サルーンに走りも求める人にはこれしかない
BMWのフラッグシップモデルが7シリーズ。M・ベンツSクラスやアウディA8、レクサスLSがライバル。歴代7シ
2011.12.30
- 総評
- サルーンに走りも求める人にはこれしかない
BMWのフラッグシップモデルが7シリーズ。M・ベンツSクラスやアウディA8、レクサスLSがライバル。歴代7シリーズはいずれも走りにこだわった大型サルーンとして注目を集めた。それは、第五世代となる新型でも同じ。BMWらしい“スポーティな走り”を実現した、このクラスでは希有の大型セダンだ。ちなみに、BMW通はモデルを型式名で呼ぶ(たとえば現行3シリーズはE90)が、新型7シリーズはF01(ショートボディ)/F02(ロングボディ)とついにEではなくF。とりあえず、740と750、それぞれにショート/ロングボディの計4モデルが導入される。740系には4リッター8気筒級の性能を6気筒の効率で提供する3リッター直噴直6ツインターボを、750系には5リッター12気筒級の性能ながら燃費性能は8気筒という4.4リッター直噴V8ツインターボを、それぞれ積んだ。何れもミッションは6速ティプトロニック。高級車にもダウンサイジングの波が寄せている。
従来型に比べると、かなり見た目の印象が変わった。というよりもむしろ、先々代の流れに戻ったという表現が正しい。旧型はデザイン的にかなり思い切ったモデルで、それゆえ世界的に影響を与えたものだが、欧米の保守的な高級車ユーザーにはあまりウケがよろしくなかったようだ。以前のBMWらしく、ロングノーズでショートデッキ、FRらしいセダンルックスとしている。
Mスポーツパッケージは、格安プライス
先代は左右対称型でいかにも押し出しの強い立派なデザインで、ATのシフトレバーや各種操作系をスイッチやダイヤルに変えるなど、かなり大胆な改革をもちこんでいた。これも世界中の追随するプレミアムブランドに多大な影響を与えたが、結局、自身はよりコンサバな方向に揺れ戻っている。ダッシュボードはBMWの伝統に従って、ドライバー向きに傾けられ、コラムにあったATのシフトスイッチも、フツウの位置に戻された。同時に、ステアリングにあったギアチェンジ用レバーもなくなっている。
- 満足している点
- 内外装は先祖帰りしたように見えるが、その代わりメカニズムや電子制御は劇的に最新テクノロジーのオンパレードとなった。直噴の高効率エンジンや軽量化によって炭酸ガス排出量は相当量抑えられたほか、ダイナミック性能とコンフォート性能の両立を目指した各種電子制御システムがクラストップの充実度をみせている。代表的なものとしては、後輪が低速時には逆位相に/高速時には同位相に切れる4WSや、驚くほどフラットなライドフィールを提供するダイナミック・ダンピング・コントロール、ダンピング、ギアシフト、アクセルレスポンス、パワステアシスト、ステアリングといった特性を、コンフォート/ノーマル/スポーツ/スポーツ+と4段階のモードに合わせて変化させるダイナミック・ドライブ・コントロールなどだ。
走らせて見て
740コンフォートモードを選ぶと、確かにエンジンレスポンスはかったるいほどに抑えられ、シフトチェンジも早めに上を掴んでいく感じで、走り全体がおっとりする。乗り心地も明らかに柔らかめだ。真逆のスポーツ+では、エンジンがうなりを上げるほど各ギアを引っぱってパワーを使い切る走りに転じる。ステアリングフィールもはっきりと硬質になって、ボディもくっきりと引き締まった。オプションのダイナミック・ドライブ(アクティブスタビライザーによるシャシーコントロール)装着車なら、さらにビシッと塊感が増す。いい意味で、ひとクラス下、たとえば5シリーズ級のクルマをドライブしているような感覚になった。4WSが利いているのだろう、ロングボディの取り回しはラクだし、高速域でのレーンチェンジの安定感はこれまでの7シリーズにはないものだった。後席の乗り心地も格段に良くなっている。
7シリーズ用としては辛いんじゃないかと予想した直6ターボが、ハイパワー化されたこともあって、意外にも軽快な走りをみせた。7の巨体を十分に引っ張ってみせる。それこそ5シリーズ並に軽快な走りが楽しめて好みだった。
- 不満な点
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- デザイン
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- 走行性能
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- 乗り心地
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- 積載性
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- 燃費
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- 価格
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- 故障経験