現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > これぞ“M”の本命! BMW M8 コンペティションの真髄をサーキットで味わう【動画レポート】

ここから本文です

これぞ“M”の本命! BMW M8 コンペティションの真髄をサーキットで味わう【動画レポート】

掲載 更新
これぞ“M”の本命! BMW M8 コンペティションの真髄をサーキットで味わう【動画レポート】

BMW M8 Competition Coupe & Cabriolet

BMW M8 コンペティション クーペ & カブリオレ

これぞ“M”の本命! BMW M8 コンペティションの真髄をサーキットで味わう【動画レポート】

M850iとの違いはあるのか

BMW M8のハードウェアは一見、既発のM850i xDriveと多くを共用しているように思える。エンジンの基本形式は同じV型8気筒4.4リッターツインターボだし、それに8速トルコンATを組み合わせるのも一緒。そしてこちらも、やはり電子制御式4WDシステムを組み合わせている。そもそも8シリーズ自体、シャシーの開発にはM社が携わっているというのだ。

一体どうして、ここまで似たハードウェア構成のモデルをふたつ用意する必要があるのだろう? そう思う一方で率直に言うならば、M850i xDriveは日常域では快適で動力性能に余裕があり、魅力的なビッグクーペではあるものの、サーキットのような限界域での走りは、いくらMではなくM Performanceだと言っても、そのバッジを掲げるには物足りないと個人的に感じていたのも事実である。それだけにM8の走りには、期待と不安が半々という思いで試乗に臨んだのだった。

4.4リッターV8ツインターボは最高出力625psを発生

もっともそのハードウェア、実際には基本構成以外はほぼ別物である。たとえばエンジンは、Vバンク内に2基のターボチャージャーを収めるのは一緒でも、M8のそれはクロスバンクエキゾーストマニホールドを備えたMツインパワー・ターボテクノロジーを採用している。排気系をバンクごとにまとめるのではなく、もっとも排気干渉の少ない気筒同士をまとめるレイアウトは複雑になるが、パワーロスは減りレスポンスも向上する。

最高出力はM850i xDriveの530psから600psに。M8コンペティションでは625ps。エンジニアは「単純にM850i xDriveの性能には、ここまでは必要なかったから」と話していた。このパワーアップに対応するべく、冷却性や潤滑系にも手が入れられている。

駆動系はほぼM5に準じる。トランスミッションは8速トルコンAT。アクティブディファレンシャルとの協調制御によって4輪に自在に駆動配分を行おうという電子制御4WDシステムのM xDriveが組み合わされる。標準状態の4WDの他、後輪への駆動力配分比を高めた4WD Sport、そしてDSCオフの際には後輪駆動となる2WDモードも選択できる。

強靭なシャシーがスポーツ性能を大幅にアップ

注目はブレーキだ。新採用のインテグレーテッドブレーキシステムは、負圧に代えて電動アクチュエーターの制御でブレーキ圧をコントロールする。常に安定した、優れたレスポンスとタッチを実現でき、しかも2段階にセットアップを変更できる。重量の低減にも繋がるというものだ。

目を見張ったのがボディ、シャシーである。スペックを見ただけで不安が減り期待が増した。何しろその強化ぶり、半端ではないのである。

ボディは表面上、クーペにCFRP製ルーフが標準装備されるくらいしか際立った特徴は無いが、リフトアップして下まわりを見ると、バルクヘッドに接続されたストラット、フロント下面を覆ってサイドシルまで連結する高剛性パネル、そしてリヤのX字型ブレースといった剛性アップアイテムが、これでもかと取り付けられているのが解る。

そしてシャシーは、フロントは専用アッパーアームによりキャンバーを増加し、ロアアームブッシュの硬度も高めている。リヤはロアアーム、トーリンク、アップライトが“M”刻印入りのアルミ鍛造品とされ、各部のブッシュ類が大幅に強化されているという具合だ。

