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ミッドシップ4WDスポーツ対決! ホンダ NSXとランボルギーニ ウラカンに見る「感性の違い」とは? 【Playback GENROQ 2019】

掲載 更新 8
ミッドシップ4WDスポーツ対決! ホンダ NSXとランボルギーニ ウラカンに見る「感性の違い」とは? 【Playback GENROQ 2019】

HONDA NSX × Lamborghini Huracan Spyder

ホンダ NSX × ランボルギーニ ウラカン スパイダー

ミッドシップ4WDスポーツ対決! ホンダ NSXとランボルギーニ ウラカンに見る「感性の違い」とは? 【Playback GENROQ 2019】

“静”と“動”の2台

新開発タイヤの採用やサスペンション各部の見直しを行い、より上質な走りを手に入れた2019年モデルの新型NSX。NSX同様、MR+AWDを採用するスーパースポーツである、ランボルギーニ ウラカン スパイダーとの比較を試みた。

「両モデルはスポーツカーとしての演出手法は正反対といってもいいくらいだ」

NSXとウラカンの共通点はエンジンをミッドシップする4WDスーパースポーツカーであること。なるほど、2台と同じカテゴリーに属するのはおそらくランボルギーニ アヴェンタドールくらいだろう。

では、NSXとウラカンが似ているかといえば、さにあらず。それどころかどちらも最新のテクノロジーを数多く採用しているにもかかわらず、スポーツカーとしての演出手法は正反対といってもいいくらいだ。ウラカンの魅力は、なんといってもランボルギーニが脈々と受け継いできたワンフォルム・デザインにある。ボディの前端からルーフまでを一直線で描き上げたスタイリングは実にユニークで、ひと目見ただけでランボルギーニと認識できる。彼らの個性がこのフォルムに凝縮されているといっても過言ではない。

「NSXのクリーンかつシンプルな造形は知的な印象。ウラカンよりも未来的に思える」

一方のNSXにもスーパースポーツカーらしいプロポーションが与えられているが、全体から受ける印象はウラカンに比べて大人しい。ただし「だからNSXはダメ」というつもりは毛頭ない。むしろクリーンかつシンプルな造形は知的な印象をもたらしているほか、ある意味でウラカンよりも未来的に思える。マイナーチェンジに伴って施されたチンスポイラー周りのデザイン変更はNSXのワイド&ローな印象を強調するもので、デザインの完成度はより高まったといえるだろう。

ウラカンのもうひとつの特徴が、ランボルギーニの遺伝子を正しく受け継いだ排気量5.2リッターの自然吸気V10エンジンである。レッドゾーンが8500rpmから始まる超高回転型ユニットは回せば回すほど迫力あるエキゾーストノートをあたりに轟かせ、ドライバーの聴覚だけでなく魂までも激しく刺激する。しかも、高回転域で計算し尽くされたバイブレーションを生み出すこともスポーツカーファンにはたまらない魅力であるはず。トップエンドで全身にドーパミンが溢れ出るような快感が得られるスーパースポーツカーという点において、ランボルギーニは最右翼に位置するといっていい。

「吸気音のシューッという音色はジェットエンジンを思わせ、実に未来的だ」

対するNSXが搭載するエンジンは3.5リッターV6ツインターボで、見かけ上のスペックではウラカンに見劣りする。エンジン単体のパフォーマンスもNSXは507ps/550Nmと、ウラカンの610ps/560Nmに及ばない。NSXのレブリミットは7500rpmで、普通に考えれば立派な数値だが、それでもウラカンの8500rpmと比べると分が悪い(NSXのシステム出力とトルクは581ps/646Nm)。

では、NSXのエンジンが刺激に欠けるかといえば、そんなことは決してない。たとえば、フルスロットルにすると音もなく瞬時にレブリミットまで吹け上がる様はV6であることもターボエンジンであることも信じられないほど。吸気音のシューッという音色はジェットエンジンを思わせ、実に未来的だ。またレスポンスが鋭く、回転の上昇に伴うトルク変動を感じさせない点は、SH-AWDのモーターアシストが利いている証拠だろう。いずれも、オーセンティックな味わいのウラカンに対して、極めて強い先進性を感じる。

「ウラカンのほうが、いわゆるアジリティはより鋭く感じられる」

ハンドリングや乗り心地の面でも2台は好対照の関係にある。

ウラカンのほうが乗り心地はやや硬めに思えるが、これは路面からの微振動を正確に伝える傾向が強いからだろう。これに比べるとNSXはサスペンションになにかのフィルターがかかっているかのようで、細かなバイブレーションはきれいに消し去られている。ただし、2台ともボディ剛性は十分に高いので、硬めの足まわりでも不快に感じられないことは特筆しておきたい。

ハンドリングはウラカンのほうが切り始めのゲインが高めで、いわゆるアジリティはより鋭く感じられる。それでも優れたスタビリティを確保できているのは、やはり4WDの恩恵か。これに比べると、NSXのハンドリングはとりたててアジリティが強調されているとはいえないが、リニアリティは極めて高く、ステアリングを切れば切っただけ曲がっていく感覚が強い。それにも増してNSXで特徴的なのは、SH-AWDの効果によりコーナー進入時の荷重移動をほとんど意識しなくても思い通りにターンインしていく点にある。いっぽうのウラカンはセオリー通りフロント荷重にしてからステアリングを切り込むことでシャープなハンドリングが楽しめる。この点でもウラカンがオーセンティック、NSXが未来的といえそうだ。

「感性の訴え方こそ違えど2台は紛れもない真のスーパースポーツだ」

我々が長く親しんできたスーパースポーツカーの価値観に立脚したウラカンと、これまでになかった価値観を創造しようとするNSX。どちらがいい悪いではなく、乗り手の感性への訴え方に大きな違いがあると感じずにはいられなかった。

REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)
PHOTO/神村 聖(Satoshi KAMIMURA)

【SPECIFICATIONS】

ホンダ NSX

ボディサイズ:全長4490 全幅1940 全高1215mm
ホイールベース:2630mm
車両重量:1800kg※
ハイブリッド方式:フルハイブリッドシステム
システム合計出力:427kW(581ps)
システム合計トルク:646Nm(65.9kgm)
エンジンタイプ:V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量:3492cc
最高出力:373kW(507ps)/6500-7500rpm
最大トルク:550Nm(56.1kgm)/2000-6000rpm
電気モーター出力:前27kW(37ps)×2 後35kW(48ps)
電気モータートルク:前73Nm(7.4kgm)×2 後148Nm(15.1kgm)
トランスミッション:9速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後ウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前245/35ZR19 後305/30ZR20
燃料消費率(JC08モード):12.4km/L
車両本体価格:2370万円
※カーボンセラミックブレーキローター装着車は1780kg

ランボルギーニ ウラカン スパイダー

ボディサイズ:全長4459 全幅1924 全高1180mm
ホイールベース:2620mm
車両重量:1542kg(Dry)
ハイブリッド方式:-
システム合計出力:-
システム合計トルク:-
エンジンタイプ:V型10気筒DOHC
総排気量:5204cc
最高出力:449kW(610ps)/8250rpm
最大トルク:560Nm(57.1kgm)/6500rpm
電気モーター出力:-
電気モータートルク:-
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前245/30R20 後305/30R20
燃料消費率(EU複合モード):15.1L/100km
車両本体価格:3270.443万円

※GENROQ 2019年 2月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

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みんなのコメント

8件
  • 大馬力で突っ走ることを重視するウラカン
    微妙なコントロールで曲がることを重視するNSX
  • 5.2L V10 NAと3.5Lハイブリッドだからね。違って当然。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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