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フェラーリ初のSUV、2022年発表予定 最高技術責任者が告白 ジレンマ克服へ

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フェラーリ初のSUV、2022年発表予定 最高技術責任者が告白 ジレンマ克服へ

SUV前提の専用プラットフォーム

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)フェラーリが市場の期待に応えるべく、SUV開発に本腰を入れている。今までのフェラーリとは異なるインテリアデザインに広い車内を持ち、新しい次元での快適性やパワートレインの技術も取り入れることで、フェラーリ・ブランドを押し上げることは間違いなさそうだ。

【画像】フェラーリSUVのライバルたち 全261枚

2022年の発表を目指して開発中のコードネームは「プロサングエ」で、サラブレッドという意味を持つ。同じく開発中のアストン マーティンDBXのほか、ベントレー・ベンテイガやランボルギーニ・ウルス、ロールス・ロイス・カリナンといった、超が付くようなハイパフォーマンスやラグジュアリーSUVとは、異なるモデルになるとしている。

現在フェラーリは2種類のアーキテクチャの開発を進めており、2段階のモデルラインが用意されることになる。ひとつはミドシップのスーパーカー用で、もうひとつはフロント・ミドシップのグランドアラーモデル。今回のSUVも含まれており、今後の幅広いモデルレンジを支えるための、高い柔軟性を持たされている。

フェラーリの最高技術責任者を務める、ミヒャエル・レイターズは、AUTOCARの独自インタビューに答えてくれた。「この技術的なコンセプトと、具現化されるクルマには自信があります。本物のSUVであり、(フェラーリとして)お客様にも納得してもらえるコンセプトとパッケージングを生み出せたと考えています。さらに、既存のSUVとも大きくコンセプトが異なるものです」

フェラーリが独自にアーキテクチャを開発するメリットとして、フェラーリ水準のパフォーマンスや動的性能を叶えつつ、SUVとしての空間の広さや快適性などを同時に叶えられるという点がある。フォルクスワーゲン・トゥアレグやアウディQ7のMLBプラットフォームを共有する、ベントレー・ベンテイガ、ランボルギーニ・ウルスなどとは素性から異なるのだ。

パワートレインはSF90ストラダーレを派生

レイターズは、「目指すところは新しいフェラーリのセグメントを切り拓くことです。フェラーリが求めるポジションは非常に厳しいと思えるほどにシャープな部分。クルマの特徴をフォーカスし、意思決定の面でも頼るべきものです。開発のためのトレードオフは、これまでとはまったく異なる部分もありました。新しい技術的な課題にもチャレンジしています」 と話す。フェラーリはまだ「プロサングエ」の詳細には固く口をつぐんだままだが、72年の歴史を持つフェラーリにとっても、ブランドをさらに押し上げる急進的な存在になるだろう。

フェラーリ製のスケーラブル・フロント・ミドシップ・アーキテクチャを採用した、SUVのデザインが上層部の承認を得たことは既に我々も把握している。2種類のアーキテクチャのうちミドシップではない方は、V6,V8、V12のエンジンに対応し、ハイブリッドの有無にも、トランスアクスル・デュアルクラッチATにも、後輪駆動か4輪駆動かにも順応できる自由度の高さを持つ。定員も2名か2+2、4名かを選べるほどホイールベース長は伸縮が可能で、クーペやスパイダー、車高の高いSUV形状に対応するという。

この調整幅の中から、SUVの場合は全長5mの4シーターに設定された。高めの最低地上高は車高調整の可能なサスペンションによって実現されるだろう。オフロード性能とオンロード性能を両立させるため、アンチロール・システムも採用されるはず。パワートレインはSF90ストラダーレのものを派生させ、プラグイン・ハイブリッド技術も環境規制に合わせて搭載するようだ。

フェラーリの通常量産モデルとしては初となるハイブリッドシステムには、4.0LのV8エンジンに3基のモーターを搭載。1基はエンジンとトランスミッションの間に配され、2基はフロントタイヤを駆動することで、4輪駆動を実現する。エンジンはフェラーリが同じく開発中のV6ターボエンジンが採用される可能性が高い。またトップグレードには新開発となるV12エンジンが搭載される見込みだ。

ロード(路上)の目、ストリート(路地)の手

「SF90は、非常に多くの革新技術を投入した新たしいクルマです。ここから、多くのモデルへと展開されていくでしょう。ですが、SUV開発の課題はまったく異なるものも含まれています。イノベーションも必要とされ、組織としても多くの学びがありました」とSF90から派生する技術だけでなく、「プロサングエ」の特徴でもあるイノベーションについても言及した。

