Mercedes-Benz GLB
メルセデス・ベンツ GLB
新型メルセデス・ベンツGLB 海外試乗記、第2弾! 藤野太一が嗅ぎ取ったヒットの予感とは
メルセデス・ベンツの巧みな小型車戦略
メルセデス・ベンツGLBは、現行Aクラスに始まった同社の前輪駆動用プラットフォーム「MFA2(モジュラー・フロントドライブ・アーキテクチャー2)」を採用したコンパクトSUVだ。
メルセデスは、顧客層の若返りを図るため先代Aクラスの「MFA1」プラットフォームをもとに「NGCC(New Generation Compact Cars)」という派生車戦略をスタートし、AクラスをはじめBクラスやGLA、CLAといったモデルを展開。ニッチ狙いとも思えるあらゆるニーズに応えていくこの戦略は功を奏し、メルセデスのコンパクトは世界的なヒット作となった。Aクラスをベースとするコンパクトファミリーは、2018年には世界で60万9000台以上が販売されたという。
そしてGLBはMFA2の派生車種としては7つ目のモデルとなる(もうすぐ新型GLAの登場が控えている)。ポイントはGLAとGLCの間を埋めるサイズのSUVであること。そして、3列シート7人乗り仕様をオプション設定したことだ。
RAV4やCR-Vに近いスリーサイズ
ボディサイズは全長4634mm、全幅1834mm、全高1659mmで、ホイールベースは2829mm。Bクラスと比べると、全長約200mm、全幅約40mm、全高は約100mm、それぞれ拡大している。注目なのはホイールベースを100mm延長したことによって3列目シートを実現している点だ。
「7人乗りのコンパクトSUVというと、なんだか日本車メーカーの商品企画のようにも思えるが」と開発担当者に問いかけると、「実はこのサイズの競合は存在しないし、紛れもなくメルセデスが作るプレミアムSUVなのです」という答えが返ってきた。
たしかにスリーサイズはトヨタRAV4やホンダCR-Vとほとんど変わらないのだが、GLBはホイールベースが長い。3列シートSUVといえばマツダCX-8も思い浮かぶが、それだともうひとまわり大きくなる。なるほど間隙を突いた商品企画というわけだ。そしてなんともメルセデスらしいのが、3列目シートは身長168cm以下の人であれば快適に過ごせると、センチ単位で指定していること。スペースの問題はもちろんのこと、衝突安全性を考慮してのものだろう。
21インチタイヤを履きこなすAMG
最初に試乗用に用意されたのは、パナメリカーナグリルとオプションの3列目シートを備えたメルセデスAMG GLB 35 4マティックだった。最高出力306hp、最大トルク400Nmを発揮する2.0リッター直列4気筒ターボエンジンに8速DCTを組み合わせる。4WDシステムは路面状況に応じて前後100:0から50:50にまでトルク配分するAMG パフォーマンス 4マティックで、サスペンションは電子制御のAMGライドコントロールに、オプションの21インチタイヤ(コンチネンタル製スポーツコンタクト 6)を装着していた。
MFA2ベースのボディでこんな大径タイヤを履きこなせるのか、という心配をよそに乗り心地は良好だった。高張力鋼板などを多用したボディ骨格のエンジン下部にあたる箇所には、shear panelと呼ぶ大型のアルミパネルやブレースバーを追加してねじり剛性をアップしている。
ドライブモードを選択するAMGダイナミックセレクトには「Slippery」「Comfort」「Sport」「Sport+」「Individual」の5つがセットされていたが、市街地ではやはり「Comfort」がちょうどいい。実は「Sport」や「Sport+」でも運転席は意外なほどに快適なのだが、2列目シートでは少々突き上げが大きく感じられた。それらは家族を無事に目的地へ送り届けたあとの、パパのお楽しみモードというわけだ。
身長180cmの大人にも十分広い2列目シート
2列目シートはフロントシート下へ足がすっぽり入るのと、140mmもの前後スライド機能があって身長180cmの大人でも十分に広い。3列目シートへのアクセスはイージーエントリーというシンプルな機構で、シート自体も格納性だけを重視した真っ平らなものではなく、ホールド性にも考慮しサイドサポートが張り出した形状になっている点はさすがの配慮だ。
