今回は質問が4つあります。

Question

長文で申し訳ありませんが、よろしくお付き合い下さい。

①一部の車種において、最終減速比の値が2つ載っているものがあります。最近では例えば、マツダ・アテンザに搭載された「SKYACTIV-MT」です。これは1速と2速時が3.850、3速～6速時が2.961となっています。このように最終減速比の値が2つある（ファイナルギヤが2つある）のは、どのような理由からなのでしょうか？

②燃料計を見ていると、下り坂では平坦路走行時より高い値を、上り坂では平坦路走行時より低い値を示すように思うのですが、これは燃料タンク内の測定器が車両前方側に取り付けられているためと考えてよろしいでしょうか？また、「燃料残量が少ないとき、燃焼に使われなかったガソリンが熱と共にタンク内に戻り、冷えきらないまま再びインジェクターに送られることにより、筒内冷却効果や充填効率が低下する」という話を聞いたのですが、本当でしょうか？？

③最近は一部で「LEDヘッドライト」を採用する車種が出現しています。そこで、バイキセノンヘッドライトとLEDヘッドライトの違いについて教えていただけないでしょうか？光量・消費電力・点灯速度・寿命などの差異について解説いただけると助かります。

④車重は軽ければ軽いほど慣性力が小さくなり、運動性能が上がります。例えばマツダ・ロードスターです。一方、車重は重くても高剛性によって高い運動性能を実現しているクルマもあります。例えばBMW・7シリーズです。そこで、高剛性と軽量化 ― どちらがより運動性能を高めると思いますか？また、剛性と軽さはそれぞれどんなシチュエーションで効いてくるのでしょうか？

ご意見をお聞かせください。よろしくお願いします。

Answer 1

●最終減速比の違い
下記2つの目的があります。

(1) 各段の変速比を小さくしたい … 変速比が大きいと，歯車の一方が大きく，もう一方が小さくする必要があり，歯面の耐久からみると，できるだけ同じ大きな歯車をつかいたくなります

(2) レシオカバレッジを大きくしたい … 全段変速比幅（最低段と最高段の比）を大きくすると，低速域の加速性能と高速域の騒音／燃費を改善できます

ちなみにレシオカバレッジは下記のようになります。

・今回のような2段の最終減速比 ＝ 5.86
・もし1段の最終減速比の場合 ＝ 4.51

●車両傾斜と燃料加熱
車両傾斜による燃料計の差異は，おっしゃるとおりです。
また燃料加熱については，ある程度その通りですが，通常の使用範囲では，おっしゃるような大きな差異はありません。もちろんレースのような条件では，大きな差異があるのは，ご存知の通りです

●バイキセノンとLEDの差異
バイキセノンとは，管内にキセノンガスが封入された蛍光灯のような型式で，ハイビームとロービームの両方の機能がはいっています。

（光量／消費電力）： バイキセノンが良い ～ エネルギ変換効率はキセノンがLEDの約2倍です
点灯速度 ： LEDが良い ～ キセノンは安定光度に到達するまでの時間がかかります
寿命 ： LEDが長い ～ クルマの寿命を考えると，キセノンでもクルマ寿命を超えるので，十分といえます

●車重と高剛性
運動性能を高めるのに，いちばん効果的なのは，車重と重心高さです。高剛性は旋回時や制動時などのサスペンションの正確なジオメトリを実現するために必要ですが，影響度は，前者ほどではありません。
剛性が効くのは，旋回時など，サスペンションの動きと車体の変形が大きな場合です。一方，旋回時の限界能力や加速性や制動性能は，車重が影響します。
7シリーズの乗り味は，このクラスとはおもえないくらい素晴らしいのですが，これを実現しているのは，サスペンション＋車体およびサブフレームの剛性＋エンジンのレスポンス＋ブレーキ性能などです。全体が非常に高いレベルにあるため，このような大きな車体でも，すぐれた運動性能を発揮できます。

簡単ですが，ご参考になれば幸いです。

質問者からのお礼コメント

回答ありがとうございました。
特に、バイキセノンとLEDの差異については大変参考になりました。