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【ディーゼル+PHEVのメリット】メルセデス・ベンツE300de EQパワー(1) 長期テスト

掲載 更新 4
【ディーゼル+PHEVのメリット】メルセデス・ベンツE300de EQパワー(1) 長期テスト

初回 2.0LディーゼルのPHEV

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)

【画像】E300de EQパワー・エステート 全24枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


長期テストで導入したメルセデス・ベンツE300de。特徴的なのが、逆風のディーゼルエンジンにプラグイン・ハイブリッドが組み合わされていること。Cクラスと合わせて、英国で手に入る唯一のモデルといって良い。他のPHEVはおしなべて、ガソリンエンジンが搭載されている。

ディーゼルとPHEVという組み合わせは、筆者は最高のセットアップだと思える。通常、プラグイン・ハイブリッドの恩恵が得られるのは、基本的に都市部でのみ。高速道路を長時間走る場面では、大きな電動化システムをエンジンが一緒に運ぶことになる。

長距離の場合、重たいクルマをガソリンエンジンで走らせるというPHEVの事実。メルセデス・ベンツのアプローチは、重いシステムを積んでいることは変わらないものの、効率性に優れるディーゼルエンジンを選択したところがポイントだ。

都市部では、ディーゼルエンジンが排出する微粒子や二酸化炭素への目が厳しいが、300deなら電気モーターでの推進に切り替えれば良い。PHEVらしく静かにEVモードで走行でき、充電できる。

考えるほど、現状での完璧な組み合わせに思えてしまう。燃料を燃やす量は最小限でありつつ、1度の給油や充電で走れる距離も、充分に長い。

もちろん、カタログやスペック上では非常に良い内容に思えても、実際に使ってみると欠点が見えてこない例は殆どない。もちろん300deにもいくつかある。

増えた車重や減った荷室を相殺できるか

すでに3点、気になる部分が見えている。1つ目は重くなった車重。メルセデス・ベンツによれば、バッテリーと電気モーターを追加したことで、265kgの車重増につながっているという。

最高112km/hの速度まで、最大で43kmの距離をEVモードで走行できる点は良い。だが、高速道路で長距離を走行する場合、ハイブリッドを搭載しない軽量な2.0Lのディーゼルエンジン・モデルと同じ燃費を期待することは難しい。実際、筆者の場合はどの程度のメリットを受けられるのだろうか。

もう1つは、荷物の積載量という実用性でも定評のある、Eクラスのステーションワゴンにとっては見過ごせないこと。バッテリーによって、少なくない荷室空間が食われているのだ。リアシートを起こした状態では、25%ほど容量が小さい。

リアシートを倒してしまえば、その差は10%にまで縮まる。本当に大きな荷物を積む場合、依然として充分な空間は残っているとはいえる。

さらに価格。プラグイン・ハイブリッドではないEクラスの方が、5000ポンド(71万円)も安い。上乗せになった価格ぶん、EVモードを積極的に利用して、距離を走らなければモトは取れないということ。

一方で良い点も少なくない、300deなら非常に静かで快適なEVモードでの走行が楽しめる。価格差に見合っただけの価値を見出すこともできなくはない。

長く楽しみたくなるEVモード走行

300deに搭載するディーゼルエンジンは、従来より遥かに洗練度を増している。だが、EVモードの圧倒的な静かさを知ってしまうと、エンジンが始動した時との差に驚いてしまうだろう。

EVモードで可能な限り長距離を走行できるように、穏やかな運転を心がけている自分に気付いた。ちなみに長距離テストに来てから、筆者が最も長くEVモードで走行できた距離は、1度の充電で38kmとなっている。

電気モーターの力を借りれば、4気筒ディーゼルエンジンを積んだステーションワゴンからは想像できないほどのパフォーマンスを引き出すこともできる。開けた道路を熱く疾走するタイプのクルマではないが、車重を考えれば、驚くほどの走行スピードを味わわせてくれる。

充電器のある駐車場が用意でき、短距離走行が中心で、時折長距離の自動車旅行も楽しむ。そんなドライバーに適したクルマの特徴を確かめながら、PHEVのEクラスワゴンを検証していきたい。

今のところ、E300deとても好印象。特にEVモードで行程をまかなえる移動が楽しみで仕方ない。自宅に帰れば、熱心に充電をするようにもなった。バッテリーが空のままでは、PHEVは無用の長物になってしまう。

これまで給油したのは1度限り。トリップコンピューターではなく、計算上の燃費は24.3km/Lだ。もしこの燃費が保てるか、更に良くなっていくのなら、長距離移動の面でも強い訴求力を放ち始めることになる。

セカンドオピニオン

ディーゼルエンジンの逆風は収まらず、販売台数も減少傾向が止まらない。だが、メルセデス・ベンツのCEOは、ディーゼルエンジン・モデルの人気は回復すると考えているようだ。タイミングを図ったかのように、E300deはリリースされたように思える。

メルセデス・ベンツE300deは、優れた燃費や税制面でのメリットだけではない。バッテリーに電気がある程度蓄えてあれば、滑らかで静かで、地域の環境にも優しい走行を実現できる。

走行性能も歓迎できる。PHEVではない2.0Lディーゼルを積むE220dより、明確にパンチ力があるのだ。 Lawrence Allan(ローレンス・アラン)

テストデータ

テスト車について

モデル名:メルセデス・ベンツE300de EQパワー SEエステート(英国仕様)
新車価格:4万9700ポンド(710万円)
テスト車の価格:5万8115ポンド(831万円)

オプション装備

カバンサイト・ブルーメタリック塗装:685ポンド(9万8000円)
プライバシー・ガラス:345ポンド(4万9000円)
プレミアム・エクイップメント・パッケージ:2395ポンド(34万2000円)
ドライビング・アシスタンス・プラス・パッケージ:1695ポンド(24万2000円)
コンフォート・パッケージ:3295ポンド(47万1000円)

テストの記録

燃費:24.3km/L
故障:なし
出費:なし

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みんなのコメント

4件
  • ディーゼルハイブリッドは現在最高の動力機関だと言えると思う。
    バッテリーさえ小型軽量化すれば、完全EV時代までのつなぎはこれでいける。
  • 街乗りは電気、長距離はディーゼルって、理想的に使い分けられればいいけど、必ずしも上手くいかないんじゃないのかな。

    街中で加速や上り坂だけエンジンかかったり、あちこち行ってもう少しのところで充電つきたり。

    ただでさえ短距離走行に向かないエンジンなのに、大丈夫なのかな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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