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長期テスト アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(1)

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長期テスト アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(1)

もくじ

ー これまでのアルファ 今後のアルファ
ー 「QVは卒倒しそうなほど美しい」
ー 2.9ℓツインターボV6、そして内装
ー ジュリアQV、試乗の第一印象は?
ー テスト車について
ー 追加した装備一覧
ー テストの記録

国内試乗 ジュリア・クアドリフォリオ 対C63/M3 第3極登場

これまでのアルファ 今後のアルファ

アルファ・ロメオの一貫性に欠けた来し方を思えば、新型ジュリア・セダンの予想像が現れるたびに過去の記憶に苛まれたとしても致し方ない。

アルファがこの2~30年の間に送り出してきたクルマに食指が動かなかったことを思い出し、本当にBMW 3シリーズの愛好者を引きつけられるのか疑いたくなるのもよくわかる。

しかし、わたし個人としては、最後の自前のヒット以来、不作記録を見続けるのはもうたくさんだ。アルファが状況を立て直すために今行っていることこそが重要なのだ。

ご存じの通り、ジュリアはアルファが長らく造ってきたフィアット車ベースのFWD車とは完全に別物である。なので、このイタリア伝統のブランドがジュリアという納得できるクルマを(完成までだいぶ待たされたとはいえ)生み出してくれたことを汲んで、今のところは証拠不十分で推定無罪ということにしておき、実際に所有してみるとどうなのか確かめるのが良いだろうと考えた。

そこで、この美しい赤に塗られたジュリア・クアドリフォリオを最低向こう6カ月にわたって手元に置くことにした。

われわれのクアドリフォリオ(長ったらしいので、ここからは「QV」と略させていただこう)はオドメーターに11000kmを刻んでやって来た。実のところこれは3月にテストしたのと同一の個体で、他にもアツく走らせた人間がいたに違いないのだが、誰とて500psオーバーのスーパーRWDセダンをそう走らせないわけにはいかないだろう。

まずはボディを眺めよう。

「QVは卒倒しそうなほど美しい」

アルファの高いデザイン水準が頭にあっても、QVは卒倒しそうなほど美しい。アグレッシブで官能的で、他の小型スポーツセダンがまるで凡庸に見えてくる。

曲線美に富むボディは、大きくうねったサイドシルに合目的的なリアディフューザーといったカーボンファイバー製付加物やエアベントで飾られ、いかにも速そうだ。

元々レースフィールドでの栄光を意味し、後にアルファの高性能モデルの象徴となった四つ葉のクローバーをあしらった三角形のバッジは当然のように左右のフェンダーに収まり、特別なクルマだとすぐにわかる。

ジュリアに用意される7色のボディカラーはいずれも素晴らしいのだが、図抜けているのがわれわれのクルマに塗られた3層コートのコンペティツィオーネ・レッド(1750ポンド=約27万円のオプション)だ。

フェラーリのように魅惑的だし、アルファ伝統の「テレフォン・ダイヤル」型ホイールを現代的に解釈したようなダークグレー塗装の5ホールデザイン19インチアルミホイール(350ポンド=約5万3000円の追加)と組み合わせるとなおさらだ。同一サイズで明暗のカラーが選べる標準のY型スポークのホイールも良いデザインで、ハズしようがない。

メカニズムに目を向けよう。

ジュリアはマルチリンク式リアサスペンション、トルクベクタリング機能を持つリアディファレンシャル、アダプティブダンパーを備える後輪駆動の専用プラットフォームを持つが、それらは全て従来のアルファとはまるで異なるものだ。

電動アシストのステアリングはスパッと切れ、ロック・トゥ・ロックは2回転強でしかない。高速安定性に寄与するカーボンファイバーのボンネットとフロントのアクティブスポイラーも用意され、アルファがBMW M3やメルセデス-AMG C63(そして次期アウディRS4)を打ち負かさんと土俵に割って入る意志が見てとれる。

