レース用エンジンを優先して開発
TOYOTA 2000GTに搭載する3M型エンジンの開発と製造を任されたヤマハ発動機。ヤマハ側の車両設計・試作責任者は安川力開発部長が、直接のエンジン設計は遠藤嘉徳課長が担当することになった。
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当時のヤマハ発動機では、ヤマハ技術研究所を経て1959年末に開設された安川研究所にて、スポーツカーやエンジンなどの自動車技術の研究が行われていた。1960年末には、自社開発した直列4気筒DOHCを搭載したYX30というFRPボディのオープンスポーツカーなどを試作。さらに日産との業務提携で試作車の製作を委託され、自動車製造やDOHCエンジンのノウハウを蓄積していた。
トヨタと開発チームとヤマハの安川らとの打ち合わせで、トヨタ側エンジン担当の高木英匡は新型スポーツカーの基本構想を説明した上で、M型エンジンのシリンダーヘッドをDOHC化するなどの要望を伝えた。その席上、安川らから「何を使わせてもらえるのか?」「どこの部品を作り直さなければならないのか?」などの質問が出たという。
トヨタ初のDOHCとなる3M型エンジンの開発は、市販車と並行しつつもレース用エンジンを優先して始まった。サーキットの現場で鍛え、そこで得られたものをフィードバックしながら市販型エンジンとしての性能、耐久性を熟成していくという方法が採られたのだ。レース用エンジンはリッター100psが目標だった。実際に3M型エンジンのレース用チューニングを担当したヤマハ開発部の渡瀬治朗は、当時の様子をこう語っていた。
「正直なところ、なかなか馬力が出ませんでした。2ℓで200psそこそこです。190psを超えたところから、なかなかパワーが上がらなかった。今から客観的に見れば、あの時代の2バルブエンジンとしては十分に優秀でしたが、理想としては220psぐらいないと、他社と競合したときに勝てないだろうなと思いました。ですから、余裕を持たせるためにいろいろやっていました。
あの頃、他社の情報はほとんどありませんでしたね。唯一の情報源は『オートスポーツ』や『カーグラフィック』などの自動車雑誌です。プリンスR380のDOHCエンジンは雑誌でしか知らなかった。対してヤマハの機密保持は厳しく、『酒を飲んでも仕事の話は一切するな』と厳命されていたほどです。もちろん、家族にも話すな、と。ですので、機密はよく守られていたと思います」
ボンドカーに搭載された、初期タイプの3M型エンジン。市販車のカムカバーで「2000」と刻まれているところが「GT」になっている。新車からの親子1オーナー! かけがえのない練馬シングルナンバーが光るトヨタ2000GT! 【2022TMSCクラシックカーミーテイング&レビン・トレノ生誕50周年パレード】近年高騰を続ける国産旧車たちだが、いくらお金を払っても買えない価値がナンバープレートだ。特に「5」だけだったり品川が「品」だった時代の通称シングルナンバーが残る…motor-fan.jpレース用エンジンでも100時間の耐久性
TOYOTA 2000GTが出場するレースのレギュレーションで交換が許される部品は、ほとんどレース用部品に作り替えられた。コンロッドには特殊鋼を採用した。コンロッド、ピストン、動弁系は軽ければ軽いほど高回転まで回せるからだ。
「エンジンの開発過程は、事前に打ち合わせが済んでいて、大体のシナリオが出来ていました。目標に従って『こういう仕様でいきましょう』と指示されて、我々も議論し、納得して作ったものを持ち込む。ただ、時間がないので、完全には熟成されていないんです。薄氷を踏む思いでした。余裕はなく、いつも徹夜です。
それでも最新のものをすべて入れたいので、ギリギリまで粘るわけです。手抜きはできなかった。今から思えば、ある意味異常でした。愛社心というか、プリンス、日産、いすゞに対して対抗意識というか……。切磋琢磨です。弾は飛ばないですが、まるで戦争でしたよ」と、渡瀬は当時の熱かった開発現場を振り返っていた。
ところで、ヤマハ発の四輪レース用エンジンに組み込む部品は、どうやって作られたのだろうか?
「馬力を上げるためにバルブスプリングを変える必要があるのですが、シリンダーヘッドは細部の寸法が決まっていますから、大きくは変えられません。そこを何とか工夫して、エンジンが高回転まで回るようにバルブスプリングを軽量化し、次にバルブやリフターの軽量化を行なっています。
しかし軽量化すると、今度は強度が落ちるものですから、対策として例えば浸炭焼き入れをしなくてはならない。しかし、中まで浸炭するともろくなって割れてしまいます」
思い描いたとおりに部品を作るには、発注先の焼き入れ屋では技術があっても時間的に間に合わない。結局、自分たちで作るほかなかったという。この部品の調達と作成が一番のネックだったと渡瀬は語っていた。
「材質、形状のあらゆるところで、壊れたら必ず次は壊れないものを作る。特にテストの場合は、耐久性、信頼性がものすごく要求されました。レース用エンジンで100時間の耐久性が要求されたので、それが基準になりました。
まずはベンチでの測定で基準をクリアします。しかし、それだけでは壊れるところがあります。基本性能は最初に押えていても、当然持たないようなところが出てきます。クリアするまで組み替えて、耐久試験を何回か行っていくのです」
こうしてレース用3M型エンジンの開発は、次第に時間との闘いに突入していくのだった。(文中敬称略)
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みんなのコメント
ベースポテンシャルが非常に低く、苦労したと言うことだな、この記事は。