F1第12戦フランスGPの予選後、エナジーステーションでレッドブルのテクニカルディレクターを務めるピエール・ワシェと会った。フェラーリがチームメイト同士で行ったスリップストリーム作戦をレッドブルは考えなかったのかと尋ねると、ワシェは「まったく」と首を振って即答した。理由はこうだ。
「我々には2台ともポールポジションを狙えるスピードがあった。スリップストリーム作戦を採れば、どちらかのアタックが台無しになる。我々にはそれはできなかった」
フェルスタッペン予選2番手「決勝では有利に戦える」フェラーリと異なりトウ戦略は検討せず/F1第12戦
今回のフランスGPの予選でフェラーリがQ3であからさまなスリップストリーム作戦を敢行できたのは、今週末カルロス・サインツがパワーユニット交換を行い、最後尾スタートが決定していたからだった。
ワシェは語らなかったが、レッドブルがスリップストリーム作戦を行わなかった理由はもうひとつあるのではないかと考えられる。それは予選後のクリスチャン・ホーナー代表のコメントから読み取れる。
「今週末、このポール・リカール・サーキットを我々とフェラーリは少し異なるアプローチで攻めていたように思う。彼らは少しダウンフォースを付け気味にして走り、我々はダウンフォースを少し切り詰めた状態で戦っていた」
それは区間タイムと区間スピードに表れていた。ポール・リカールのセクター1はコントロールラインから5コーナーと6コーナーの間までで、セクター2はそこから9コーナーを立ち上がって10コーナーの370m手前まで、そしてセクター3はそこからコントロールラインまでとなっている。セクター1と3がダウンフォースが必要で、ほぼストレートしかないセクター2は最高速が重要となる。
予選での区間タイムは、セクター1と3ではシャルル・ルクレール(フェラーリ)がトップで、セクター2はフェルスタッペンがトップだった。
ホーナーは言う。
「金曜日は夜通しでシミュレーションを行い、ファクトリーもハードワークを行ってくれて、今日はマシンのバランスが大幅に改善された。最終的には2番手と3番手に終わったが、レースでは何かが起きると信じている。というのも、このサーキットでは戦略が重要な役割を果たす。そして、我々はフェラーリに対して、2対1と戦略的に有利な状況でレースができる」
レッドブルは、自信を持ってスリップストリーム作戦を採らず、代わりに2番手と3番手を得た。果たして、この判断はどんな結末を迎えるのか。その結論は日曜日のレースの53周後に判明する。
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