途中で5シーター仕様の「GLB 250 4マティック」に乗り換えた。こちらは最高出力224hp、最大トルク350Nmを発揮する2.0リッター直列4気筒ターボエンジンに8速DCTを組み合わせた、メルセデスAMG 35に次ぐハイパフォーマンス仕様だ。
こちらも電子制御ダンパーを備えており、20インチタイヤ(ブリヂストン製ALENZA)を装着していた。走行モードは「Individual」「Sport」「Comfort」「Eco」「Offroad」の5つの設定。市街地では「Comfort」を選ぶとサスペンションは路面追従性も良くしなやかに動く。速度域の高い高速道路やワインディングなどで「Sport」に切り替えると、ホールド感は増しながらも突き上げが大きくなることもなく快適さをキープしていたことには驚いた。
先の見えない勾配も難なく進む
スペインのマラガの市街地で始まった試乗コースの折返し地点、山岳部のEnduropark Andalusiaには、一見するとGLBではとても走破できそうもないオフロードコースが用意されていた。2.0リッター直4ディーゼルエンジンを搭載した「GLB 200d 4マティック」にオプションの“オフロード エンジニアリング パッケージ”を装着した試乗車でコースインする。
ドライブモードで“Off Road”を選択し、先の見えない急勾配の下り坂を、フロントカメラを通してセンターディスプレイに映し出された映像を頼りに進む。えいや!とブレーキペダルから足を離せば、DSR(ダウンヒルスピードレギュレーション)があらかじめ設定した2~18km/hの速度でジリジリと坂をくだっていく。
一輪が完全に地面から浮いてしまうような場面でも、ボディはミシリとも言わない。傾斜角30度を超える斜面をなんなくクリアしていく。正直にいえば、助手席にインストラクターがいなければとても自分だけでは挑もうとは思わない難易度のコースだった。
日本での販売開始は2020年の見込み
思わず先の開発担当者に「GLBにこれほどのオフロード性能は本当に必要なのか?」と聞いてしまった。「たしかに欧州でも85%の人にはまったく必要ないでしょうね」と笑う。GLBだけの特別な機構を備えているわけではないという。「基本的にはAクラスベースの4マティックです。GLBではロードクリアランスを200mmまで高めて、電子制御系をチューニングすることでこうした性能が得られています」とこともなげに答えた。
ちなみにSクラス譲りの先進運転支援システム(ADAS)やMBUXなどももちろん備わっている。あとは価格設定次第ではあるけれども、ヒットの予感がする。日本仕様に関しての詳細はまだ明らかになっていないが、2020年に上陸する予定だ。
REPORT/藤野太一 (Taichi FUJINO)
【SPECIFICATIONS】
メルセデス・ベンツ GLB 250 4マティック(欧州仕様)
ボディサイズ:全長4634 全幅1834 全高1659mm
ホイールベース:2829mm
車両重量:1670kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1991cc
ボア×ストローク:83.0×92.0mm
最高出力:165kW(224hp)/5500-6100rpm
最大トルク:350Nm/1800-4000rpm
トランスミッション:8速DCT
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
駆動方式:4WD
タイヤサイズ:前後215/65R17
メルセデスAMG GLB 35 4マティック(欧州仕様)
ボディサイズ:未発表
ホイールベース:2829mm
車両重量:未発表
エンジン:直列4気筒DOHCツインターボ
総排気量:1991cc
ボア×ストローク:83.0×92.0mm
最高出力:225kW(306ps)/5800-6100rpm
最大トルク:400Nm/3000-4000rpm
トランスミッション:8速DCT
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
駆動方式:4WD
タイヤサイズ:前後255/35ZR21(テスト車両)
【問い合わせ先】
メルセデス・コール
TEL 0120-190-610
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