2.9ℓツインターボV6、そして内装

そしてお待ちかね、アルファ最新の2.9ℓツインターボV6エンジンがある。510psと61.2kg-mを発生し、QVを最高速度307km/h、0-100km/hは3.9秒で疾走させる。

シングルプレーンのクランクシャフトを持つにもかかわらず、このV6は羽根のように軽く滑らかに回る。イギリスではQVにMTの用意がないことをいささかも呪うことはないし、もしあったとしてもこのZF製8段ATの方を選んだだろう。長く指に心地よいステアリングコラム固定のアルミパドルでのシフトは格別の楽しみなのだ。

次は内装だ。

ブラックレザーとアルカンターラを組み合わせたシート地とカーボンファイバーのトリムの仕様は固定で、ダッシュボード下部やドアパネルとステッチの色は5種類から選べる。われわれのクルマは、黒の内装にフェンダーのクアドリフォリオ・バッジを反映させた緑と白のステッチが組み合わされている。

標準のフロントシートの代わりにスパルコのカーボンファイバーシェルを持つスポーツシート(2950ポンド=約45万円)が付き、レザーの標準ステアリングも一部にカーボンファイバープレートを配したレザー・アルカンターラ製(225ポンド=約3万5000円)に変わっている。

QVの強烈な性能をフルに活かすことができるカーボンセラミック・ブレーキ(5500ポンド=約84万円)も付いているし、ハーマン・カードンの14スピーカーオーディオ(950ポンド=約15万円)、リアダークティンテッドガラス(275ポンド=約42000円)、キーレスエントリーとアウタードアハンドル照明に室内収納ボックスをセットしたコンビニエンス・パック(425ポンド=約65000円)も追加されている。おかげでQVの本体価格6万1300ポンド(930万円)が7万3805ポンド(1120万円)まで膨れあがっている。

ジュリアQV、試乗の第一印象は?

いざ乗ってみて、以前のレビューではこのクルマのものすごさを過小評価していたとわかった。真っ先に際立つのはそのハンドリングで、ダンパーを柔らかめにセットすると、乗り心地は驚くほど快適なのに前輪はフェラーリ並みに機敏に反応するのだ。

同時に、野性的なサウンドが無鉄砲なまでの性能によく似合っている。室内は概して魅力的でドライビングポジションにも文句の付けようがなく、一瞬で虜にならずにはいられない。

良いクルマなのはよくわかった。

でも信頼性に保証がないアルファの新型車に大枚6万1300ポンド(930万円)をはたいて良いのかと言うかもしれない。

もしQVが何か不安要素を見せたり何かのパーツがポロッと外れでもすれば調子が変わるかもしれないが、目下のところはドイツのありふれた指名手配車に並ぶ興味深い魅力的な選択肢がついに現れたことに興奮するしかない。

性格も、見た目も、加速や運動性だって、M3やC63が欲しくなる気持ちに待ったをかけるには十分だ。このアルファはどこを取っても別格だし、そこに賭けてみる価値がある。QVとの日々が退屈になろうはずがないのだ。

テスト車について

モデル名:アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ
新車価格:6万1300ポンド(930万円)
テスト車の価格:7万3805ポンド(1120万円)

追加した装備一覧

■カーボンセラミック・ブレーキ 5500ポンド(84万円)
■スパルコ製カーボンシェル・スポーツシート 2950ポンド(45万円)
■コンペティツィオーネ・レッド3層コートボディ色 1750ポンド(27万円)
■ハーマン・カードン・サウンドシステム 950ポンド(15万円)
■コンビニエンス・パック 425ポンド(6万5000円)
■ダーク塗装5ホールデザインアルミホイール 350ポンド(5万3000円)
■リアダークティンテッドガラス 275ポンド(4万2000円)
■レザー/アルカンターラ・ステアリングホイール 225ポンド(3万5000円)
■スモーカーズキット 80ポンド(1万2000円)
テストの記録

燃費:7.2km/ℓ
故障:無し
出費:無し

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