらいいな笑」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

55件
  • 人も「目」を使って運転しているからねぇ…
    複数のカメラを使えば実現できる事を否定はできない
  • また多くの死人が出るな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村