トヨタFCVミライ試乗、HVやEVとドコが違う?
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:菊池 貴之
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こうした魅力の背景には、水素を大量に積めるようになって航続距離が伸びたという理由が挙げられるだろう。
水素タンクは後席の下と斜め後ろに合計2つあり、共に70MPaという高圧で水素を充填する。70MPaは700気圧のことで(ちなみに地上は1気圧だ)、水素運搬トラックでも35MPaで運んでいることを考えると、相当な圧力に違いない。これだけの圧力の水素を乗用車に搭載することを危険視する声も上がっているが、だからこそトヨタの安全対策は万全だ。
水素タンクは完全にトヨタ内製である。燃料電池自動車用の水素タンクの製造と自主検査が可能となる高圧ガスの登録容器製造業者の認可をとり、製造責任もトヨタが請け負う。その狙いは、製造から全てを一括管理することで安全を徹底できることと、スタートしたばかりの燃料電池産業において、規制やその緩和に素早く柔軟に対応するためだ。
例えば、今は70MPaまで約3分で充填できるとされているが、水素充填時はタンク内が過熱し圧力が上がってしまうため、常温に冷えると70MPaを下回るのが現状で、できれば常温時に70Mpaになるようにオーバーチャージしたい。将来はこのオーバーチャージが規制緩和される見込みで、実はタンクの充填対応圧力は85Mpaに即座に対応できる。
クルマに搭載する上での補強も徹底して施されている。水素タンク自体はカーボンファイバーで補強して、150MPaの外圧にまで耐えられるように作られている。これは例えば、クルマが潰れるほどの事故でもタンクは涼しい顔で原型を留めているほど強固な設計。ちなみにタンク内が過熱した時は安全弁が開いて水素を大気放出し、水素漏れに対してはセンサーで絶えず監視している。そもそも水素は最も軽い気体であり、空気中に拡散し易く、爆発する濃度に留めておく方が難しいともいわれるが、それでもあらゆるリスクへのトヨタ基準の対処が行われているわけだ。
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