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【ヒットの法則351】キャリバーとナイトロにはダッジらしいアイデアと個性が詰まっていた

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【ヒットの法則351】キャリバーとナイトロにはダッジらしいアイデアと個性が詰まっていた

2007年、ダッジの日本導入が華々しくアナウンス。4モデルの導入が明らかになったが、まず日本にやってきたのはキャリバーとナイトロだった。はたしてダッジとはどんな個性を持っていたのか。ここでは沖縄で行われた試乗会のの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年8月号より)

アクの強さを抑えた、親しみやすいキャリバー
5月中旬のこと、ダイムラー・クライスラーは「クライスラー部門を米投資ファンドサーベラス・キャピタル・マネジメントに売却する」と発表した。今後、クライスラーの持ち株会社が新設され、サーベラスが80.1%、ダイムラーが19.9%の株式を取得する。

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ダイムラーとクライスラーの関係は完全に切れるわけではないが、「クライスラーの今後について」は、何かと気になることが多いのは事実だ。そんな取材陣の思いにまずは答えようということだろう。試乗前のプレゼンテーションで、日本のクライスラー部門を統括するダイムラー・クライスラー日本のエリス副社長が説明に立った。

それによると、「新会社、クライスラーコーポレーションが発足予定ですが、今後もダイムラーとの技術提携は継続されます。そして、長期的視野でリカバリープランを展開していきます。日本におけるビジネス計画に変更はありませんので、皆さん、応援してください」とのことだった。

さて、日本のクライスラーにとって、今年最大の目玉は、ダッジ導入であることは言うまでもない。4月に「ダッジナイト」と称して、華々しく日本導入を宣言したのに続き、6月の沖縄で行われたのがこの試乗会で、販売予定の4モデルのうち、いち早く到着したキャリバー、ナイトロが用意された。

まずキャリバーに試乗。ダッジがグローバル展開するにあたってのエントリーモデルで、手ごろな価格(SE:263万5500円、SXT:294万円)が魅力のCセグメントSUVだ。いかにもダッジらしいのは、SXTに標準装備されるミュージックゲートパワー。このハッチゲートを開けるとスピーカーが出てくるリフトゲートスピーカーはうまくできたシステムだ。また、ルームランプが取り外せ、懐中電灯のように使える「充電式脱着カーゴランプ」はアイデア賞ものだ。

スタイリングは洗練されている。ダッジらしいアクの強さを抑え気味にしているのは、キャリバーをエントリーモデルとして数多く売りたいという気持ちの表れだろう。ボディサイズは日本の道路事情にジャストといった感じで最小回転半径は5.4m、つい最近デビューしたトヨタの新型プレミオ/アリオンと同レベルであることから見ても「手ごろ」なことがわかるだろう。

エンジンは2L 直4DOHCで、パワーはこのクラスでは標準的な156ps、これにCVTが組み合わされ前輪を駆動する。さて、その走りはどうか。ひとことで言うと「びっくりするほどふつう」だ。「ふつうなら、びっくりしないだろう」と言われるかも知れないが、こんな「形容矛盾」がぴったりくるような、ソツのない走りなのだ。

ボディは1695kgと決して軽くはないが、アクセルレスポンスはよく、またステアリングフィールなどから、走りは全般に軽快であると感じられる。CVTの仕上がりもよく、走行性能については何も問題点はない。世界の市場を意識して、こういうまとめ方をしたのだろう。走りには官能に響いてくるものはほとんどないが、入門車としては実にソツなく仕立てられていると、感心させられた。

ナイトロにはある種の割り切りがある
さて、次はナイトロ。これは「ガツン」と個性的だ。そのスタイリングの迫力からして、巨大なのではと思われるかも知れないが、実はそうでもない。3サイズはスペック表のとおりで、キャリバーよりひと回り大きいレベル、カイエンより23cm短く、幅は7cm狭い。

ダッジ初のミッドサイズSUVだが、そのパワートレーンには従来型チェロキーのノウハウが活かされているので、信頼性は高いし、またドライブフィールに熟成されたものを感じる。3.7LのV6エンジンは、アクセルペダルを踏み込むと一拍おいて加速するような感じで、いかにも豪快なアメリカンSUVといった印象だ。通常のオンロードでは後輪駆動、滑りやすい路面では4WDを選択できることは言うまでもない。本格的なオフロードで、その実力を試してみたかったが、今回は残念ながらその機会はなかった。しかし、ジープの血を持つわけだから、悪いわけはない。

インテリアはスタイリングから想像するよりも大人しく、キャリバーと相通じるものがある。カーゴスペースは広く、また機能的にデザインされているので使い勝手は非常にいい。

ナイトロにはある種の割り切りがある。それでグローバルなエントリーモデルであるキャリバーとは違う魅力を発散できるのだ。同じダッジとは言え、その個性はずいぶん違うものだ。さて、あと2台、アベンジャー、そして、チャージャーに早く乗ってみたい。(文:荒川雅之/Motor Magazine 2007年8月号より)



ダッジ キャリバーSXT 主要諸元
●全長×全幅×全高:4420×1800×1550mm
●ホイールベース:2635mm
●車両重量:1420kg(EU)
●エンジン:直4DOHC
●排気量:1998cc
●最高出力:156ps/6300rpm
●最大トルク:190Nm/5100rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:FF
●車両価格:294万円(2007年)

ダッジ ナイトロSXT 主要諸元
●全長×全幅×全高:4580×1860×1785mm
●ホイールベース:2765mm
●車両重量:1890kg(EU)
●エンジン:V6SOHC
●排気量:3700cc
●最高出力:205ps/5200rpm
●最大トルク:314Nm/4200rpm
●トランスミッション:4速AT
●駆動方式:パートタイム4WD
●車両価格:361万2000円(2007年)

[ アルバム : ダッジ キャリバー/ナイトロ はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

3件
  • やっぱりダメなんでこんなの買うの国産車でいいじゃん!残念ながら販売しているのもしらなかっつた。存在すら知らない。これではダメだよねー
  • ダイムラー時代の多くのクライスラー製品同様、見た目のアクの強さと裏腹に車自体のキャラが薄めでかつ内装が極めてチープであったことがキャリバーとナイトロの一番の弱点でしたね。

    クライスラー300やダッジ・チャージャーの時に自由に作りすぎて、親会社の締め付けが厳しくなった結果とも言われていましたが実際どうだったんでしょうね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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