ホットハッチのキーパーソン
text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
【画像】ゴルフGTI/GTD/GTE 見た目、標準グレードとどう違う?【比較】 全83枚
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
フォルクスワーゲンの最高技術責任者として、マティアス・ラーベが就任した。セアト社で研究開発を8年間率いてきた彼は、フォルクスワーゲン・グループ内でのホットハッチ開発について充分理解しているはず。
フォルクスワーゲンにラーベが戻ってきたのは、2019年。新型ゴルフの開発が終わりに近づく中で、技術開発チームをまとめてきた。ゴルフの継続的な開発と、派生するホットハッチ・バージョンの重要なキーパーソンだといっていい。
AUTOCARでは、新しいゴルフGTIの開発に関してと、今後のホットハッチに対する考え方をラーベにインタビューした。
ドライバーズカーとしての8代目ゴルフGTI
――ゴルフGTIが本当のドライバーズカーであることの重要性は?
「まず、(ゴルフGTIの)ファンにクルマをお届けすることが重要です。率直にお話すると、4代目ゴルフは、GTIというトリムグレードのようなクルマでした。そこで、フォルクスワーゲンは本物のGTIに戻そうと考えたのです」
「ゴルフGTIは、鼓動を速めるような、特別なクルマであるべきです。新しいゴルフGTIも好きになれると、お約束できます」
――ゴルフGTIにハイブリッドを採用しなかった理由は?
「わたしは、マイルド・ハイブリッドのゴルフ1.5TSIが好きです。低回転域の太いトルクを感じられますが、車重が増えてしまいます。2.0TSIなら、それ以上のトルクは必要ありません。高性能なクルマの場合、(マイルド・ハイブリッドは)効果を得にくいと思います」
「今後、燃費向上のためにマイルド・ハイブリッドの採用数は増えます。しかし、スポーティーな側に立てば、改良を受けた内燃エンジンが求められます。あるいは、プラグイン・ハイブリッドか、純EVという可能性もあるでしょう」
今後も内燃エンジンのホットハッチは続く
――ゴルフGTEの最高出力を向上させる理由は?
「フォルクスワーゲン・ゴルフGTEを、もっとゴルフGTIのように感じさせることが大切です。8代目ゴルフGTEでは、ハンドリングはだいぶGTIに近づきました。加速や減速のフィーリングは似ているといっても良いでしょう」
「ゴルフGTEにはとても滑らかな電動パワートレインが搭載されています。ドライビング性能、ハンドリングや機敏性などは、新しい次元に届いたと感じています」
「わたしはゴルフGTIのファンの1人ですが、新しい8代目ゴルフGTEは初めて、ドライバーがGTIに並ぶ選択肢だと見ることができるクルマになりました。今後、GTIからGTEへの動きがあると考えています」
――ホットハッチの将来性をどう考えていますか?
「電動化技術の採用で、コンパクトなスポーティカーの可能性は広がっていきます。フォルクスワーゲンは、EVモデル・ファミリーのID.を発表しました。そこにはスポーティなクルマも含まれますが、従来(の内燃エンジン・モデル)とは異なります」
「わたしは、プラグイン・ハイブリッド・モデルと並行するかたちで、内燃エンジン・モデルもしばらく存続すると信じています。ホットハッチの存在は、まだこれからも続くことになります」
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