■連載/大森弘恵のアウトドアへGO!
1月31~2月3日、千葉・幕張メッセで日本最大級のキャンピングカーイベント「ジャパンキャンピングカーショー2025」が開催された。
新世代「MINI」第3弾は電気自動車専用モデル!新型クロスオーバーEV「エースマン」が登場
全国のビルダーがこの日を目指して新型車両を開発するビッグイベントで展示車両は423台(183社)。人気ベース車両「ハイエース」「キャラバン」が品薄なこともあり、各ビルダーはベース車両の見直しや車両持ち込みの提案など、あの手この手で自社の技術やセンスをアピールしていた。
なかでもひときわ目をひいた車両をピックアップ。
軽トラが和風キャブコンに変身
▲キャンパー鹿児島「座座」(380万円~/展示車510万7900円)
ハイゼットトラックをお座敷に変えたのはキャンパー鹿児島。
天井と壁には揮発性有機化合物や病原性ウイルス、細菌の低減を期待できる無垢エアー・ウォッシュ・フローリング(ヒノキ)を用いておりトビラを開くとふんわり木の香りが漂う癒やしの小部屋に仕上げている。炉がないものの、少し頭を下げて入るためか茶室のようにも見えてくる。
ベースが軽バンではないので窓が少なくトビラを閉じると秘密基地感満点。キャブの断熱加工とアクリル二重窓のおかげで断熱効果はすこぶるいい。
名前の通り、椅子はなく畳風の床に座る。ベッドメイク不要なので荷物を端っこに寄せればすぐゴロリ。テーブルを跳ね上げればのびのび寝られる。
展示車の「クーラーパッケージ」ではクーラー、リチウムバッテリー200Ah、走行充電器、インバーター500Wを搭載しており、夏の車中泊旅でも安心だ。
ちっちゃなネコバス
▲ナッツRV「C-Bus Type-S EVO」(528万円~/展示車571万3510円)
ケイワークスブースに展示されていたネコバス「C-Bus」。ハイゼットトラックでありながら4人乗車/4人就寝を実現している。
電装系に定評のあるナッツRVが手がけており、走行充電は素早く充電できるEVOLUTION、そして300Ahサブバッテリーを搭載。オプションでソーラーパネルとインバーターの搭載も可能だ。
展示されていたType-Sは2列目がファスプシートで駐車中は対面で座れるレイアウト。L型レイアウトのType-Lもある。
写真ではベッドマットが載っているので足もとが狭く見えるが、取り外せばテーブルをセットOK。広々とは言えないが、十分実用的だ。ポップアップルーフのおかげで圧迫感も少ない。
12Vクーラーが標準装備されており夏も安心して就寝できる。オプションとなるがFFヒーターも用意されているのでウインターアクティビティ好きならこれもマストだろう。
シャワー付きシンクの給排水タンクは各13L。洗面やちょっとした洗い物には十分だ。
ドアの脇にスイッチ類が並び、バッテリーの残量とともに状況が一目でわかる。
キャンプ好きの目をひく1台
▲ダイレクトカーズ「AMAHO LOGOS Edition」(598万円~/展示車739万6000円)
センスのよさで業界をリードするダイレクトカーズはハイゼットトラックをベースとする「AMAHOIII」のロゴス仕様を発表した。
丸目がかわいい「AMAHO LOGOS Edition」は、ポップアップにもさりげなくロゴスが運営するアウトドア施設「ロゴスランド」をイメージしたLOGOS LAND柄が取り入れられており、のどかな雰囲気がキャンプ場に映える。限定20台。
後部のバゲッジドアを跳ね上げれば車内とアウトドアをシームレスにつないでくれる。
大型ポータブル冷蔵庫を出し入れするのもストレスがないし、タープを張らなくてもアウトドアランチを楽しめそう。
窓の下の小さな棚。キャンプ場などカーサイドで過ごすときに、食器を出し入れするのに便利。お店屋さん風なのもキャンプ好きファミリーの心に刺さる。
各所に取り入れたLOGOS LAND柄。ディスプレイが大型化され、キャンピングカーに不慣れな人でも一目でわかるアイコン表示。
昭和の高級ラウンジみたいなハイエース
▲かーいんてりあ高橋「ハイファールーフ FUSION」(1320万円/展示車1320万円)
"昭和レトロもここまできたか!?"と思わせたのが「ハイファールーフ FUSION」。ハイエーススーパーロングにオリジナルルーフを取り付け、室内高は最大1900mm。ゆとりの空間を利用し天井には煌めくシャンデリア、壁はベロアのふとん張りなど昭和の高級ラウンジを再現したかのようなインテリアとなっている。
