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レンジローバー・スポーツ x ポルシェ・カイエン 高級SUVはブランド成長の「金の卵」 比較試乗(1)

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レンジローバー・スポーツ x ポルシェ・カイエン 高級SUVはブランド成長の「金の卵」 比較試乗(1)

斬新で説得力ある新カテゴリーだった

1990年代の後半、ポルシェ・カイエンの構想が練られるさなか、まったく異なるモデル名が検討されていたことをご記憶の方はいらっしゃるだろうか。それは、「スポーティリティ」だ。

【画像】ブランド成長の「金の卵」 レンジローバー・スポーツ ポルシェ・カイエン 競合のSUVも 全165枚

ブレインストーミングには、大変なエネルギーが割かれたことだろう。異なるモデル・アイデンティティで推し進められていたら、今の自動車業界はどう変化していたのか、興味を抱かずにはいられない。

ポルシェは、巨大な影響力を掴んでいなかった可能性がある。21世紀初頭に、潤沢な利益を得ることも難しかったかもしれない。ドイツ・シュトゥットガルトで能力を発揮する技術者たちは、賢明な選択を重ね、悲惨な結果を見事に回避した。

そして、現在の自動車市場はSUV花盛り。われわれがポルシェ・カイエン・ターボと対面してから20年。後を追うように、レンジローバー・ストーマー・コンセプトをランドローバーが公開してからも、同じくらいの年月が経つ。

その頃、全長が5m近くあり、車重が2tを超えるスポーツSUVは、斬新で説得力のある新カテゴリーといえた。見た目だけでなく、走りもスポーツサルーンに接近していた。

カイエンとレンジローバー・スポーツは進化を重ね、金の卵のように母体を成長させてきた。ポルシェは間違いなく、世界最高の自動車ブランドの1つになった。ランドローバーも同様に、ブランドイメージを高め続けている。

高い目標を掲げ、達成することが求められる

そして、速いだけでは不充分とみなされるようにもなった。物理学へ反するような能力への驚きは薄れ、更に上にある多様性が求められている。というわけで今回は、最新スポーツSUVの現在地を、比較試乗で確かめてみたい。

21世紀が始まって以来、高級SUV市場は爆発的に拡大した。10万ポンド(約1900万円)以上のモデルは珍しくなく、500馬力は当たり前。ランドローバーやポルシェ以上に誘引力の強いブランドが、富裕層の心を惹き付けている。

臨戦態勢を整えるべく、最新世代のL461型レンジローバー・スポーツは、2022年に登場。3代目カイエンも、2023年にビッグ・マイナーチェンジを受けた。競争力の維持のため掲げられた高い目標は、達成されただろうか。

直接比べるなら、1番良い仕様を並べるのが望ましい。そこで英国編集部が選んだのは、レンジローバー・スポーツ SV エディションワンと、カイエン・ターボ E-ハイブリッド・クーペ GTパッケージ。動力性能的には、それぞれの頂点に君臨するグレードだ。

英国価格は、15万ポンド(約2850万円)を軽く超える。庶民には現実味が薄いことは間違いない。ランボルギーニやアストン マーティン、フェラーリなどのスーパーSUVへ、スーパーカー級の予算を用意する富裕層にとっても、小さな額ではないだろう。

落ち着きを増した艷やかなスタイリング

レンジローバー・スポーツは、徹底的にフラッシュサーフェイス化された、艷やかなボディが目を引く。上質な素材を贅沢に使用しつつ、シンプルな造形のインテリアも好印象。デザインに敏感な人の共感を得そうだ。

美しいだけでなく、フォルムは凛々しい。外から眺めただけでも機能的だとわかり、あらゆる条件へ対応できそうに思える。また、これ見よがしだった先代のSVRと異なり、やや悪趣味なカスタムから距離を置こうとしたようにも映る。

洗練されたスタイリングは、オーバーフィンチ社やカーンデザイン社などが提供する、ボディキットを受け付けない。そのかわり、別のターゲット層を誘惑できるだろう。ランドローバーは、密かにリセットボタンを押したのかも。

車内空間は、カイエン・ターボより長く高いだけに、ゆとりを感じる。後席側の空間はほどほどだが、荷室は明らかに大きい。高さがあり、カイエン・クーペでは厳しい荷物も簡単に飲み込める。大型犬のケージも問題なく載せられる。

カイエン・ターボは、最新のデジタル技術と有能な電動パワートレインで、現代性が追求されている。ダッシュボードにはモニターが整列し、ターボ E-ハイブリッドには、740psを発揮するプラグイン・ハイブリッドが搭載される。

GTデザインのアルミホイールと、カーボンファイバー製ルーフ、エアロキット、大きく口を開いたフロントバンパーがスポーティ。レンジローバー・スポーツ SV以上に速く見える。大きなクルマへ抵抗がなければ。

比較的近いシャシー技術 異なる考え方

それでは実際の走りは? 先ほどリセットボタンが押されたと表現したレンジローバー・スポーツだが、動的特性でもワイルド感は沈められた。従来以上に多様な能力の獲得へ、焦点は向けられたようだ。

パワートレインの電動化は別として、この2台のシャシー技術は比較的近い。どちらもマルチチャンバーのエアサスペンションが備わり、後輪操舵システムが用意されている。トルクベクタリング機能付きのリアデフで、大パワーを受け止める。

ところが、姿勢制御に対する考え方は異なる。ランドローバー・スポーツが実装する、6Dインターリンク・アダプティブダンピング・システムは新技術で、ボディの傾きを抑えるアンチロールバーを不要としている。

対してカイエン・ターボのPDCC、ポルシェ・ダイナミックシャシー・コントロールは、スポーティなドライブモードやコーナリング時に、アンチロールバーがボディロールを抑制。優れた操縦性を実現する。

しかし、コンフォート・モードでの直進時やオフロードでは、実質的にアンチロールバーはサスペンションから分離。条件次第では、しなやかな足さばきを叶えている。

タイヤは、レンジローバー・スポーツ SVがオールシーズン。あらゆる路面へ対応させようとする、ランドローバーの意志が現れている。

カイエン・ターボは、オンロード用のピレリPゼロ。オプションで、ハイグリップなPゼロ・コルサも指定できる。ポルシェの狙いを物語る設定だ。

この続きは、レンジローバー・スポーツ x ポルシェ・カイエン 比較試乗(2)にて。

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