BMW 3シリーズ プラグインハイブリッド 「【レビュー】二兎を追うもの【BMW330e】」のユーザーレビュー

【レビュー】二兎を追うもの【BMW330e】

2023.10.14

総評

このひとつ前に乗っていた車は、マツダCX-60直6ディーゼルの廉価版でした。
ミドルクラスにFRを復活させエンジンミッションまで新規に興し、それぞれ真面目な広島気質で見るべきものばかり、素材の折り目のよさは自動車マニア好み。
でも仕上がりは、安い素材を丁寧に磨いたこれまでのスカイアクティブの実直さと対極に、未成熟で荒削り、雑。
トリムや装備が豪華なグレードだと印象が目眩しされるでしょうが、金だして買ったものを褒めたい判官贔屓がすぐに覚めたのは廉価版だったからでしょうか。
えらく貶していますがそんなアホなマツダが、でも大好きで。だってほんの323万円で、500Nmの直6ディーゼル+8段ATを載せて、メルセデスGLCや BMW X3の聖域にカチコミをかける。
緒戦は惨敗でしたが痛快だし、意気は尊いです。
前置きながくなりましたが、G20型3シリーズに乗り換えたのは、素材の調理に慣れてないマツダに辟易したこともあって、FRの良い車のお手本を味わいたいな、と。
腕のいい料理人が振るった作品をいただいて、この傷んだハートを癒してもらうという寸法。
目的は完遂されました。
全方位に万能力を纏うBMW様のヒーリングパワーは極めて高いです。

満足している点

堅固なボディ、しなやかな乗り心地、扱いやすいブレーキ、素直なステアリング、ほぼ振動がないエンジン、瞬間変速オートマ、調整自在のシート、仕上げの良いインテリアトリム、レベル2ハンズフリーのADAS。超オールラウンダー3シリーズに比するFRセダンは日本にはありません。
ただし330eは、直4ターボに、250Nmモーターと50km走れるバッテリーを加えたエゴイスティックなエコ仕様でして、そのせいで車重が元より270kg(！)も嵩んでいます。
もはや嫌な予感しかしません。こんな政策的なやつ駄目に決まってる。
ですが、ご心配無用です。
ニャホニャホ程度のド素人、BMW様は仕上げの巧みさで軽く騙して捌いて、悦ばせてくださいます。
重厚感と意のままの走りを上質の中に見事にミックスさせた技術の粋に涙が出そうです。このあたり、まさにBMW様の面目躍如。ありがたいことです。

不満な点

エンジンは振動を感じさせない恐るべき調律がされてますが、燃費は1リッターあたり10kmくらい。
こうなると毎度の使用を全てEVで賄って、一滴もガソリンを使いたくない気持ちが湧いてきます。
つまり遠くに行きたくなくなる（笑）
そうか。だからエコなんだ。
深淵なるかなBMW。
すみません。私めが生意気を申し上げました。BMW様申し訳ありません。

デザイン

3

スタイリングの良し悪しはよく分かりませんが、凛々しくエッヂの立ったパネルの構成は質感が高く、各部もテールライトの造詣がダイナミック、ヘッドライトも綺麗に光り、フェンダーとタイヤの隙間が無駄に空いていないところも気に入っています。

インテリアでは、シートの掛け心地の良さと、華やかさもあるタコラレッドの色合いがお気に入りです。

走行性能

3

滑らかなステアリングと滑らかな走り。330eのEVモードは静かでダイナミックです。エンジンとはまるで違います。盛り上がりなく一気呵成にドーン。
たかが250Nmのモーター一機でこの性能ですから、では795Nmを誇るBMW i4 M50はどうなんだろうと冷やかしで試乗させてもらいましたら、驚いたことにのんびり走る分には同じ味でした。
そこから更に踏むとほとんどワープする勢いになりますが。
自動車の上には上があって、さらに上があるということがよく理解できます。
こんな凄いものを作れるメーカーだから普通の車にも凄さが滲むのです。

乗り心地

4

硬めだけれど不快ではないのは、振動がほとんどないから。予期しない揺れもないから。なにより静かだから。
後ろ脚の蹴り出しは強靭で、前脚の捌きは軽快で。これがBMW様を購入したくなる一番の理由。乗り心地の良さだと思われます。
幅255で35扁平という大人げないリアタイヤを履いて大人の乗り味なのが無駄にすごい。

積載性

2

トランクはガソリンタンクが侵入して上底になってまして容量は小さいですが、ガソリンタンクがないと困りますから仕方がありません。我慢します。
セダンなのにリッドが電動なのが嬉しくて、はじめ無駄に開け閉めして遊びましたが、すぐ飽きました。

燃費

-

価格

3

中古車で価格云々するのはおこがましいですが、私の買った2022モデル330eは新車当時、車両とメーカーオプション合わせて800万円でした。
これが1年落ちで、諸費用と3年目の認定中古車延長保証も含め450万円。
本当の損得は売却する日まで測れないとも言えますが、いま車から得られる感銘は支払った金銭の比では無いです。

故障経験