更にコンペティションでは、フロントはキャンバー角が増やされ、リヤサスペンションにはスチールブッシュが採用される。ダンパー減衰力も引き上げられ、50%強度アップのエンジンマウントが採用された。可変エンジンマウントは重量が嫌われたようである。

桁外れの剛性感でソリッドな挙動を見せるカブリオレ

ポルトガルはファーロ周辺で開催された今回の試乗会に用意されていたのは、クーペとカブリオレのいずれもコンペティションのみ。まずはカブリオレで一般道にテストに出た。

数十メートルも走らないうちに期待が確信に変わった。これはM Performanceとは別物。何しろボディの剛性感が桁外れなのだ。言うまでもなくサスペンションは相応に締め上げられているが、トップを開け放ったボディは一切弛さを感じさせることなく非常にソリッドな感触を示す。芯の出たステアリングフィールも心地よく、特別なクルマに乗っているという感覚がひしひしと伝わってくる。

エンジンはレスポンスがよりタイトになり、アクセル操作に即応して力をみなぎらせる。高回転域まで豪快に吹き上がる一方、単に回るのではなく凝縮されたトルク感を味わえるのもいい。

M8コンペティションの真骨頂はサーキットで発揮される

続いては、いよいよサーキットへ。M8クーペ コンペティションで挑むのは、速度域が高くアップダウンも連続し、見えないクリッピングポイントに向けてステアリングを切り込んでいかなければならないコーナーが多い難所、アルガルベサーキットだ。

M8は他のMモデルと同様に、エンジン、シャシー、ステアリング、そして前述のブレーキのレスポンスについて、セッティングをComfort/Sport/Sport SPLUSといったモードから自由に選択できる。更に新設のMモード ボタンによって、運転支援システムについてもROAD/SPORT/TRACKの3モードの設定が可能になった。中でもサーキット用のTRACKモードでは、すべての運転支援システムが動作を停止する。

まずはステアリングホイール上の2つの赤いボタンのうちM1を押し、プリセットされていたセッティングを呼び出す。エンジン:Sport Plus、VDC:Sport、ステアリング:Comfort、ブレーキ:Sport、ギヤボックス:D3、DSC:MDM、M xDrive:4WD Sportという設定だ。

8シリーズのウイークポイントを完全に払拭

走り出すと、こちらもまず操舵応答性が格段に正確さを増しているのを実感した。手応えにもダイレクト感があり、何よりレスポンスがリニア。小指一本分ほどの舵角から遅れ感、曖昧さなくリニアに反応して旋回モードに入っていく。高められたボディ剛性、強化されたエンジンマウントなどが効いているのだろう。要するにBMWも8シリーズの走りの弱点については、よく解っていたというわけである。

1周したらM2ボタンを押して設定を変更する。今度はエンジン:Sport Plus、VDC:Sport Plus、ステアリング:Sport、ブレーキ:Sport、ギヤボックス:S3、DSC:off、M xDrive:4WDというセッティングである。読み取れるのは、エンジン、サスペンションともにより反応鋭い方向に振られ、DSCもオフになるが、その代わり駆動力制御は安定方向という動きだ。

終始一貫して安定した挙動を示すM8コンペティション クーペ

連続するアップダウンに4輪の接地性が常に変化し続けるこのコースで、終始一貫して落ち着いた挙動をキープし続けられるのは、まずは車体の大きさのおかげでもあるだろう。挙動はいい意味でマイルドで扱いやすく、サイズを持て余すこともない。

感心したのが4WDの制御だ。ペースが上がってくるとターンインで徐々にリヤが滑り出すようになるのだが、そこで軽くアクセルを入れていくと前輪から引っ張り出すことで安定した挙動でコーナーを脱出することができるのだ。攻められるけれど危なっかしさは無く、安心感は十分。DSCオフでもまるで不安などなく高速コーナーに挑むことができた。

