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【導入しなければ選べない】ダチア・サンデロ(最終回) 遥かに安い燃料費

掲載 更新 3
【導入しなければ選べない】ダチア・サンデロ(最終回) 遥かに安い燃料費

積算4142km 英国でも燃料代は確実に安い

text:Mark Tisshaw(マーク・ティショー)

【画像】ダチア・サンデロ 全60枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


前回のレポートからすっかり間が空いてしまった。楽しみにしていただいた読者には、お詫びしたい。

さて、日本ではタクシーで普及しているLPG車。ダチア・サンデロにも、英国には正規輸入されないがLPG車が存在する。

長期テストの結果として、ガソリンやディーゼルエンジンと比べて、ランニングコストは安いのか。答えは、イエス。特に不便を感じることもなかった。

英国の場合、正規にLPGタンクを搭載したモデルが導入されないことが多い。安価な燃料となっているLPGを、英国人が利用できないなんてもったいない。

今回のテストを通じて、英国でLPG車の選択肢が限られていることに対する、満足のいく答えは見つからなかった。わかった点といえば、LPGは普及できる可能性があること。日本でも液化石油ガスは、オートガスとして知られている燃料だ。

燃料費を節約できるということは証明できた。サンデロのガスタンクを満タンにしても、請求書の額にがっかりすることは最後までなかった。

デュアルフューエルに対応したダチア・サンデロ・ステップウェイLPGを購入するには、イギリス海峡を渡ってオランダまで行かなければならないという事実。純正でLPGタンクが搭載されているダチア・サンデロは、英国では手に入らない。何よりも残念なことだ。

機能的で合理的なダチアにぴったり

それはダチアだけではない。LPG車を英国でも用意しているのは、2019年時点でフォードと日産、プジョーの3社のみ。他の多くの自動車メーカーは英国人にLPGのメリットを与えてくれていない。英国では1250カ所ほどのスタンドがあり、1L当たり86円で手に入るのに。

ダチアというコストバリューに優れたメーカーのイメージも良く合うLPG。長期テストでは、やや車高の高い、少しタフな見た目のサンデロ・ステップウェイを選んだ。

既にサンデロは機能的で合理的なクルマだとわかっていたから、特にクルマ自体については触れてこなかった。他のモデル以上に、安価に乗れるモデルだ。

LPG車に実際乗って実感したのが、ガソリンや軽油を補給するより、ガスを充填するのは少し面倒だということ。そして40LのLPGタンクを満タンにすると、400kmから450kmくらいは走れるということ。

LPGは熱量が少ないため、一般的なガソリン車やディーゼル車ほど航続距離が長くない。そのため燃費は良いとはいえないが、二酸化炭素の排出量が多いわけではない。

われわれのサンデロLPGの燃費は、平均で12.2km/Lほどだったが、姉妹誌がテストした0.9L 3気筒ガソリンのサンデロの燃費は15.2km/Lとなっている。

そのかわり、燃料代は安価で済んでいる。3263kmを走行した燃料代は、160ポンド(2万3000円)ほどだったのに対し、0.9Lのガソリン版サンデロなら、257ポンド(3万7000円)くらいは掛かったはず。

すぐに実行できる代替燃料にもなる

頻繁なガス補給が大変な場合でも、もともと搭載されているガソリンタンクはいつでも利用できる。LPGタンクは、スペアタイヤが通常収まっている場所に積まれているから、荷室空間が侵食されていない点も良い。

LPGはコストが安いだけでなく、空気の綺麗さを保つ、すぐに実行できるソリューションであることも見逃せない。大都市が空気浄化に対する規制を実行するうえで、有効な燃料になると思う。

自家用車だけでなく、タクシーやバス、商用車など、多くの移動手段に適用できる。LPGとガソリンとのデュアルフューエルとすることで、広く恩恵が受けられる可能性はある。過去には政府の補助金も存在していたが、ユーザーにも充分な認知度がないといえる。

英国にはLPGの需要がないとする自動車メーカーも存在するが、提供されていないものを、得ようがない。長期テストを経てみると、改めて残念な事実だと思う。

右ハンドルの、50車種くらいの主要なLPGモデルが英国に上陸したのなら、どれだけ大きな影響があるだろうか。失うものといえば、スペアタイヤくらい。敏腕セールスマンでなくても、低いランニングコストを武器に、かなりの台数を商談成立に持ち込めると思うのだけれど。

テストデータ

気に入っているトコロ

ランニングコスト:最大の魅力。燃料に掛かった金額が明示している。

気に入らないトコロ

充填用アダプター:長期テストのサンデロLPGは欧州仕様だが、英国でガス補充をするには専用のアダプターが必要だった。毎回、ペンチを使って取り外しが必要なのだ。

走行距離

テスト開始時積算距離:878km
テスト終了時積算距離:4142km

価格

新車価格:1万5380ユーロ(197万円)
現行価格:1万5380ユーロ(197万円)

オプション装備

なし

燃費&航続距離

カタログ燃費:15.3km/L(LPG)
タンク容量:40L(LPG)/50L(ガソリン)
平均燃費:12.2km/L(LPG)
最高燃費:13.1km/L
最低燃費:11.0km/L
航続可能距離:487km

主要諸元

0-100km/h加速:11.1秒
最高速度:167km/h
エンジン:直列3気筒898ccターボチャージャー
最高出力:90ps/5000rpm
最大トルク:14.2kg-m/2250rpm
トランスミッション:5速マニュアル
燃料:LPG/ガソリン
ホイールサイズ:16inch
タイヤ:205/55 ZR16
乾燥重量:1090kg

メンテナンス&ランニングコスト

リース価格:1000ポンド(14万円/1カ月)
CO2 排出量:103g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:なし
燃料コスト:160ポンド(2万3000円)
1マイル当りコスト:8ペンス(11円)
不具合:LPGポンプアダプターの固着

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