アウディQ8やBMW X6に対峙する2代目
text:Greg Kable( グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
メルセデス・ベンツによる高級SUVクーペへの参入はやや遅いものだった。他のプレミアム・ブランドが高級モデルの稼ぎ頭をリリースする中で、周囲を静観し作戦を立てていたのかもしれない。
2015年にGLEクーペが登場するや、すぐに大きな成功を味わったメルセデス・ベンツ。良い流れを乱さないように、2代目モデルは早々のリリースとなった。先代よりも洗練されたボディデザインを持ち、インテリアの高級感も大きく向上させている。
新しいGLEクーペが対峙するのは、アウディQ8やBMW X6、ポルシェ・カイエン・クーペなど。だが単なるモデルチェンジではない中身もPHEVによって獲得している。
個性的なデザインを引き立たせるように、クーペではないGLEと比較してホイールベースは62mmも短く、2935mmに設定。だが先代のGLEクーペと比較すると、ボディは一回り成長。全長は39mm増えて4939mmに、全幅は7mm増えて2010mmに、車高は1mm低くなり1730mmとなっている。
アグレッシブなボディデザインと呼応するように、インテリアも同様に全面的に刷新されている。何より目立つのは、2面が並ぶ12.3インチのモニター。メーター用とインフォテインメント・システム用だ。
モニターは、複数層が重なるようなデザインのダッシュボード上に一体化されレイアウト。MBUXと呼ばれるOSで稼働する。タッチモニターだけでなく、音声認識やジェスチャーコントロール機能にも対応。ステアリングホイールの小さなタッチパッドと、センターコンソールの大きなタッチパッドでも操作が可能となっている。
先進的で高級感あふれるインテリア
メルセデス・ベンツらしくGLEクーペの運転環境に不満はない。高めの着座位置で、見下ろすかたちの良好な前方視界が得られ、インテリアの素材も高級感にあふれている。フロントガラスには幅450mm、高さ150mmのサイズで、ヘッドアップディスプレイが投影される。
渋滞時に半自動運転を支援してくれるストップ&ゴー・アシストも搭載。幅広い運転支援システムを採用している。
反面、車体サイズは大きくなっているが、車内の空間は特に広がりは感じられない。前席の肩周りは21mm余裕が出たが、他の座席周りの空間の計測値には大きな変化は見られなかった。
それでも、大きく傾斜するクーペスタイルのルーフラインとテールゲートを備えつつ、高い実用性は確保。大人5名が座るのに充分なシートと、655Lの荷室空間が用意されている。荷室容量は標準のGLEより25Lも大きいのだ。またテールゲートの開口部は59mm低くなっている。
GLEクーペの基本骨格をなすのは、メルセデス・ベンツ製のMHA(モジュラー・ハイ・アーキテクチャー)プラットフォーム。最新の標準GLEとGLSと共通。先代よりボディ剛性は33%も高められ、フロントとリアのサスペンション・マウント付近にはアルミニウム製部品が用いられている。
エンジンは、英国ではガソリンとディーゼルの両方が用意され、ディーゼルはプラグインハイブリッド(PHEV)も選べる。トランスミッションはすべてに9速ATが搭載され、4輪駆動システムの4マティックが組み合わされる。
システム総合319ps、0-100km/h加速6.9秒
英国の場合、ガソリンエンジンは3.0Lの直列6気筒ターボのみ。最高出力は435psで最大トルクは52.7kg-mとなり、メルセデスAMG GLE 53に搭載される。ディーゼルエンジンは2.9Lの直列6気筒ターボで、350dには271psと60.9kg-mの設定と、GLE 400dには329psと71.2kg-mの設定が提供される。
今回試乗するのは注目すべきPHEVのメルセデス・ベンツGLE 350de 4マティック・クーペ。2.0Lの4気筒ディーゼルエンジンに、トランスミッションに一体化された電気モーターを結合。システム総合での最高出力は319ps、最大トルクは71.2kg-mで、0-100km/h加速6.9秒の動力性能を与えている。
ハイブリッド・モードでの走行時、2つのパワーソースは見事に一体化されており、都市部で走行している場面ではエンジンとモーターのどちらが主役なのかわからないほど。厚いトルクで柔軟性が高く、ライバルを超えるクルージング性能を得ている。
ただし、強めの加速を得たいときなどにはエンジンが一生懸命に仕事をする必要はある。同時に小さくないノイズも響かせてしまう。
車重は2690kgと重く、新しいGLEクーペ兄弟と同じ機敏さは得られていない。それでも、試乗時に走ったアルプス山脈に伸びるカーブの続く道でも、前後左右のボディの傾きはしっかり抑え込まれていた。
モーターとバッテリーによって増えた車重は、スチールコイル製サスペンションから良質な柔軟性を奪っている。オプションのEアクティブ・エアサスペンションを選択すれば、高級なインテリアに見合う、滑らかな乗り心地を得ることができるだろう。
エコな高級SUVクーペの最有力
減速時やコースティング時の回生エネルギーの動作も素晴らしい。4本のタイヤを通じて運動エネルギーを電気エネルギーに変換してくれる。バッテリーの充電は60kWの受電容量にまで対応し、最短で30分で完了するという。ライバルより短い。
リチウムイオン・バッテリーの容量は31.2kWhで、フロアと荷室の下にマウント。電気のみで走行可能な距離は82kmから99kmに達し、160km/hまでの速度に対応する。EVモードを選択すれば、軽油を1滴も使うことなく、毎日の通勤もカバーできるはず。
WLTP値での電費は76.9km/Lから90.9km/Lと公表されている。実環境ではこの数字は難しいかもしれないが、新しいGLEクーペの中では最も燃費は良好。二酸化炭素の排出量も少なく、税制面でも有利となる。
メルセデス・ベンツGLE 350de クーペは、SUVクーペが欲しい誰しもにぴったりというわけではない。やはり身近な環境に充電設備が必要ではある。
だが、長めのゼロエミッション走行と、非常にラグジュアリーな品質をSUVクーペに求めるのなら、GLE 350de クーペほどの選択は他にないことは事実だ。
メルセデス・ベンツGLE 350de 4マティック・クーペのスペック
価格:6万5000ポンド(910万円・予想)
全長:4939mm
全幅:2010mm
全高:1730mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:6.9秒
燃費:76.9-90.9km/L
CO2排出量:30-34g/km
乾燥重量:2690kg
パワートレイン:直列4気筒1950ccターボチャージャー+同期電動モーター
使用燃料:軽油
最高出力:319ps(システム総合)
最大トルク:70.2kg-m(システム総合)
ギアボックス:9速オートマティック
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