但し、途中で熱ダレなのか、8速ATが低い回転数でシフトアップするようになり、変速ラグにも見舞われるようになってしまったのは惜しかった。普段の変速スピードなどは十分と言えるが、Mの頂点のギヤボックスとしては若干、物足りない。

“M”のバッジに相応しいパフォーマンス

一方、絶大な信頼感を抱かせたのがインテグレーテッドブレーキシステムだ。その働きは大きく、常に素晴らしいタッチを提供し、安心してフルブレーキングを、しかも何度も行うことができた。もちろん、サーキットに行くならオプションのMカーボンセラミックブレーキは必須と言っておこう。

走り終わってみれば不安はまさに杞憂だったと分かり、安堵し、そして嬉しい気持ちになった。M8コンペティションはカブリオレも、クーペも、まさにMのバッジを掲げるに相応しいパフォーマンス、そして走りの充足感を備えている。サーキットを本気で攻めようという人は多くの場合、M4なりM2の方に目が向くのではないかとも思うが、WECやIMSAで活躍したM8 GTE直系のマシンを操ることには、それらとはまた違った醍醐味、そしてロマンが宿るのも、また事実なのだ。

REPORT/島下泰久(Yasuhisa SHIMASHITA)

https://www.youtube.com/watch?v=JR_9n99LheU

【SPECIFICATIONS】

BMW M8 クーペ コンペティション

ボディサイズ:全長4867 全幅1907 全高1362mm

ホイールベース:2827mm

トレッド:前1627 後1632mm

車両重量:1885kg

エンジン:V型8気筒DOHCツインスクロール ターボ

総排気量:4395cc

最高出力:460kW(625ps)/6000rpm

最大トルク:750Nm/1800-5800rpm

トランスミッション:8速AT

駆動方式:AWD

ステアリング形式:電動パワーステアリング

サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後5リンク

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ(リム幅):前275/35ZR20(9.5J) 後285/35ZR20(10.5J)

最高速度:250km/h(Mドライバーズ パッケージ:305km/h)

0-100km/h加速:3.2秒

CO2排出量(Euro 6d-TEMP):242-238g/km

燃料消費率(EU):15.3-15.2km/L

車両本体価格(税込):2433万円

BMW M8 カブリオレ コンペティション

ボディサイズ:全長4867 全幅1907 全高1353mm

ホイールベース:2827mm

トレッド:前1627 後1632mm

車両重量:2010kg

エンジン:V型8気筒DOHCツインスクロール ターボ

総排気量:4395cc

最高出力:460kW(625ps)/6000rpm

最大トルク:750Nm/1800-5800rpm

トランスミッション:8速AT

駆動方式:AWD

ステアリング形式:電動パワーステアリング

サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後5リンク

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ(リム幅):前275/35ZR20(9.5J) 後285/35ZR20(10.5J)

最高速度:250km/h(Mドライバーズ パッケージ:305km/h)

