バイクの乗り心地がよくなる!?「プリロード調整」とは
バイクの乗り心地に関わるパーツとしては、タイヤやシートなどが挙げられますが、そのほかに道路の凸凹から来るショックを吸収する役割を担っている「サスペンション」もあります。
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走行中のバイクは、サスペンションのバネが伸びたり縮んだりすることで地面からの衝撃をいなし、車体が跳ねるのを防いで、安定して走行できるようになっています。
サスペンションはバイクを買った時のまま、いじったことがないという人も多いと思いますが、基本的にバイクにはサスペンションのバネをあらかじめ強めたり弱めたり調整できる「プリロード調整」という機構が備わっています。
そして、ライダーの体重やシチュエーションに合わせてプリロード調整をおこなうと、バイクの乗り心地を良くすることが可能です。
そもそも「プリロード」という言葉は英語で「Prelord」と書き、これは「前もって負荷をかける」や「あらかじめ組み込む」といった意味を示す単語です。
そしてプリロード調整とは、あらかじめスプリング(バネ)に負荷を与え、サスペンションのストローク量(バネが上下する幅)を調整すること。特に活躍する場面は、ライダーの体重が重すぎたり軽すぎる際やタンデム走行時、重い荷物を積んでいる場合などが挙げられます。
状況に合わせて、バイクのサスペンションの強さを好みのセッティングにできるのが、プリロード調整最大の特徴です。なお、国産のバイクメーカーは出荷時に、ライダーの標準的な体重を目安にサスペンションを初期設定しています。
しかしライダーの体格は人それぞれ違うので、平均値よりも体重が大きくかけ離れている場合は、ゴツゴツとした乗り心地になったり、逆にフワフワとした乗り心地になったりすることも少なくありません。
そんな場合にバイクのサスペンションの強さを自分ごのみに改善できるのがプリロード調整という訳です。
乗り心地を左右する、プリロード調整の基本
プリロード調整の基本としては、たとえば強めにするとサスペンションに与える負荷が大きくなります。つまり、上からバネを押し付ける形になり、バネが縮んだ状態でキープされるイメージ。
この場合、伸びきった状態に比べて大きな衝撃を与えないとバネが上下に動きづらく、強い反力を使うことになるため、硬い乗り心地になると同時に車高が高く感じやすくなります。
反対に、プリロード調整を弱めにすると、サスペンションに与える負荷が小さくなります。つまり、スプリングを押し付ける力があまりかからない形になるので、サスペンションが伸びた状態でキープされるイメージ。
そのため、少しの凸凹でもスプリングが上下に動きやすくなるので、路面の衝撃を吸収しやすく、車体が沈み込みやすいと同時に足つき性が良くなる傾向にあります。
バイクのプリロード調整をしたほうがよいケースとしては、標準的なライダーよりも体重が大きく上回っていたり、明らかに軽い場合が挙げられます。
たとえば、標準よりも重い体重のライダーはプリロード調整を強めに設定することで、バネの反力が強くなり、体重をしっかりと支えてくれるため、ブレーキをかけた際や段差を乗り越える際などに、サスペンションが沈みすぎたり、底つきするのを抑えることが可能です。
一方、標準よりも軽い体重のライダーは、プリロード調整を弱めにするのが一般的。プリロード調整が標準のままだと、体重が軽すぎてバネが動きづらいため、段差などで大きな衝撃を受けやすくなり、乗り心地が悪化します。
プリロード調整を弱めると、バネのクッション性が向上して路面の衝撃をやわらげる効果が期待できる事に加え、バイクにまたがった際に車体が沈み込みやすく車高が低くなるので、足つき性に不安を感じている人にもおすすめの設定といえるでしょう。
そのほか、プリロード調整が活躍するシーンとしては、キャンプツーリングなどで多くの荷物を積載した場合や、タンデム走行でリアタイヤに大きく荷重が増える場合。
これらは重心がテール寄りになるので、バランスが取りにくかったり、ヘッドライトの光軸が上向きになって対向車に迷惑がかかることがあるので、通常よりも危険な状態といえます。
このような場合は、リアサスペンションのプリロード調整を強めにして、前後にかかる重量配分を最適なバランス設定に直すと、安定した走行が可能になります。
ちなみにバイクのプリロード調整をおこなうには通常、フックレンチと呼ばれる専用の工具が必要です。プリロード調整が可能なバイクには、車載工具の中にフックレンチが含まれていることが多いので、別で用意する必要はありません。
左右に1本ずつサスペンションがあるツインショックを採用したモデルは、アクセスしやすいので調整が比較的しやすいのがメリットです。
なおサスペンションに1本のモノショックを採用したモデルは、調整が1か所で済むので簡単ですが、調整機構がリアタイヤの奥のほうにあるのでアクセスしにくいことがあります。
プリロード調整が完了したら、実際にまたがったり走行してみたりして、サスペンションの感触を確かめることが重要。このとき、乗り心地に違和感を感じるようなら、再びアジャスターを微調整して納得のいくフィーリングになるまで同じ作業を続けましょう。
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