トヨタ カローラ 「ガソリンエンジンにも更なる注力を望みたい」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西川 昇吾
西川 昇吾(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
4
走行性能
4
乗り心地
4
積載性
3
燃費
3
価格
4

ガソリンエンジンにも更なる注力を望みたい

2022.6.20

年式
2019年9月〜モデル
総評
販売戦略的にもハイブリットが中心となっていて、ガソリンエンジングレードの魅力や力の入れようが今一歩という感じがしてしまうのは否めない。しかし、質感と値段を見ればガソリンエンジンも大いに魅力的だ。特に1.2Lターボは6MTと最上級グレードしか用意されていないものの、街乗りでも比較的楽しさが味わえると言えるだろう。普段使いもソコソコいけて、日々の移動をファントゥドライブなものにしたいという人にとってはオススメしたい1台だ。
満足している点
まずコンパクトサイズのセダン。という希少な存在である点が嬉しいポイントと言える。確かに5ナンバーサイズではなくなったが、日本でも取り回ししやすいサイズ感となっている。また、先代モデルに比べて各種質感がグッとアップしてコンパクトセダンながらチープな感じが見受けられない。そしてそういった内容を考えるとトップグレードでも250万円を切ってくるというリーズナブルと言える価格設定も魅力的なポイントと言えるだろう。
不満な点
やはり1.8Lのパワーユニットが一世代前という感じがしてしまうのは否めない。新世代となる1.2Lターボの方が値段も高く燃費性能も高い。最高出力だけで見れば1.8Lに分があるものの、最大トルクや実用域がトルクフルな点は1.2Lの方が優位という感じだ。ガソリンエンジンでより魅力的にしたいのであれば、ツーリングの限定車であった2.0Lの導入を望みたいところ。また1.2Lは最上級グレードW×Bだけでなく中間グレードのSもラインアップしてほしいところだ。
デザイン

4

セダンとなると近年は大きなボディサイズのモデルが大半となっているが、このモデルはコンパクトに収まっていて、その中でも上手くバランスの取れたデザインを実現している。また、灯火類のデザインやラインもエッジが聞いていてスタイリッシュな印象により磨きをかけている。しかし、リアデザインはコンサバなイメージがあるというが、もう少し遊び心というか冒険した感じがあっても良かったのではないかとは思ってしまう。しかし近年のカローラの中では随一のスタイリッシュさだろう。
走行性能

4

先代モデルと比べるとハンドリングなどはかなり良好な印象。TNGAプラットホーム導入以降、トヨタ車のハンドリングはグッと良くなったと感じているが、カローラツーリングはそれが熟成されてきたと感じる。また全高が高くボディ剛性が確保しやすい3ボックスセダンというのも走りの良さに大きく貢献していると言える。動力性能に関しては大満足とまではいかないが、不満ないというレベル。人によっては少し加速性能が欲しいという声も出てくるだろう。
乗り心地

4

乗り心地に関しては概ね満足と言える。実際に乗ってみると乗り心地で驚くという感動はないが、長く乗っていても疲労の原因となる何かしらの違和感を感じることは少ない。大きな主張もないがストレスを感じることもないという乗り心地だ。長時間の運転は全高の低いセダンボディということもあって、ロールや風の煽られ感もなく疲労は少ない。ただ静寂性に関して言えばハイブリッドが羨ましいという意見も出てくるのは当然と言えるだろう。
積載性

3

先代モデル(アクシオ)はハイブリッドでも大きなラゲッジスペース容量があった。それと比べると少し劣勢に感じてしまう面はある。これは現行モデルになりリアサスペンションがトーションビームからダブルウィッシュボーンに変更されたのが影響している。しかし、現代のセダンとしてはコンパクトなボディサイズであることを考えると比較的容量の大きなラゲッジスペースだと思う。利便性ということに関してはリアシートがフラットにならなかったりするのでさほど高くないが、セダンにどこまでラゲッジスペースの利便性を求めるかという意見もあるだろう。
燃費

3

ハイブリッドがスタンダードとなっていることを考えるとガソリンエンジンの燃費性能は少し見劣りする面があるだろう。1.8LのCVTが14.6㎞/L、1.2Lのターボ(MTのみ)が15.8㎞/Lとなっているが、同じクラスの排気量でピュアガソリンエンジンのモデルと比べると、燃費性が特別に秀でているという訳ではない。1.2Lターボは楽しさという面で選択肢としてもアリだが、1.8Lのガソリンエンジンを選ぶ理由は価格以外あまりないと言えるだろう。
価格

4

ハイブリットと比べると40万円ほどリーズナブルになる。しかし、ガソリンエンジンモデルを選んでも基本的な内装や走りの質感は高いまま。そんなモデルが最上級グレードでも250万円以下ということを考えるとお買い得という見方はできるだろう。エントリーグレードもプライスタグだけ見れば200万円を切ってくるので選択肢としては無しではないという感じだ。そういった面で考えると1.2Lターボにもグレードラインアップが増えてほしい
西川 昇吾
西川 昇吾
自動車ジャーナリスト
1997年生まれ、大学時代から自動車ライターとしての活動をスタート。現在はWEB・紙の各種媒体で様々なジャンルの記事を執筆するほか、車両解説動画にも出演し、喋りの分野にも挑戦中。愛車のマツダ・ロードスターで定期的にサーキット走行をし、ドラテクの鍛錬も忘れない、目指すは「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」
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