0-100km/h加速:3.3秒

CO2排出量(Euro 6d-TEMP):246-241g/km

燃料消費率(EU):15.2-15.1km/L

車両本体価格(税込):2541万円万円

【問い合わせ】

BMW カスタマー・インタラクション・センター

TEL 0120-269-437

こんな記事も読まれています

日産が新型「SUV“ミニバン”」初公開! 斬新ヘッドライト&流行りの“オシャグリーン”採用! 超シンプル内装が超カッコイイ「VX6」中国に登場
日産が新型「SUV“ミニバン”」初公開! 斬新ヘッドライト&流行りの“オシャグリーン”採用! 超シンプル内装が超カッコイイ「VX6」中国に登場
くるまのニュース
[新型フリード内装解説]シエンタにない機能がいいゾ!! バカ売れ確定の内装だけど気になる点も多々
[新型フリード内装解説]シエンタにない機能がいいゾ!! バカ売れ確定の内装だけど気になる点も多々
ベストカーWeb
カワサキ「メグロ K3」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
カワサキ「メグロ K3」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
まさかの250万円スタート!? 新型フリード爆売れ確定!? 樹脂マシマシのクロスターもヤバい!!
まさかの250万円スタート!? 新型フリード爆売れ確定!? 樹脂マシマシのクロスターもヤバい!!
ベストカーWeb
アースカラーのボディとインテリアがおしゃれなトヨタ ハイエースがベースのキャンパー
アースカラーのボディとインテリアがおしゃれなトヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
初代ヴェゼルのカップホルダー最強説!!  超絶使いやすかったのに…なんでやめたん!?
初代ヴェゼルのカップホルダー最強説!!  超絶使いやすかったのに…なんでやめたん!?
ベストカーWeb
新型フリードが2024年6月に発売! 歴代モデルの相場は現在どうなってる?
新型フリードが2024年6月に発売! 歴代モデルの相場は現在どうなってる?
グーネット
パナソニック カーバッテリー「カオスW1シリーズ」発売 アイドリングストップに耐える長寿命
パナソニック カーバッテリー「カオスW1シリーズ」発売 アイドリングストップに耐える長寿命
グーネット
ジープ「ラングラー」新型モデル発売!エントリーグレード導入&2種類の限定モデル設定
ジープ「ラングラー」新型モデル発売!エントリーグレード導入&2種類の限定モデル設定
グーネット
ランドローバー「ディフェンダー」2025年モデル受注スタート 標準装備をアップデート
ランドローバー「ディフェンダー」2025年モデル受注スタート 標準装備をアップデート
グーネット
DS4 ヒナゲシのような赤いボディカラーの特別仕様車「コクリコエディション」発売
DS4 ヒナゲシのような赤いボディカラーの特別仕様車「コクリコエディション」発売
グーネット
渋谷の空に新型ラングラーが現れた!【改良新型ジープ ラングラー アンリミテッド】
渋谷の空に新型ラングラーが現れた!【改良新型ジープ ラングラー アンリミテッド】
グーネット
フェラーリ499Pが好調キープか、FP1でワン・ツー。ランボルギーニとアルピーヌが続く/WECスパ
フェラーリ499Pが好調キープか、FP1でワン・ツー。ランボルギーニとアルピーヌが続く/WECスパ
AUTOSPORT web
不遇のイメージが色濃いR33スカイラインだが乗っていて楽しかったゾ! 所有していたからこそわかった[走り]の真実
不遇のイメージが色濃いR33スカイラインだが乗っていて楽しかったゾ! 所有していたからこそわかった[走り]の真実
ベストカーWeb
シェイクダウンは今季初出走のソルドが首位タイム。ヒョンデがトップ3独占/WRCポルトガル
シェイクダウンは今季初出走のソルドが首位タイム。ヒョンデがトップ3独占/WRCポルトガル
AUTOSPORT web
ガソリンを捨てきれない理由は[ハイブリッド車]のバッテリー寿命!? 延命術はあるのか?
ガソリンを捨てきれない理由は[ハイブリッド車]のバッテリー寿命!? 延命術はあるのか?
ベストカーWeb
ウェッズの人気ホイール「レオニス」に輝く新作登場! 繊細さの「FR」と躍動感の「MV」はトヨタ「アルヴェル」から軽自動車まで対応
ウェッズの人気ホイール「レオニス」に輝く新作登場! 繊細さの「FR」と躍動感の「MV」はトヨタ「アルヴェル」から軽自動車まで対応
Auto Messe Web
ポイントリーダーのマルティン、初日最速で予選へ。母国戦クアルタラロも奮闘10番手|フランスGPプラクティス
ポイントリーダーのマルティン、初日最速で予選へ。母国戦クアルタラロも奮闘10番手|フランスGPプラクティス
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1050.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

658.01278.0万円

中古車を検索
8シリーズの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1050.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

658.01278.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村