GWの恒例はスーパーGTでしょ
カーライフエッセイスト吉田由美さんの「なんちゃってセレブなカーライフR」。今回は、富士スピードウェイで開催された「スーパーGT」に行ってきました。親交のあるニッサンGT500クラス総監督の木賀新一氏にもインタビューを行い、現在の心境を語ってもらいました。レースアンバサダーのコスチュームにも注目です。
SUPER GT第2戦富士で1-2フィニッシュした日産チームの立役者! 新総監督は世界初のエンジンを生み出したエンジニアです【Key's note】
日本でもっとも人気のある自動車レース
わたくしのGWの恒例は富士スピードウェイで開催される「スーパーGT」。わたくしがその昔、チェッカーモータースのイメージガールだったことや、スーパーGT前身の「全日本GT選手権」のMCを務めさせていただいたことがあるの。そのせいか、今でも気になるのよ~。今回の2024年5月3日(金・祝)~4日(土)に行われたスーパーGTの第2戦富士は「2024 AUTOBACS SUPER GT Round2 FUJI GT 3Hours RACE」とあるようにレギュレーションがいつもと違い、距離制ではなく、3時間制の一本勝負よ~。
スーパーGTを簡単に説明すると、高性能乗用車「GT」(グランド・ツーリング)をベースにしたレーシングカー。2クラスの混走レースで、GT500クラスはトヨタ、日産、ホンダによるメーカーのワークスチームの戦い。2024年のマシンは、トヨタが「GRスープラ GT500」、日産が「ニッサン Z ニスモ GT500」、ホンダが新型の「シビック タイプR-GT」。シャシーは共通で、そこにベース車両のスタイルを盛り込むのよっ。エンジンは各メーカーが開発した2L直4ターボエンジン。
一方のGT300クラスは市販されているFIA-GT3、日本ならではのGT300、GT300のMC(マザーシャシー)が使用できるため、スバルのようなメーカーでの参戦もあれば、プライベーターでも国内外のスポーツカーで参戦しているの。参戦車両も多く、車種もバラエティに富んでいて見た目も華やか~。というワケで、日本でもっとも人気のある自動車レースなの。
なかには見た目で「え? あの車がGT300クラス?」と思う方もいらっしゃるかもしれないけど、GT500クラスは500馬力のエンジン、GT300クラスは300馬力のエンジンを使用するうえ、車重やリストリクター径も違うらしいわ~。ほかにも、GT500クラスはフロントウインドウ上部のステッカーの色とライト、ゼッケンの色が白で、GT300クラスは黄色という違いも。通常は土曜日が予選、日曜日が決勝レースだけど、第2戦の富士は連休だからイレギュラーで、5月3日(金・祝)が予選、4日(土)に決勝が行われたのよ。
ニッサンGT500クラス総監督の木賀新一氏にインタビュー
2023年から2024年の変更点は、環境コストの削減のため、使用タイヤの持ち込みセット数をドライ用(乾いた路面)、ウエット用(濡れた路面)それぞれ1セットずつ削減し、ドライ4セット、ウエット5セットに。また、2024年からGT500クラスはカーボンニュートラル燃料(CNF)「GTA R100」の仕様が義務付けられ、GT300クラスは今シーズンは合成燃料50%の「GTA R50」の使用が必須となっているわ。
2024年はレーシングドライバーもメーカーの垣根を超えた大シャッフルがあったけど、わたくしの周辺でもっともざわついたのは、日産のエンジンのエキスパート、パワートレイン・EV技術開発本部パワートレインエンジニアリングダイレクターの木賀新一さんがニッサンGT500クラスの総監督に就任したこと。木賀さんにはわたくしのYouTubeチャンネルにもよく出演していただいたり、ご本人が代表を務めていらっしゃる「日産名車再生クラブ」なども取材させていただいたりと日ごろからお世話になっているのよ~。というわけで、表敬訪問!? NISMO総監督用のモーターホームに向かうわよ~!
総監督ってどんなお仕事なの?
