2020年も多くの新型車が登場した。スズキの2代目ハスラーやダイハツの意欲的な軽SUVタフト、大ヒットSUVとなったライズやハリアー、ヤリスシリーズ、そしてホンダからは同社初の量産型EVであるHonda eやフィット、その中で「この年を代表する1台」として日本カー・オブ・ザ・イヤーの大賞を獲得したのはスバルの新型レヴォーグだった(選考対象車は13車種)。
2019年11月から2020年10月末までに発売された国産車
吹き荒れる車種整理の波 人気車「ヴェルファイア」は本当になくなるのか?
多くの話題車、ヒット車が登場した2020年は「豊作」と言えるのだろうか。そしてその中で「この年の1台」に選ばれたレヴォーグは、その栄冠にふさわしい性能だったのか。2020年に登場した新型車を総括していただくべく、国沢光宏氏に分析をお願いした。
文/国沢光宏
【画像ギャラリー】 2020年は「豊作」だった? ヒット車多数の主なデビュー車たち
■2020年は登場車種13台、2015年は24台
2015年の日本COTY(カー・オブ・ザ・イヤー)の対象車は、国産車だけで24モデルもあった(編集部注/大賞受賞車は「マツダ ロードスター」)。それ以前も大雑把に言って平均20モデルといったイメージ。1年間に新型車&新エンジン搭載車が24車種も発売されてたということです。けれど2016年になるとわずか9車種。以降、2020年までずっと10~13モデルという”不作”の年が続く。
5年前の2015年は24車種もの新型車が登場。その中で「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の大賞を受賞したのは、現行型ロードスターだった
とはいえ2015年当時は、野球に例えれば「とにかく振っていけ!」みたいな状況だったように思う。車種を見るとN-BOXスラッシュやSX4-Sクロス、ホンダ・ジェイドに代表される、デビューしたときから「厳しいでしょう!」みたいなクルマが少なくなかった。かたや最近の傾向は「新型車を出すなら厳選して」。内容的には濃い。
しかも軽自動車とアメリカ市場向けモデルを除き、日本の2020年CAFE(企業平均燃費規制)とヨーロッパの2021年CAFEに対応しなければならないため、今までよりワンランク燃費を向上させなければならない。ヤリス3兄弟はトヨタのヨーロッパ戦略車種として開発されたモデルだし、フィットも日本CAFEのため重要なモデルです。
■60名中25人が1位に、23人が2位に
そんな状況の中、COTYを受賞したのはレヴォーグだった。437票も取り、320票のフィットに大差をつけている。60人いる選考委員のうち25人が最高の10票を入れてます。レヴォーグを2位にした選考委員が23人! 1票も入れなかったのは3人のみ。絶対的な得票数もさることながら、高く評価した選考委員の数だって多かったように思う。
(編集部注/日本COTYの配点は、60名の選考委員がそれぞれ25票(点)の持ち点を、10台の候補車(10ベストカー)に割り振る仕組み。必ず1台のみに10票を入れ、残り15票を4台に割り振るシステム)
混戦が予想されていた日本カー・オブ・ザ・イヤー2020-2021だったが、結果だけをみると新型レヴォーグが大差をつけて大賞を獲得したかたちとなった
こうなると気になるのが「はたしてそんなに良いクルマだったのか?」ということ。
ちなみに私は(レヴォーグに入れたのは)8票。10票をヤリス3兄弟に投じた。まずその理由から紹介してみたい。
COTYのWebサイトの名簿に、なぜ最高得票を入れたのか理由が出ている。ここで挙げた理由を読むと、なぜレヴォーグ満票じゃなかったか解っていただけるかと。
以下、引用したい。
「日本とヨーロッパでCAFEに代表される厳しい厳しい燃費規制が始まった。結果、多くのメーカーは燃費重視のエンジンしかラインナップできなくなっています。そんな中、トヨタのみエンジンだけで走る高性能車を出してきた。トヨタで販売しているクルマ全体の環境対応度がキッチリできているという証明のようなもの。
さらに人気のクロスオーバーや、驚くほど燃費の良い量販車もシリーズに含まれている。クルマにとって重要な環境と楽しさのバランスが見事に取れていると思います。個人的には多くのメーカーがCAFE対応に苦しむ中、クルマ好きにとって大切なスポーツモデルをホンキで作ってきたことだけで満点を投じたいと思う」。
昨今カーボンフリーや電動化車両が話題にあがるようになってきたけれど、それ以前の課題として燃費を改善しなければならない。2020年CAFEの次にやってくる2030年CAFEをクリアしようとするなら、半分くらいをプリウスと同等以上の燃費とし、残る半分は電気自動車かPHVにしなければならない。それくらいハードル高いです。
ヤリス3兄弟はこのハードルを超えようとしながら、ハイパワーモデルまで出してきた。
驚異的な燃費を叩き出すヤリス、SUVのヤリスクロス、そしてWRCのベース車両として開発されたGRヤリスと、3兄弟として審査されたヤリスシリーズ
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■純ガソリン車であるレヴォーグの短所と長所
振り返ってレヴォーグのパワーユニットを見ると、いまだ電動化すらしていない。スバルは2017年まで5年間、開発のTOPだった役員が燃費対応技術に注力しなかったため、大きく大きく出遅れてしまう。「技術」をストロングポイントにするスバルとは思えないほど。
新型レヴォーグのパワーユニットは水平対向4気筒エンジンの1.8Lターボ+AWDのみ。純ガソリン仕様のみと、このご時世でHVなし
レヴォーグのタイミングでハイブリッドかPHVでも出せていれば、私も満票を入れた可能性大。2位に入れた選考委員仲間に話を聞くと、私と同じくパワーユニットの出遅れを指摘する声が多かった。とはいえ電動化することを前提で開発されている新世代エンジンはレギュラー仕様で燃費がいい。サンデードライバーなら納得出来ると思う。
以上弱点。
ストロングポイントはどうだろう。
誰もが「いいね!」と高く評価しているのは車体技術です。スペックからしてヨーロッパの最先端と並ぶ。ハンドルの手応えの質感に大きな影響を与えるデュアルピニオン式の電動パワステを始め、電動アシスト式のブレーキや、ZF製のダンパーなど普通の日本車じゃ使わない高機能パーツを投入。
成果はハッキリ出ており、走り出して30mで良さが解るレベル。また新世代アイサイトの豪華バージョンである『アイサイトX』を選ぶと、世界TOPクラスの自動ブレーキ性能に加え、渋滞時のハンズフリードライブ機能や、ウインカー操作だけで人間よりレベル高い安全確認しながら車線変更してくれる機能も加わる。
すぐれた走行性能と「アイサイトX」という世界最高峰の安全技術を装備する新型レヴォーグ
新型レヴォーグのハンドルを握っていると、上質で安心感があって快適なドライブを堪能できます。2020年で最も良いクルマだという評価は十分納得できると思う。
ただ少しばかり高価かもしれません。電動化パワーユニットを搭載し、最上級グレードにしか付かないZFのダンパーとアイサイトXが付いて今の価格スタートなら200点でしょう。
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かつてVWから大量の賄賂を貰って他社の自動車攻撃をしていた連中だからね