シェフラーは、Audi e-tronの電気駆動用トランスミッションの量産を開始した。ビュールおよびヘルツォーゲンアウラッハで開発・生産する。わずか150mmの軸方向スペース、16kgの重量で、400Nmの入力トルクを実現。モジュラーシステムで幅広い用途に適応する。
Audi e-tronの電気駆動用トランスミッションの量産を開始することは、シェフラーの電動モビリティビジネス部門にとって重要な節目となる。この製品はヘルツォーゲンアウラッハおよびビュールで開発、生産され、最大限の運転の楽しさと心地よさ、最適なノイズ特性を兼ね備えている。
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電気駆動用トランスミッションは、平行軸と同軸のふたつのバージョンで提供され、スペースを小さく抑え、高い入力トルクを実現する。新しいAudi e-tronにはこの両方のバージョンが取り付けられており、同軸バージョンは心地よい後輪駆動を実現し、平行軸バージョンを前輪軸に取り付けることで全輪駆動が可能になる。
システム全体の中核となるのは、シェフラーが開発した高集積スパーギヤディファレンシャル付き遊星ギヤセットだ。
平行軸と同軸のふたつのバージョンで完璧な駆動を実現
電気自動車は広まってきているものの、幅広く受け入れられるためには、内燃機関に匹敵するレベルの走りの心地よさと楽しさを提供することが必須条件になる。
例えば、駆動システムは、都市環境での心地よい走行を実現するだけでなく、スポーツ走行モードでの高い加速性能への切り替えにも対応することが求められている。そのため、トランスミッションには従来のパワートレインからハイブリッド車、さらには電気自動車への移行に伴い自動車メーカーとサプライヤーの両方に高いレベルの革新性が求められる。
アウディe-tronは1軸だけではなく前後輪2軸で車両を電気駆動できる。シェフラーの技術者はこの新しいe-tronのために最適な解決策を見出した。前軸の駆動システムは平行軸の電動アクスル、後軸には同軸の電動アクスルが搭載されている。これらふたつを組み合わせた全輪駆動システムは圧倒的な走行性能と機敏なハンドルを実現する。
中核となる遊星ギヤセット
音響特性の最適化に加え、同軸ドライブアーキテクチャのスペースには限りがあるため、開発者には特に高い要件が課せられた。この問題の解決策が、シェフラーが革新的なスパーギヤディファレンシャルを組み合わせて開発した、高集積化段付き遊星ギヤセットだ。
Audi e-tronに搭載されたこのトランスミッションは、150mmの軸方向スペース、わずか16kgの重量で、400Nmの入力トルクが可能。また、遊星ギヤの設計コンセプトは、前軸の平行軸ドライブにも適用され、これにより、開発時間と費用が削減されただけでなく、製品の品質も最適化された。同軸バージョンと同様、このコンセプトも400Nmの入力トルクを実現し、オプションのパーキングロックとの組み合わせが可能。Audi e-tronが通常走行のときは、後軸からの駆動になる。急加速のため、より多くのパワーが必要な場合は、前軸の平行軸駆動システムが選択される。
シェフラー電動モビリティビジネス部門の責任者、ヨッヘン・シュレーダー博士は「チーム全員が、アウディと一緒に開発したこの革新的な製品を誇りに思っています。アウディ向けのトランスミッションは、8月から大量生産されており、将来的には、年間最大25万台を生産する見込みです。弊社のトランスミッションは、製品のモジュール性により、他の用途にも適応可能です」と述べている。
シェフラーのモジュラーシステムは、新しい電動モビリティ戦略により、電気自動車でも、内燃機関をベースにしたハイブリッド車でも、すべての要件に対応する。
今年初めからは、アジア市場向けに2速トランスミッションが生産されている。現在、生産はドイツ国内で行われているが、今年末には、顧客の身近な存在になるというコンセプトを実現するため、生産ラインをアジアに移転する。
トランスミッションの成功はこれにとどまらない。2019年第2四半期には、ドイツの有名自動車メーカー向けのトランスミッションの生産が開始され、ヘルツォーゲンアウラッハの工場で、年間最大40,000台のトランスミッションユニットが生産される。
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