まず、そもそも「総監督」とは、どんなお仕事なのかしら? 木賀さんに伺ったわ。
「GT500に日産は全4チームが参戦していますが、それぞれのチームに監督がいるので、各チームの調整をします。具体的にはピットストップのタイミングとか。GTのマシンはNISMOがエンジンを設計していますので、それらのとりまとめなどです」
ふむふむ。まさか木賀さんが、総監督に就任されるとは思いませんでしたが、ご本人的には?
「本人が一番驚いています(笑)。NISMO事業部のモータースポーツに携わる話は聞いていましたが、具体的には聞いておらず……。名刺をもらった時に“総監督”と書かれていて、初めて知りました(笑)」
そんなことがあったのですね。率直にどう思いました?
「新しいチャレンジとしてはとてもやり甲斐のある仕事だと思います。できるかどうかはわかりませんが、チャレンジするだけでも価値は十分ある仕事だと思います。エンジニアにとっては、短いサイクルでまずかったところを直してすぐ結果が出る、というのはプレッシャーはありますが、いい刺激になります。
自動車の開発は長いスパンで行いますが、レースは圧倒的に短いサイクルで変わっていきます。レースでは想定通りではないことや設計通りではないことが起こります。レースは相手があるものなので。今後が楽しみです」
日産チームをどう思いましたか?
「レースのマシンなどに関しては勉強中ですが、チームのメカニックやエンジニアの能力が凄いです。練習走行で、少し想定と違うことが起こると練習期間中に変更を加え、最終的には予選でいいタイムが取れるように修正をかけるんですよ!」
と大興奮!
2024年からレースアンバサダーへ
そしてもうひとつ。スーパーGTで大きく変わったのはサーキットの華、レースクイーン改め、2024年から「レースアンバサダー」と呼称が変更になったのよ。レース業界にもジェンダーレスの波が来ていて、「TGR TEAM ENEOS ROOKIE」は、男性モデルを起用。ちなみに、GT500の「TEAM IMPUL」は、2023シーズンの途中からレースクイーン自体を廃止。すでにF1では2018年に「グリッドガール」を廃止しているのよ。
また、レースアンバサダーが着用するコスチュームやレースアンバサダーを選ぶ基準も変わっているみたい。たとえばスバルの「2024 SUBARU BRZ GT GALS BREEZE」の選考基準は「レース好きで、ファンとチームの橋渡しになってくれるような人。スポーティで健康的な人」なのだとか。また、NISMOチームの「2024 Ambassadeur de MOTUL」のコスチュームは、肌の露出を抑えたデザインでナチュラルにしているとのこと。たしかに上品なお嬢様ワンピース風という感じで、ほかのチームのコスチュームに比べるとスカートの丈が長めね。
また、最近の傾向としては、合皮や光沢を抑えたものになっているそう。ただし、基本はミニスカートまたはショートパンツ+上げ底のニーハイブーツ。チームスポンサーのイメージもあるけれど、GT500は可愛い系、GT300はセクシー系が多い印象よ。ちなみに、わたくしがイメージガールだったときは、コンテストのときは水着審査アリ、本番はTシャツなどにミニスカート姿だったわ~。本番で水着のチームもあったけど、それは今の時代ではアウトねっ。時代を感じるわ~。ちなみに個人的には、「ZENTsweeties」のコスチュームが可愛いと思うわ。着てみたいけど、今はもう無理~(笑)。
日産チームがワンツーフィニッシュ!
そして決勝。スタートから3時間後、なんとGT500クラスの日産チーム、1、2位でフィニッシュ! 優勝は3号車のNiterra MOTUL Z(高星明誠選手/三宅淳詞選手)、2位は23号車MOTUL AUTECH Z(千代勝正選手/ロニー・クインタレッリ選手)。ちなみにGT300クラスの優勝は、88号車のJLOC Lamborghini GT3(小暮卓史選手/元嶋佑弥)。
レース終了後、木賀さんに改めてお祝いとお話を伺うと第一声は、
「よかった~!」
後半は、お守りを握りしめていたそう。今回の富士ではどんな作戦だったかお聞きすると、
「とくに秘策はありませんが、クルマの特性を活かすべく、決勝に重きを置いてセットアップしました」
とのこと。いや~、インタビューしたチームが優勝とは、本当に嬉しいわ~。ということで、次回も日産チームはもちろん、ほかのチームのみなさまも頑張ってくださいませ~!
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