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【優れた燃費に運転の楽しさプラス】トヨタ・ヤリス・プロトタイプへ試乗

掲載 更新 1
【優れた燃費に運転の楽しさプラス】トヨタ・ヤリス・プロトタイプへ試乗

TNGAアーキテクチャに1.5Lエンジン

text: Alan Taylor-Jones(アラン・テイラー-ジョーンズ)

【画像】新型やリスと欧州のライバル 全159枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


ほとんど意味のないカモフラージュが施されているのが、第4世代へと進化したトヨタ・ヤリス・プロトタイプ。日本では、これまでヴィッツと呼ばれてきたモデルだ。

スポーティなGRヤリスのプロトタイプに以前試乗しているが、今回はより販売台数を稼ぐであろう5ドア。現実世界に適合した欧州仕様のハイブリッド・モデルとなる。

一気に電動化技術の採用が進む昨今の自動車業界にあって、トヨタはきっと誇らしく自らの歩みを感じているだろう。欧州版のトヨタ・ヤリスには、2012年からハイブリッドを搭載してきたのだから。

3代目に習って、生まれ変わった4代目にも、もちろんハイブリッドを搭載する。プラットフォームは、カローラなどと共通のTNGAアーキテクチャを採用。ねじれ剛性は37%向上しているという。

ホイールベースは伸ばされ、全幅も50mm拡大。一方で全長は5mm短くなった。全高も低くなり、シートポジションは21mm、重心高は12mm、路面へ近づいた。

これらは機敏な身のこなしと、ドライバーへの喜びへとつなげる変更ではある。しかし、冴えないこれまでのハイブリッドシステムだったのなら、充分に目的には叶わなかっただろう。

欧州仕様の4代目ヤリスには、1.5Lの3気筒アトキンソンサイクル・エンジンが搭載される。このロングストローク型のエンジンには、2基のモーターと強力なリチウムイオン・バッテリーが組み合わされる。

パワーは16%向上、CO2は20%削減

ありがたいことに、先代ハイブリッド比で16%もパワーは向上。そのうえ二酸化炭素の排出量は20%削減している。システム総合での最高出力は115psで、0-100km/h加速は2秒短縮の10.3秒となっている。

パワーが増したことで、これまでほどエンジンを熱く燃やす必要もなくなった。不満のない加速を得ながら、静寂性も高めているようだ。早速走り始めてみよう。

殆どの場面で、ヤリスは静かなパートナーに徹する。エンジンの発するノイズは控えめで、多くのライバルより大人しい。CVTを採用したハイブリッドらしく、時折エンジンの回転数が高めに留まることがある。だが、さほど息苦しくは聞こえない。

少なくとも都市部での交通環境では、エンジンは長時間回っているわけではない。トヨタによれば、80%程度の時間はEV状態で走行できると主張しているが、筆者も実際にそう思える。

モーターとエンジンとで主役が交代する場面でも、ほとんど知覚はできない。僅かなエンジンノイズと、ステアリングホイールに伝わる振動が、ガソリンをススルように燃やしていることを教えてくれる。

燃やすガソリンは、本当にススル程度。今回試乗したルートには、都市部や高速道路のほか、手強い峠道も含まれていた。2時間走行して得られたトリップコンピューター上の燃費は、21.7km/Lだった。

コーナリングが楽しめるヤリス

この燃費は、ヤリスがワインディング・ロードでずっと楽しく活発に走るようになったことを考えれば、素晴らしい結果だといえる。ステアリングホイールへ伝わる情報量は少ないものの、重さは自然でとても正確。路上で狙った位置にクルマを導け、ボディロールも限定的だ。

グリップ力も高く、操縦性はしっかりしていて機敏。確かにステアリング・フィールやマニュアル・ギア、自然なバランスを持つフォード・フィエスタの方が運転はより楽しい。しかし、ヤリスのコーナリングも楽しめるようになった。

残念だったのが、試乗車が履いていた17インチのホイール。ヤリスで選べる中では最大径のもので、乗り心地は硬め。緩やかに波打った路面は滑らかに処理できるが、大きな路面の剥がれや継ぎ接ぎ部分では、不快な振動を発していた。

16インチなどでは改善されると思いたいが、このクルマはまだプロトタイプでもある。インテリアでも、生産レベルに達していないプラスティック製パーツが目に入った。量産までに良くなることを期待したい。

ダッシュボードはソフト加工され、ドアの内張りにはファブリックが大きく張られている。高級感のあるスイッチ類は、感心するほどだった。

インフォテインメント・システムは少々デキが悪い。グラフィックは数年前風で、反応も鈍い。欧州仕様の場合、ナビゲーションの案内も良いとはいえず、時々ルートを追うのが難しいほどだった。

コンパクトカーのランキング上位へ

荷室容量は286Lとクラスの中でも小さい方。だが、荷室の床面の高さは2段階に調整でき、利便性は高そうだ。乗員空間は3代目より大きくなり、身長180cmを超える人が運転席に座っても、リアシートにも充分同じ体格の大人が座れるだろう。

新しいヤリスは、優れた燃費性能と環境負荷の軽減を果たしながら、明確に良好なドライビングフィールを獲得してきた。大きく前進したことは間違いなさそうだ。

フォード・フィエスタの輝きが薄まることはないが、以前のようにヤリスのパワートレインにヤキモキすることはなくなった。ハンドリングにも、まとまりが出ている。

最終的にどれだけの競争力を獲得するかは、価格と仕様にかかってくる。このプロトタイプから、どこまで最後の磨き込みをかけられるかも重要だ。

まだ具体的な評価を与える段階ではない。しかし、新しいトヨタ・ヤリスが、コンパクトカーのランキング上位に食い込んでくる可能性は充分にあると感じた。

トヨタ・ヤリス・プロトタイプのスペック

価格:1万6000ポンド(228万円)
全長:3940mm
全幅:1695mm
全高:1500mm
最高速度:-
0-100km/h加速:10.3秒
燃費:-
CO2排出量:86g/km(WLTP)
乾燥重量:-
パワートレイン:直列3気筒1490cc自然吸気+ツイン電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:115ps(システム総合)
最大トルク:-
ギアボックス:CVT

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みんなのコメント

1件
  • ヤリス・フィットの発表があったので今日は期待してました。ホンダ店はフィットの試乗車・展示車が6台もあったのに、ネッツ店ではヤリスは試乗車どころか展示車もない。なんかトラブルが在ったのでこんなプロトタイプの試乗記を出しているのか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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