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「最初」の受賞車:ローバー2000 革新的リアハッチ:ルノー16 先進のロータリー:NSU Ro80 欧州COTYの1番を選ぶ(2)

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「最初」の受賞車:ローバー2000 革新的リアハッチ:ルノー16 先進のロータリー:NSU Ro80 欧州COTYの1番を選ぶ(2)

欧州COTYで最初の受賞車 ローバー2000

欧州COTY代表の1台、ローバー2000。スティーブ・クロプリーへ印象を聞く。「静寂性と低速域でのマイルドな乗り心地が、最大の魅力ですね。高速道路も快適に巡航できます。しかし、この頃の同価格帯のモデルは、より優れたエンジンを積んでいました」

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マット・プライヤーも同調する。「乗り心地は素晴らしい。でも、それ以上に響くところはないかもしれません」

レイ・ハットンは、シトロエンDSに影響を受けた設計を評価しつつ、フランス車のような革新性はないと話す。「快適なキャビンを備えた、発展途上のエグゼクティブ・サルーンです。走りは重い。さほど速くありません」

それでは、1966年の欧州COTY、ルノー16の印象は。当時は98ポイントを獲得し、2位のロールス・ロイス・シルバーシャドウと3位のオールズモビル・トロネードへ、大きく差をつけている。

16は、コンパクト・ハッチバックの原型を確立し、市民へ普及させた。15年も続いた生産期間で、驚くほどの成功を収めてもいる。

スタイリングを描き出したのは、デザイナーのガストン・ジュシェ氏。ルーフラインが高く、3枚のサイドガラスが並んだサイドビューは、非常にフランス車らしい。

未舗装の道を許容し、長距離移動も快適。家族で週末旅行も楽しめる自動車として、成長する需要をしっかり支えてきた。

革新的な利便性を生み出したリアハッチ

エンジンは、滑らかに回りトルクが太いオーバーヘッド・バルブの4気筒。排気量は1.5Lか1.6Lを選べ、サーモスタット制御の冷却ファンと、効率的な冷却系が組まれていた。

前輪駆動で、当初のトランスミッションは4速マニュアルか3速オートマティック。サスペンションは前後とも独立懸架式で、トーションバーが支え、快適な乗り心地を実現していた。カーブでのボディロールは、面白いほど大きかったが。

ボディの特長といえたのが、今では当たり前のリアハッチ。巧みなリアシートの設計と相まって、60年前には革新的といえる利便性を生み出していた。

今回ご登場願った16は、リチャード・アレン氏の1970年式。後期型のエンジンに5速MTが組まれ、パワーステアリングも装備されている。1966年に審査を受けた仕様ではないが、本質は変わらない。3名の審査員は、好印象を抱いたようだ。

浮遊したようなソフトな乗り心地と、快適なシートを評価するのはレイ。全体的に古く感じるものの、大きなボディロールを愛すべき個性だと表現するのはマットだ。

往年のルノー車らしい、玉座のように心地良いシートと活発なフィーリングに、スティーブは喜ぶ。だが、「ライバルの強みをカバーするには、後継モデルでの更なる努力が必要といえます」。と、16の課題にも触れる。

市場を牽引できなかったNSU Ro80

好対照に、1968年の欧州COTY、NSU Ro80は先進的。歴代の受賞車で、数少ない未来的なモデルだとレイは認める。後に信頼性と燃費の悪さが露呈し、市場を牽引することができなかったとしても。

とはいえ、フィアット125やシムカ1100を超えるポイントを集めたことは事実。ツインローターのロータリーエンジンに、3速セミ・オートマティック、前輪駆動というパッケージングは、審査員を感心させるのに充分だった。

ロータリーエンジンの能力は、確かに高かった。1.0Lの排気量から、自然吸気でも115psの最高出力を発揮。可動部品は少なく、軽量に仕上がっていた。これに、シフトレバー上部のスイッチでクラッチを操作する、セミATが組み合わされた。

シャシーも新しかった。サスペンションは前後とも独立懸架式。バネ下重量を削るため、フロントのディスクブレーキは、ドライブシャフト内側に備わるインボード構造。アシスト付きの、ラック&ピニオン・ステアリングラックも採用されていた。

今回のRo80は、フィル・ブレイク氏がオーナーの後期型。1975年式で、発進直後から印象が良い。「知的なクラッチは、見事に機能します。スタイリングも、空気抵抗を意識したことが明らかです」。とレイが強みを話す。

「さほど古く感じません。見た目には、現代のデザイナーも惹かれる特徴があるように思います」。とスティーブも笑顔を見せる。一方で、常に高い回転数を保つ必要がある、エンジンのパワー感を指摘する。

それでも、マットの意見に否定する声は挙がらなかった。「乗り心地は上質です。沢山の魅力を備えた、本当に洗練されたモデルだと思いますよ」。かくして1960年代の代表には、Ro80が選ばれた。

1960年代の欧州COTY代表 3台のスペック

NSU Ro80(1967~1977年/英国仕様)

英国価格:2444ポンド(新車時)/2万1000ポンド(約390万円/現在)以下
生産数:3万7402台
最高速度:181km/h
0-97km/h加速:12.6秒
燃費:5.3-8.1km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1196kg
パワートレイン:ツインローター995cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:115ps/5500rpm
最大トルク:16.1kg-m/4500rpm
トランスミッション:3速セミ・オートマティック(前輪駆動)

ルノー16(1965~1980年/英国仕様)

英国価格:919ポンド(新車時)/9000ポンド(約167万円/現在)以下
生産数:185万1502台(合計)
最高速度:141km/h
0-97km/h加速:16.9秒
燃費:11.3km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:980kg
パワートレイン:直列4気筒1470cc 自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:59ps/5000rpm
最大トルク:10.7kg-m/2800rpm
トランスミッション:4速マニュアル(前輪駆動)

ローバー2000(1963~1973年/英国仕様)

英国価格:1264ポンド(新車時)/1万ポンド(約186万円/現在)以下
生産数:20万8875台
最高速度:167km/h
0-97km/h加速:14.6秒
燃費:7.8-10.3km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1252kg
パワートレイン:直列4気筒1978cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:90ps/5000rpm
最大トルク:14.9kg-m/2500rpm
トランスミッション:4速マニュアル(後輪駆動)

この続きは、欧州COTYの1番を選ぶ(3)にて。

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