またこの「プロサングエ」という名前は、今後4年間に発表されるであろう、新しいグランドアラー・モデルの、ほかのモデルにも用いられるようだ。その中にはGTC4ルッソの後継モデルも含まれているが、開発中のSUVとは切り離された存在でもあるという。

SUVを含める新しいフェラーリ製グランドツアラーには、「ロード(路上)の目、ストリート(路地)の手」という新しいアプローチのインテリアデザインが採用される。新デザインのステアリングホイールにインフォテインメント・システム、ヘッドアップ・ディスプレイ、インスツルメントなどに加えて、エアコンなどの操作系やリアシートのエンターテインメント、乗降性の向上なども盛り込まれている。

エンジニアリング面で取り組んでいる課題についても触れたレイターズ。「広いだけでなく、人間工学に基づいた快適で安楽な空間を生み出すには何が必要でしょう? スポーティでありながら、快適性にも重点を置いたデザインとは? ヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)のより民主化された理想とは。ほんとうの意味での快適性とは。フェラーリの純粋なDNAを備えた快適性とは何でしょう?」

エンジニアと生み出す最適なプロポーション

「それが取り組むべき課題であり、面白さでもあります。それぞれの概念は近いところにありますが、175の開発では製品レンジの広がりを構築し、異なるモデルを生み出すことを目指しているのです。V6エンジンとV12エンジンの登場も、明言はできませんが、想定しています。わたしの仕事は新しいモデルの可能性を示すこと。そして市場ニーズを聞くことです」

「お客様の求める機能性は異なります。どれだけの広さが必要なのか。6気筒や8気筒が必要なのか。ホイールベースは長い方が良いのか。そこでV6、V8、V12エンジンを用意し、フロント・ミドシップかミドシップかを選べ、ハイブリッドの有無や駆動方式、シートレイアウトなど幅広い可能性を準備しています。ホイールベースの長さも自由です。最小限の影響で、ドライブトレインやレイアウトを変更できるのです」とレイターズ。

フェラーリのデザイン部門の主任、フラビオ・マンツォーニによれば、ブランドとしても物議を醸しだすであろうSUVのために、デザイナーは当初からエンジニアリング部門とともに仕事を進め、より最適なプロポーションを目指してきたという。「最初のステップで、クルマのデザインが定義されますが、エンジニアと協力をしながら方向性を決めていきます。プロポーションとボディサイズを決定することで、優れたデザインのベースが生まれるのです。それはSUVの場合でも同様です」

「SUVは多くのモデルの中での派生車種です。デザイナーは技術要件での制約をクリアしなければなりません。フェラーリの場合、妥協は許されないのです。エンジニアと一緒にデザインを進めなければ、パッケージの決定段階で問題が発生します。新しいプロジェクトを始める時は、(他部署との)コラボレーションを推奨しています」と話すマンツォーニ。どんなエクステリアとインテリアのデザインを持つのか、今から非常に楽しみだ。

「プロサングエ」のライバル

ランボルギーニ・ウルス

恐らくフェラーリ製SUVの一番の競合モデルとなるだろう。2018年に発売されたウルスは、今までのランボルギーニ製モデルよりも2倍以上の販売台数を稼いでいることは、フェラーリも無視できない事実。ツインターボ4.0LのV8エンジンは650psを発生させ、0-100km/h加速3.6秒、最高速度305km/hを誇る。

アストン マーティンDBX

まだ最終確定はしていないが、年末にはDBXの全貌を知ることができるはず。高出力のガソリンエンジンとハイブリッドの選択肢が用意され、メルセデス・ベンツ製のV8エンジンと、アストン マーティン製のV12エンジンが選択できる見込みだ。販売台数の増大を目指す。

ベントレー・ベンテイガ・スピード

プロサングエの価格面でのライバルはロールス・ロイス・カリナンとなるが、より自然なライバルというと、ベントレー・ベンテイガの「スピード」。軽量なシャシーには635psの6.0L V12気筒ツインターボが搭載され、ダイナミックなドライビングを実現している。インテリアの品質や車内空間、長距離運転でも快適な乗り心地は、フェラーリの目指すところか?

ロータスSUV

プロサングエの登場と同時期に、ロータスもSUVに参入すると見込まれている。フェラーリより安く、スターティング・プライスは10万ポンド1300万円程度になるようだが、ドライビング・ファンなSUVという点では共通。ジーリーの影響も受ける、フラッグシップ・グレードとなるハイブリッド版の価格はフェラーリに迫る可能性もある。

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