イメージしたのは根強い人気を誇る昭和のバニングカーだそうだが、リチウムイオンバッテリーやルーフクーラーなど最新装備を搭載。快適空間で心ゆくまで昭和に浸れる。
バニングカーの象徴とも言うべきシャンデリアは3つ。
床もチェッカー柄の大理石風。とことんこだわっている。
ギャレーや運転席もベロア調。後部との仕切りは木製の柱で、ここら辺も昭和っぽさを醸すアクセントとなっている。
心に染みる和モダンのバンコン
▲ダイレクトカーズ「Nodoka」(599万円~/展示車865万円)
「Nodoka」はハイエースS-GLにポップアップルーフ(オプション)を装備し、家族でののんびり車中旅をサポートする新型バンコン。
ポップアップルーフは前が高くなる設定。2列目シートを畳んで前に寄せれば広いスペースができ、余裕で立てる。スライドドアから出入りする際、すぐに背を伸ばせられるのは荷物の積み下ろしや車内での移動が思った以上にラクだ。
ダイレクトカーズらしい全面板張りの天井ではなく、ウッドパネルはポイント使い。
走行充電、インバーター1500W、ディープサイクルバッテリー200Ahが備わっていて電子レンジは標準装備。
見せ方にもこだわりたい動く趣味部屋
▲CRAFTPLUS「CRAFTPLUS DESIGN NV200 COMPLETECAR」(472万4830円~/展示車575万9160円)
車中泊カーのベース車両として注目されているNV200の内装・外装を、木工のプロ、CRAFTPLUSが手がけたコンプリートカーがトイファクトリーブースに登場。
CRAFTPLUSらしい木のぬくもりと遊び心にあふれる1台だ。
ベッドマットを載せる棚と壁板は一体化され、後部の窓を閉じている。
板はクルマの形に沿わせているわけではなく、後部は小枝のように出っ張ったデザイン。傘などを引っかけるのにちょうどいい。
また、上部に棚がない代わりに、小物をかけられる有孔ボードをあしらっている。有孔ボードの周囲をシートのデニムに合わせた色で縁取っており、ちょっとしたアートにも見えるから不思議だ。
5人乗車/2人就寝。板を載せるだけなのでベッドメイクは簡単だ。ベッド下は大型の収納庫としてもいい。
両側面の板を直立させているのはスペース的にちょっともったいない気もするが、外から見ると飾り棚になる収納スペースが。世界にたった1台のクルマに仕上げられるというわけだ。
引き出しテーブルを活かした防災仕様
▲ホワイトハウス「FREED CROSSTAR 防災くん」(281万2700円~/展示車620万3010円)
ポップアップルーフと後部の引き出し式収納でコンパクトカーでの車中泊ライフを応援しているホワイトハウスは、この技術を活かした防災仕様カーを提案。
同社の「FREED CROSSTAR Style_iD」をベースに簡易トイレや保存水、救急箱など万一への備えがギッチリ詰まっている。
引き出し式収納には携帯トイレやボイラー、簡易洗濯機、保存水が気持ちよく収まっている。災害時だけでなく車中泊でも使っておけばいざというときに慌てずにすむ。
両側にオーニングが搭載されており、運転席側は簡易トイレや温水シャワー使用時に目隠しできるカーテン付き。
室内の棚には救急箱を固定、収納棚には保存食が。通常の車中泊カーにも取り入れたいアイデアだ。
走りも居住も妥協しないカヤバ謹製
▲KYB×アールブイランド「VILLATOR」(2145万円~/展示車2203万2900円)
デュカトベースのキャンピングカーが続々お披露目されたが、ルックスだけでなく走りも妥協していないと自信を見せたのがアールブイランドとカヤバのコラボ「VILLATOR」。
カヤバが開発したデュカトのキャンピングカー専用ショックアブソーバを採用。高速道路での安定性、そしてコーナリング性能を高めており、運転時のストレスを大幅に低減。キャンピングカーに運転の楽しさを加えた。カラーもアウトドア感満点のオリーブ色。
スポーティーな走りを楽しみ、キャンプ場に到着したらリアボードでスペースを拡張し、のびのび自然を楽しむ。そんな使い方ができるのが「VILLATOR」。別荘(ヴィラ)とラテン語の旅人(ヴィアートル)を組み合わせた車名(ヴィラトール)と名乗るだけある。
2025年の新作キャンピングカーは、ベース車両もコンセプトも多種多様。駐車場確保や運転の不安など初めてのキャンピングカー選びは不安がいっぱいだが、選択肢が増え理想の一台と出会う確率は高まった。
大阪、宮城、熊本…と全国でキャンピングカーショーが開催予定なので出向いてみては。
取材・文/大森弘恵
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