上質な4気筒ディーゼルがGLCに仲間入り
text:Tom Morgan(トム・モーガン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
2019年初め、GLCが大幅なフェイスリフトを受けて登場した。その時のディーゼルエンジンは、強力な300dに限られていたが、4気筒ディーゼルの220dが追加となった。英国では、GLCでも1番人気のグレードとなることは確実だろう。
OM654型と呼ばれる2.0Lの4気筒ユニットは、現行のAクラスやEクラスにも搭載されている。220dへの搭載にあたって、やや出力は抑えられたようだ。
GLC 300dは244psを発生するが、220dは194psとなる。最大トルクは40.7kg-mと充分で、2トン近くあるSUVを7.9秒で静止状態から100km/hまで加速させる。
メルセデス・ベンツではお馴染みとなった、9速ATを介して4輪を駆動。エントリーグレードとなる220dには、標準的なコイルスプリングとアダプティブ・ダンパーが組み合わされる。
トリムグレードのスポーツには、メルセデス・ベンツ最新のMBUXインフォテインメント・システムが標準装備。全面モニター式のデジタルメーターは、ハイエンドのAMGプレミアムのみに採用される。
乗り心地はGLCに期待する通り、上質なもの。4気筒ディーゼルエンジンも。穏やかに走らせている限りは堂々とした印象を受ける。エンジンノイズも回転数を上げなければ、車内に響いてくることはない。
たとえ大きなパワーが必要でGLC 300d以上にエンジンの回転数を速めても、張り詰めた音は車内に届かない。さすがにスムーズさは6気筒ユニットの方が上だけれど。
リラックスして自動車旅行を楽しむ
積極的に走らせると、9速ATは急な変速をややためらう傾向がある。オートマチックモードのままでも、シフトパドルを手で弾いても、その振る舞いは同じ。だが普通の速度で走らせている限り、ATはスムーズに仕事をこなしていく。
操縦性の面では、ダイナミクス性能でクラスベストを狙った印象はない。ステアリングは正確性が高く、コーナリング時のボディロールも不安感のないレベル。だが、ハードコアなAMG仕様は別として、グリップ力の限界付近まで攻め立てても、特にドライバーとの一体感が強まるわけではない。
あくまでもGLC 220dは、リラックスして自動車旅行を楽しむ部類のクルマ。スポーツグレードなら、標準の柔らかなサスペンションと、モデルの中では控えめな18インチホイールを履き、快適な高速走行を味わえる。
大きなくぼみやバンプでは乗り心地には影響が及ぶし、エアサスペンションを採用した上級グレードと同等の快適さではない。しかし殆どの場合、クラスでは最上級の上質な居心地に身を委ねられる。
その居心地の良さを引き立てているのが、洗練されたインテリア。美しくデザインの行き届いたディティールに、まるでファーストクラスのコンパートメントのような、ゆったりとしたセンターコンソール。明確にドライバー重視のコクピットとは異なる。
快適で充実装備のSUVとして候補の最上位
ダッシュボード中央にはMBUX用の10.25インチのタッチモニターがレイアウトされる。操作方法は複数ありやや煩雑。画面を触る他に、センターコンソールに取り付けられたタッチパッドを指でなぞったり、ボタンがたくさん並んだステアリングホイールで操作したり。
あるいは、「ヘイ・メルセデス」と話しかけて、音声操作も可能。聞き取りは以前のものより正確になり、ステアリングホイールから手を離さず、実際的に利用できるレベルになっている。
未来感を少し削いでいるのが、5.5インチのトリップコンピューターを挟むアナログメーター。上級のトリムグレードには、フルモニターによるデジタルメーターが採用され、こちらは全体的にモダンなデザインのインテリアとよく調和する。
快適で装備が充実したSUVを探しているなら、GLC 220dは候補の最上位に挙げていいクルマだ。長距離でも怯むことなく、楽しく走り切ることができるはず。
BMW X3やアルファ・ロメオ・ステルヴィオほど、ドライバーに対してのアピールは強くないかもしれない。その場合、少し予算を上乗せして、GLC 300dにステップアップする方法もある。
エントリーグレードであっても車内は高級感が漂い、アウディQ5やボルボXC60とも十二分に渡り合える。もしクラス最高のテクノロジーと乗り心地を味わいたいのなら、さらに高価なAMGプレミアムを選ぶという手もある。
メルセデス・ベンツGLC 220d 4マティック・スポーツのスペック
価格:3万9500ポンド(553万円)
全長:4655mm
全幅:1890mm
全高:1644mm
最高速度:215km/h
0-100km/h加速:7.9秒
燃費:14.4-16.9km/L
CO2排出量:137g/km
乾燥重量:1835kg
パワートレイン:直列4気筒1998ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:194ps/3800rpm
最大トルク:40.7kg-m/1600-2800rpm
ギアボックス:9速オートマティック
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