■“激安クルマ”に「欲しい!」の声も
自動車は数万にも及ぶパーツで構成された集合体であるため、コスト削減を追求したとしても、極端に低価格化することは容易ではありません。
しかし海外を見ると、日本円にして約28万円という新車価格を実現したモデルが存在していました。
このモデルについて、一体どのような評価が寄せられているのでしょうか。
【画像】「えっ…!」これが新車28万円の「タマゴ型モデル」」です(25枚)
この極端に安価なモデルは、インドの自動車メーカー「タタ(タタ・モーターズ)」が2008年に発表した小型車「Nano(ナノ)」で、その新車価格は10万ルピー。
これは日本円に換算すると約28万円(当時のレート)にあたり、これにより「世界で最も安いクルマ」として、世界中で大きく話題となりました。
ナノには低価格を実現するために数々の工夫が凝らされており、まずボディサイズを全長3.1m×全幅1.5m×全高1.6mと超小型とすることで、材料費を大きく削減しています。
さらにワイパーは1本のみで、助手席側のドアミラーや給油キャップまでも省略され、さらにブレーキは4輪ともドラム式で、エアコンも非搭載。
このように可能な限り構造を簡略化するとともに、徹底したコストダウンが図られています。
一方で実用性についてはしっかりと考慮されており、ボディ形状は卵を想起させるワンモーションフォルムとすることで、大人4名が広々と乗車できる車内スペースを確保します。
そしてパワーユニットは、最大出力34馬力を発揮する623ccの2気筒エンジンを車体後部に搭載し、組み合わせるトランスミッションは4速MT。
車体重量が約600kgと軽量だったため加速も良好で、最高速度は105km/h、さらに燃費も20km/Lと優れた値を記録しました。
このように、数々の工夫と割り切りによって、衝撃的な低価格を実現したナノは、世界中で大きなニュースとなり、20万件を超える予約を達成。
しかしその後、鋼材や石油など材料費の高騰によって、車両価格の値上げが余儀なくされます。
また車両火災が発生するなと安全性の低さが露呈したほか、安っぽさの否めない内外装などによって急速に評判が低下。
2010年と2011年では7万台しか売れず、目標台数を大幅に下回ってしまいました。
これを挽回すべく、外装や装備の充実した上級グレードを追加するなど、ナノは地道に改良され続け、2015年には内外装を一新した新世代の「Gen X ナノ」が登場。
こちらでは電動パワステやATのトランスミッション、バックドアなど装備を充実させましたが、車両価格は最安グレードでも約20万ルピーとなり、当初のコンセプトとは大きくかけ離れた存在に。
こうしてナノは一定の支持を受けつつも、明確な後継車が出ないまま、2018年に生産を終了しました。
※ ※ ※
このナノについて日本のSNSでも様々な反響が見られ、「バイクより安全だしデザインもいいよね」「今や軽自動車も新車で買うとコミコミ200万近くする。日本のメーカーも安さを追求したモデルを出して欲しい」「田舎暮らしでのセカンドカーには最適だと思う」など、ナノのようなモデルが日本にも欲しいという声が多く見られます。
また、「かつてのスバル360に近い存在だよね」「三菱の軽自動車にこんな形のモデルがあったような気がする」と、ナノのコンセプトやデザインから特定の国産車を思い出す人も。
そのほか、「乗りたいけど安全性がちょっと怖いね」「実際に日本で売ってても中古の軽自動車を買う人が多いでしょ」といった、今現在の日本市場にナノ同様のモデルが存在しない理由を考察する人もいました。
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